70名の社員ストーリーを冊子化。社員インタビューAIを活用して社内キャリアを動かした、富国生命の事例

執筆:talentbook株式会社 白水彰一
タレントブック・ストーリーの社員インタビューAIは、採用広報目的のコンテンツ制作ツールとして使われることが多いのですが、今回は富国生命保険相互会社(以下、富国生命)が取り組んだ、インナーマーケティングとしての社員インタビューAI活用事例を紹介します。
今回の取り組みの詳細は、導入事例インタビュー記事(リンク)にもまとめています。本コラムでは、実際にプロジェクトに伴走し、イベントにも同行した私の目線から、この事例を通じて感じたことをお伝えしたいと思います。
自律的な社内のキャリア選択を促すため
今回の取り組みを主導したのは、人事部 副部長の石川 満さんです。石川さんは30年近く営業・企画・マーケティングを歩んだのちに、昨年初めて人事部門に異動してきた方です。
石川さんが着任してすぐに感じたのは、「社内にどのようなキャリアがあるのか見えづらい」という声が社内アンケートに多く出ているという現実でした。メンバーシップ型の人事制度のもと、他部署のリアルな仕事内容や人となりを知る機会がほとんどない。その状態のまま「キャリア自律を」と言っても、選択肢が見えていなければ動きようがない。
そこで、中期経営計画ワーキンググループとともに企画されたのが、全34部門長と一部支社長が参加する部署合同説明会の初開催です。そして、その事前コンテンツとして私たちにご相談をいただいたのが、今回の取り組みの始まりでした。
採用チームからtalentbookの紹介を受けた際に石川さんが感じたのは、「これはインナーマーケティングにも使えるのでは」という直感だったと言います。
実際にアカウントを開設し社員インタビューAIを試してみて、「クオリティコントロールがしやすくて、一定の粒度の回答を引き出せる設計になっている。人間がインタビューするよりもコストがかからないし、セルフインタビュー形式なので担当側の工数も抑えられる」と確信に変わったそうです。
社員インタビューAIで、70名分のナラティブを2ヶ月で制作
ご支援の内容は、社員インタビューAIを活用した社員記事の制作と、それをまとめたtalentbook let(冊子)の制作です。部長クラス約35名は人間のインタビュアーが担当し、若手約35名分を社員インタビューAIで制作するという二段構えのフローで進めました。
実務を担当してくださった板 宏典さんは、「AIインタビューの設計には一番時間をかけました。問いの立て方次第で引き出せる内容が全く変わってくる」と振り返っています。問いを練り込み、その設計が固まってからは思ったような回答が引き出せるようになり、スムーズに進んだと言います。
そして石川さんが徹底したのが「部長から先に」という順番です。「部長が快くインタビューに応じてくれていれば、若手も動きやすくなる。まず上長にきちんと依頼をしておくことが、今回スケジュール通り進んだ大きな要因」だったとのこと。
さらに中期経営計画のワーキンググループ主導という形で依頼したことで、各部門が協力しやすい構造をつくり、70名分のコンテンツを約2ヶ月でほぼ納期通りに完成させることができました。

▲冊子イメージ。実際にイベントで配布した冊子は、QRコードから各社員の記事を読むことができる
事前に「知っている人」に会いに行く体験が生まれた
完成した冊子は、説明会の参加者に事前に配布されました。当日同行した私がまず驚いたのは、会場の熱量です。参加者が興味のある部署のブースを自由に回るスタイルで、あちこちから「○○さんの記事を読んできましたよ」という会話が聞こえてきました。
事前に冊子を閲覧していた参加者は約7割。登壇者の人となりやキャリアをある程度知ったうえでブースを訪れるので、初対面なのにどこか「知っている人」に会いに行くような温度感が生まれていました。部長同士でも「あの人、こういうキャリアだったんだね」という声が上がっていて、横のつながりをつくるコミュニケーションツールとしても機能していたのが印象的でした。役員会にも冊子が配布され、好意的なコメントが多く出たと石川さんからお聞きしました。

▲社内向けキャリア合同説明会当日の雰囲気
「ロールモデル」で人と組織の自律的な成長を実現する
今回の事例を通じて改めて感じたのは、社員インタビューAIが持つ可能性の幅です。採用候補者に社員のリアルを届けるだけでなく、社内に向けても同じように機能する。「あの部署の人はどんな思いで働いているのか」を知ることが、キャリアを考える起点になるのです。
板さんは「今回は社内向けでしたが、制作したロールモデルコンテンツは今後、採用広報としての社外向けコンテンツとしても活用できると思っています」とおっしゃっています。インナーとアウターの両軸でナラティブを積み上げていくサイクルは、採用と人事改革を一体で動かす新しいアプローチとして、他社にも参考になる事例だと感じています。
石川さんは最後にこうおっしゃっていました。「今回制作したナラティブを一過性のものにせず、ストックして活かし続けていくことが、人事改革全体を前に進める力になると感じています」。
今回の取り組みの詳細や、石川さん・板さんの言葉は導入事例インタビュー記事でご覧いただけます。社内キャリアの流動化や組織内の相互理解に課題を感じている方は、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
▼富国生命保険相互会社 導入事例インタビュー
https://product.talent-book.jp/case/fukoku-life


