100名のリクルーター記事を、わずか1ヶ月で制作。豊田通商のロールモデル採用

2026年8月20日、talentbookが主催する完全招待制セミナー「talentbook CONNECT in 名古屋」が開催されました。
東海エリアの人事・採用担当者17社31名が来訪し、事例セッションとして登壇いただいたのが、豊田通商株式会社 人事部 採用グループの植松来実様です。
テーマは「学生の意思決定を支える採用体験とは」。
半年間にわたりtalentbookをご活用いただき、社員インタビューAIを使ってわずか1ヶ月で100名分のリクルーター記事を制作。そのデータを内定者とのマッチングに活用するなど、さまざまな取り組みを行うことで、27卒(2027年卒)の内定承諾率を上げています。
聞き手はtalentbook 執行役員の白水彰一。当日語られた「なぜやるのか」「どうやるのか」「何が変わったのか」を、セッションの流れに沿ってお伝えします。
きっかけは「これを就活生の時に知っていたら」という原体験
セッションは、植松様自身のエピソードから始まりました。
「入社をしてから、豊田通商という会社がどんどん好きになっていったんですよね。面白い社員がすごく多くて、それを知れば知るほど、この会社で働けてよかったなという思いになっていって。ただ、それをもっと就活生の時に知っていたら、全然また違ったんじゃないかなと思ったんです」
このもったいなさこそが、取り組みの出発点でした。そしてこの仮説は、学生の生の声によって確信に変わっていったそうです。豊田通商様では最終選考を終えた学生全員と15分ほどの面談を実施していますが「OB・OG訪問で話した社員が魅力的だった、そこが自分の意思決定の最後の決め手になった」という声を、ほとんどの学生から聞いていたといいます。
一方で、当時発信していた情報を振り返ると、採用サイトは更新頻度が高いとは言えず、説明会も会社説明と質疑応答で20分ほど。「社員がどういう思いで働いているのか、どういうキャリアを歩んでいるのか、毎日どう生活しているのか。ここが全く伝えきれていないな、という課題感を持っていました」と植松様は振り返ります。
リクルーター選びで貫いた「見せたい人をちゃんと見せる」というこだわり

100名規模のリクルーター記事づくりにあたり、植松様が最もこだわったのが人選のプロセスです。
「誰でも立候補してくれた人を作成します、ではなく、各営業本部を取りまとめている企画部に対して『希望する社員を、1本部10人ほど推薦してほしい』とお願いしました」
以前運用していたOB・OG訪問は完全に立候補制。しかし今回は、指定した社員に焦点を当てる方式へと切り替えています。たとえば200名に声をかけてもどれくらいの社員が協力してくれるか未知数だったため、それでは「狙いを込めたキャリアの組み立てができない」と判断したそうです。
この決断を後押ししたのが、人事部長の一言でした。「会社の顔となるサイトなんだから、掲載する人をちゃんと選んで、そこに焦点を当てて頼む必要がある。もし断られるようならフォローするよ、と言ってもらえたんです」
依頼の仕方にも工夫がありました。マニュアルをテキストだけで送るのではなく、オンラインで時間を取って説明会を開催。なぜこの取り組みをやるのか、学生にキャリアを見せることがどれほど重要なのかを、生の声で届けたといいます。参加できなかった社員には録画を共有し、「ただやっておいてください」で終わらせない姿勢を貫きました。結果、断られる社員はほとんどいなかったそうです。
「デモグラフィックマッチ」から「ナラティブマッチ」へ

記事の完成がゴールではありません。植松様が次に取り組んだのが、この100名分のキャリアデータを内定者の意思決定支援に生かす仕組みづくりでした。
「記事を作って終わってしまうのはもったいない。最終選考に合格した方々の"惹きつけ"に使いたいと思ったんです。せっかく多くの社員が選考を経て選んだ、来てほしい学生ばかりですから」
これまでのOB・OG訪問は、本部名・性別・年次といった情報だけで学生が相手を選ぶ形でした。しかし植松様は「見えている視野の外にも、本当は共感できる社員がいるはず」と考え、内定通知後の学生に9問のアンケートを実施。経験や、この会社でやりたいことを尋ね、その回答とリクルーター記事をマッチングする仕組みを構築しました。
「最初はエントリーシートとマッチさせることも考えたんですが、選考用に本音を書いていない学生もいるはず、と。内定が出て安心してもらえる状態で、本当にやりたいことを書いてもらうのが一番大事だと思ったんです」

白水はこの取り組みを、「ナラティブマッチング」という概念で説明しました。
「これまでの学歴やエリアといったデモグラフィック情報から得られるのは、『何をしてきたか』というWhat次元の情報です。ですが相手の意思決定を動かすには、価値観や思い、実現したいことといったwhy次元の情報が非常に大事になる。そこを捉えた上でロールモデルを提示することで、重なりが生まれ、より深い対話につながります」
学生・社員・採用担当、三者に与えた好循環

半年間の取り組みを経て、植松様は3つの変化を語ってくれました。
学生:社員の記事を読むことで自身のキャリアを何十パターンも想像でき、より理解を深めた上で意思決定できたという声が最も多い
社員:自分の話を学生にするのは楽しいし、振り返りにもなる、という声が多く、採用への協力体制がより前向きなものに
採用担当:これまで面識のある社員にしか声をかけられなかったイベント登壇依頼が、100名近いキャリアデータをもとに「この属性向けのイベントはこの人に」「グローバルがテーマだからこの人に」と適材適所で打診できるように
「この取り組みだけの効果ではないと思いますが、今年の27卒の内定承諾率は、去年と比べ大幅に増えています」
白水はこれを「まさに三方よしの取り組み」と評しました。
「インタビューを受ける社員様もキャリアの棚卸しになり、エンゲージメントにつながる。採用担当の方が社員を理解することで、誰を当てるべきか、この学生にはこの人が話すとよさそうだ、という質の部分にもつながっていきますよね」
AIで生まれた時間を、人に向き合う時間へ
セッションの終盤、植松様は今後の展望についても語ってくれました。
「AIとの組み合わせによって、より人が担うべき領域に時間を使っていきたい。今回、AIによる記事作成やマッチング支援によって一番大きかったのは、これまで学生が自分からは接点を持てなかった社員のことも知ってもらえるようになったことです」
今後、AIに任せる領域を増やして時間をつくることで、面接官自身は候補者との対話そのものにより集中できる状態を目指したいといいます。
「結局、採用で大事なのはやっぱり人の部分。それがより魅力的に伝わるようなAIの使い方をしていきたいですね」

最後にこの流れを、HRという言葉の意味の変化として位置づけました。
「Human Resources、つまり人的資源としての管理という側面から、採用においては本当にHuman Relations、人が人を選ぶ時代になっているのではないか。候補者とのナラティブなマッチングによる深い対話、そして社員様を巻き込むことで社内の関係性そのものを構築していけるかがポイントになる」と語っていただきました。
新たな一手「タレントブック・キャンパス」
セッションの最後には、2026年9月正式リリースの新サービス「タレントブック・キャンパス」を白水よりご案内。学生が今関心のあるテーマを選ぶと、テーマに合った最適な社員を提案し、面談をコーディネートする仕組みです。他企業で実践した先行検証では、本選考へのエントリー率+15%、内定承諾率+10%という成果が出ています。
植松様からも、「これまでのOB・OG訪問は、本部という"所属"でしか学生が相手を選べなかった。talentbook キャンパスでは社員の中身で検索できるので、より学生にフィットした面談につながりそうだ」というコメントが寄せられました。
第一志望でも、関心が薄い層でもない「第2〜3志望の検討層」に、いかに最適な出会いを届けるか。豊田通商様の取り組みは、その一つの解を示すセッションとなりました。
▼talentbook CONNECT in名古屋のダイジェストムービー
◼️登壇者プロフィール
豊田通商株式会社 人事部 採用グループ 新卒採用担当 植松 来実 氏
1年目から採用ブランディングを担当し、8月に公式Instagramを開設。企画から制作・運営までを担う。社員こそが会社の魅力を伝える存在であるというtalentbook社の考えに共感し、翌年4月に100名規模の社員記事を発信。AIを活用した社員と学生のマッチング面談施策やインターンシップ企画等を通じ、豊田通商のリアルな魅力を届ける採用に挑戦している。
talentbook株式会社 執行役員 / 営業開発本部 本部長 白水 彰一
株式会社マイナビで業界・規模問わず数多くの企業様の採用戦略に携わりながら、営業責任者を歴任、営業戦略の立案と施策実行、組織マネジメントなどを経験。2023年1月にtalentbookに参画、2024年12月より執行役員CROに就任、2025年6月より新規プロダクト企画の責任者を務め、「タレントブック・キャンパス」「ロールモデルワーク」などの立ち上げに携わる。


