PERSOLの名を冠してからこれまで、大規模なブランディングコミュニケーションも実施してきたパーソルホールディングス株式会社が、現在力を注ぐのがインターナルブランディングです。そんなパーソルグループのインターナルブランディングをリードする櫻井直樹氏より、さまざまな手段を含むビジョン浸透の施策と苦労についてお話いただきました。
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※本記事は【Case Study編】〜相互理解と価値観の共有でグループの一体感を醸成〜 ビジョン浸透を促す、パーソルのインターナルブランディング ー re:Culture #18の続編です。
ゲストスピーカー
パーソルホールディングス株式会社 グループコミュニケーション本部 インナーコミュニケーション室 室長
櫻井 直樹
株式会社宣伝会議に新卒で入社し、企画・営業に従事。
その後、大手個別指導塾「明光義塾」を運営する株式会社明光ネットワークジャパンにて、マーケティング業務に従事した後、2018年9月パーソルホールディングス株式会社に
入社。パーソルグループのブランドコミュニケーションの戦略策定や広告宣伝を担当後、
2021年4月よりグループのインナーコミュニケーションおよびサステナビリティを
室長として推進。
モデレーター:PR Table 志村 陸
「共通の価値観」と「興味喚起」の両立で意識していること
志村:では、ここからセッションに移らせていただきます。
まず、最初にお伺いしたいのは「“共通の価値観”と“興味喚起”の両立で意識していることは?」というところです。これは、すでに質問もきていました。
今回のWork,and Smile Week企画の中で、10日間、2週間近く、たくさんのコンテンツをつくられていたと思うんですけれど。ご質問は、どういう軸で、そういうたくさんのコンテンツを生み出したのかというところです。
私がこのテーマで伺いたかったのは、共通の価値観「はたらいて、笑おう。」というものは、一応、会社発の言葉だと思います。会社が皆に共感してほしい伝えたいメッセージと、実際の現場の社員の人たちがこれだったら面白そうだと興味喚起を図れるコンテンツは、少しギャップがあると思います。そこをうまく接合していくというのが、櫻井さんのお仕事なんだと思いました。
櫻井直樹氏(以下櫻井):はい。
志村:だから、その考え方、櫻井さんが工夫している点と、
ご質問で頂いている「今回のWork, and Smile Weekの軸は何だったのか」についてお伺いさせていただけますでしょうか。
櫻井:今回の企画においても、ここは非常に悩んだポイントかなと思います。ビジョンを伝えていくことというのは、こちら目線のメッセージでもありますし。我々も繰り返し言っているので「また言っているよ」と、そういうふうにも受け取られかねないものかなというふうにも思っております。こちらから一方的になってはいけないという意識は強く持っています。
だから、企画段階でも「実際にこの企画のセッションは、自分が社員として参加しようと思えるものなのか」「聞いてみたいと思えるものなのか」みたいなことは非常に意識しました。そこにおいて、自分たちだけではなく、他の会社の方にもいろいろな意見を聞きながらつくってきたという形があります。
実際、先ほどご紹介したオープニングに関しても、最初はトップの和田・高橋と、SBU長が、『朝まで生テレビ!』じゃないですけど、「はたらいて、笑おう。」について徹底討論してみたらどうかという企画もありました。
いいね!というふうに思ったものもあったのですが、一歩引いてみたときに「それって本当に皆、聞きたいのかな」と(笑)。そう思ったときに、もう少し違うアプローチがあるのではないかと思いました。それであれば、外部の講演の方も入れながら、外部の視点と内部からどうしていくのか。双方を合わせることで興味を引くことができるのではないかというふうにも思います。
あとは、同じ「はたらいて、笑おう。」というメッセージを伝えていくにあたっても、時間軸を変えてみるとか、そういうことによって、違うアウトプットができるなと思いました。そういう工夫で少しずつ質を変えていくことができるのではないかとも思います。
志村:なるほど。今おっしゃった時間軸を変えるというのは、具体的にどういう方法で、どういうことをされたんですか?
櫻井:例えば「はたらいて、笑おう。」を実現するときに、今、直近やっていくこともありますし、2030年までにやっていく、どうしていくかを考えるという視点もあります。今回、さらに2050年までを見たときに、それが実現したらどんな世界になるのかとさらに幅を広げたことで「はたらいて、笑おう。」が飢餓や戦争をなくすことにも繋がるのではないかという和田の発信もありました。けっこう新しい切り口が生まれてきたというところが、社員の皆さんにとっても新鮮にも映ったかなと思います。それが普段の発信とは違う、より受け取りやすいメッセージにもなったのかなと思います。
志村:なるほど。今おっしゃった時間軸というのが、コンセプトにもなっている「今を知り、未来を想像して、一歩進む準備をする」ということにも繋がった部分があるんですね。
櫻井:そうですね。
志村:なるほど。ビジョンって基本的にそうだと思うんですけど、余白がけっこうあるものだと思います。時間軸というものをうまく使って「はたらいて、笑おう。」の余白を皆でつくっていったというイメージですかね。
櫻井:はい。その通りです。
施策を考える上でペルソナ設計はしているのか
志村:次の質問です。「インターナル施策において、しっかりと社員のジャーニーが惹かれているように感じました。実際に施策を考える上で、ペルソナ設計みたいなところからしているのでしょうか」というご質問です。
さっきのテーマの会社が伝えたいことと、現場の皆さんが面白いと思えることの差を埋める工夫の一つだと思います。
櫻井:そうですね。正直、具体的なペルソナ設計まではしていないというのが回答ではありますかね。パーソルも、今、5万人くらいの社員がいる中で、営業をしている人もいれば、エンジニアをしている人もいれば、研究開発をしてる人もいれば、ミドルバックで支える人もいて、本当にいろいろな働き方で皆さんが働いています。それっていうのが、一つのペルソナでは、なかなか括りづらいものかなというふうに考えています。
とはいえ、一社員として「どんなメッセージなら理解しやすいのか」「共感しやすいのか」ということは、しっかり深掘る必要があるのかなとは思っています。
そういう意味で、この企画もそうですけれど、こちらから発信する情報の質をどういうふうに変えていけば、その人がより受け取りやすい形でメッセージが伝えられるのかということは、なるべく設計するようにしています。
グループ会社による距離感を縮める工夫
志村:今、櫻井さんのお話の中で出た、SBUによっても違うし、グループ各社によっても違うということによって、ペルソナがかなり幅広いので設計が難しいというお話がありました。それがまさしく二つ目のセッションテーマと関連しているかなと思います。
「グループ会社による距離感を縮める工夫」というところです。100以上のグループ会社がある中で、元々のスタート地点のパーソルテンプスタッフや、大きな会社でM&Aをしたインテリジェンス、今のパーソルキャリアは、割とグループの中でも中核になりすい会社だと思います。
もう少し規模の小さい会社で、なんとなく、中核会社とはちょっと距離感があるというところは、どうしてもあると思います。そこで、距離感を縮めるための工夫をお伺いできればと思います。
櫻井:グループ会社それぞれで規模感が違っていて、当然、それはそういうものかなというふうにも思っています。だから、中核会社みたいなところが、実は置かれていたりもします。SBUごとで中核会社があって、SBU内でさらにそこを束ねていくような、いろんなコミュニケーション自体を進めていたりもします。
だから、私たちもSBU体制という中では、全体で取り組んでいく求心力の部分。あとは、子社やSBUに任せていく遠心力の部分。その二つのバランスかなと思っています。そのあたりは、一定、SBUでのまとまりに任せていくという形の中で、そこでの一体感をつくっていくということ自体はやって、すみ分けているみたいなことをしています。
一方で、全体の一体感をつくる必要もあるかなと思っています。そこにおいては、各会社で社内コミュニケーションの担当の方がいますので、その人たちを一堂に集めて、インナーコミュニケーション総会みたいな形で、それぞれの会社がどんなコミュニケーションを、それぞれのSBU内、社内でやっているのかというのを、それぞれ共有し合ったり、連携を図れるような状況もつくったりして、今、進めています。
志村:ありがとうございます。
様々なグループ会社が同じ方向を向くためには
志村:質問を頂いています。「様々なグループ会社がある中で、なかなか同じ方向を向けない会社や社員もいらっしゃると思います。インターナル施策を進める上で、そういった軋轢をどう乗り越えましたか」ということが、一つは、今のインナーコミュニケーション総会だと思います。
ある程度、大きい単位でSBUが組まれている中で、派閥じゃないですけど……(笑)。それぞれのボスみたいな人たちが総会で集まって、その中で方針の違いで軋轢みたいなものがあったりするのではないかなとも思います。今のところ、インナーコミュニケーション総会はうまくいっているんですか?
櫻井:そうですね(笑)。まだ1回しか開催していないんですけれども。そこで言うと、軋轢というよりは、お互い学びがあるよねという姿勢のほうが強いかなと思っています。
志村:素晴らしいですね。
櫻井:だから、そこは、各会社で取り組んでいることも、グループ全体に紹介させてもいいんじゃないかということもあると思います。それぞれ、横のSBUで行われていることを真似ていこうということも、実際に起きている状況です。
皆さん、それぞれの中で、どういうふうに社内でのコミュニケーションを図っていくのかという課題は共通だったりします。そういう中で、それらを共有し合うことで一体感は生まれているような感じはしますね。
志村:なるほど。ありがとうございます。トップが集まったときの空気が良ければ、その場にいない現場の人たちにも、意外とその雰囲気が伝わったりすると思います。トップの総会でうまくいっていれば、そのあとの現場のコミュニケーションも割とうまくいくのかなと感じました。
櫻井:そうですね。補足をすると、SBUでもまったく色が違うんですよね。文化や風土が違います。パーソル自体もこれだけ多くの会社が一緒になっているので、そこを「これだ!」というふうに強制的に変えていくというよりは「それぞれの色や個性を大切にしていく必要があるよね」ということは、皆が思って取り組んでいると思っています。
今で言う、多様性というか。そういう中だからこそ、生まれる価値というものにちゃんとフォーカスをして、一定、それぞれを尊重しながら、いろいろな議論もできているのではないかと思います。
会社ごとのミッション・ビジョン・バリューの位置付け
SBUごとに毛色もかなり違うと思うんですけれども。頂いている質問が「“はたらいて、笑おう。”というところにコミュニケーションが集約されていて、すごく分かりやすいなと思いました。一方で、ミッション・ビジョン・バリューみたいなことは、会社によっていろいろな解釈があると思います。パーソルさんでは、どのような位置づけとして捉えていますか?」ということです。
櫻井:そうですね。パーソルグループ全体では、ミッション・ビジョン・バリューみたいな形では、厳密には落としていません。グループビジョンというものは、当然、大きく掲げてはいるものの、先ほど三角形で示したように、行動指針・経営理念みたいなところが、全体としては軸になっているような形です。
一方で、SBUや、特に中核の会社でいうと、ミッション・ビジョン・バリュー、特にミッション・バリューをそれぞれ設定して、自分たちでそのミッションに対してどうやっていくのかということをメッセージとしてしっかりと伝えているという形になっています。
構造としては、各SBUや子社のミッションやバリューが、しっかりとグループビジョン、上位概念に結びついていく形で設計をされています。そこで、グループビジョンという軸は決してぶれないようにということは、内部では意識して進めているという形です。
志村:なるほど。ありがとうございます。そうすると、ご質問に対するシンプルな回答としては、グループビジョン「はたらいて、笑おう。」を一番上に置いて、それ以下にMVVに関しては、割とSBU単位で管理をしているという運用の仕方で、グループとしてベクトルを揃えているということですかね。
櫻井:そうですね。今のところはそういう状態ですが、それも、今、まさに、いろいろと議論があるところです。そこは、まだまだ詰めていかないといけないかなという段階でもあります。
インナーコミュニケーション担当設置の背景
志村:先ほどのSBUの話について、かなり具体的なご質問を頂いています。「各SBUのインナーコミュニケーション担当者は、本部主導で設置されたのでしょうか。それとも、自発的にSBU側が設置したのでしょうか」ということです。
櫻井:それで言うと、SBU側として、そういう形でまとまっていますね。私たちがというよりは、それぞれのSBUの中でそういう機能を持っていくという形になってきました。
志村:なるほど。どちらかというと、各SBUのインナーコミュニケーション担当というのは、自然と生まれていったものを、今は櫻井さんのほうで取りまとめをしているということですか?
櫻井:そうですね。グループ全体として、そこにおける連携を図れるようにというのは、私たちのほうでもアプローチはしていますが。SBUの中核会社と呼ばれるようなところが、基本的にはまとめ役みたいな形になっていたりします。
志村:なるほど。それぞれの中核会社には、そういった社内広報担当みたいな人・機能が、元々あったというところからの派生ということなんですかね?
櫻井:そうですね。おっしゃる通りです。
社内報のPDCAを回すための工夫や施策
志村:続いて、社内広報全体についてのご質問を頂いています。「私の会社では、社内広報の施策が一過性で終わってしまっているという点に課題を感じています。社内報については、閲覧率や動画の視聴率も計測されているのでしょうか。社内広報のPDCAを回すためにされている工夫・施策を知りたいです」ということです。
櫻井:そうですね。社内報に関しては、「ツナぐ」について言うと、毎号、アンケートをとっています。それは、内容に関するものがメインです。そこで「今回の内容について有意義だったかどうか」ということは、毎回、満足度をはかっています。それ自体は、フィードバックとして次の企画に生かすということはしております。
一方で「Webツナぐ」や「Touch!PERSOL」については、おっしゃるとおりで、ウェブなので閲覧数などが分かるものになっています。それにおいては、それぞれの記事や内容によって、どういうテーマが特に多く見られているのかなどといったことは内部で分析をしながら、いろいろとPDCAを回すみたいなことは行っていますかね。
志村:デジタル化、社内報みたいなコンテンツをウェブにどんどん上げていくことで、そこのPDCAは回りやすくなってきたということでしょうか。
櫻井:そうですね。紙だと、反応自体をとるのが、なかなか難しいところがありますしね。そこは、デジタルならではで。動画自体の視聴の回数も分かりますし、アンケートも含めて、その質自体がどうだったのかということは、毎回、分析・振り返りをしているという形です。
エンゲージメント指標とビジョン共感指標について
志村:計測している指標の一つが、このエンゲージメント指標とビジョン共感指標だと思います。ここについてご質問を頂いています。「インナーコミュニケーションの指標として、エンゲージメント指標とビジョン共感指標があったと思います。エンゲージメント指標を仕事への貢献意欲と組織への貢献意欲の平均値としてはなぜでしょうか」ということです。
櫻井:エンゲージメント自体は、私たち主管というよりは、人事部のほうが主に主管で進めています。人事部において、社員のエンゲージメントが離職などに繋がる部分もありますので、そういうところでもここをしっかり見ています。
そうすることで、エンゲージメントが高くなれば、その個人自身が辞めにくいこともそうですし、組織に対しても生産性が上がって成果に繋がっていき、それが会社の業績にも繋がっていくというふうに捉えています。そういう中で、エンゲージメント自体は、人事でも見ていますし、我々のインナーコミュニケーションにも関わる部分なので、双方で見合っているという形になっています。
平均値みたいなところについて。私たちは、自分の働き方を自分で決めるということを大切にしています。「ちゃんと働く選択肢が与えられているか」とか「自分の仕事にやりがいを感じているか」とかは大切にしています。
一方で「組織自体の中でその人が認められているかどうか」とか「関係性がちゃんと構築されているのかどうか」ということは、重要な要素でもあるかなと思っています。別で項目をいくつかとっているんですよね。そこにおいて、一回、これ自体はひっくるめて、平均値という形で出しているものになります。我々内部では、もう少し細かいものを見ているという形です。
志村:分かりました。ありがとうございます。ご質問者の方も、これから指標を決めて計測されたいみたいだったので、こういう細かい質問を頂いたようです。パーソルの社会の約束というところでも、ワークエンゲージメントを向上しますというお話もあるので、そういう意識が社内のところにも出ているのかなと感じました。
櫻井:そうですね。
トップのメッセージを伝えやすくする工夫
志村:続いて、具体的な取り組みの一つに上がっていた、トップコミュニケーションについてのご質問です。「弊社でも経営者が代わったあとに理念が刷新されました。あとからきたのに自分たちの文化を変えるなんてと、古株の納得感が得られません。そういった社歴を問わず、社員を巻き込んでいくためのアドバイスがあれば教えてください」ということです。
櫻井:難しいですね。まずは、経営層自体でもしっかり議論をしていくみたいなことと。そういうような過程をしっかり社員の皆さんにも伝えていく形の中で、それぞれの社員の納得感が醸成されていくのかなというふうには思いますかね。
あとは、今、ダイバーシティというのが非常に重要になってきていますけれども。多様な人がいるみたいなところをちゃんと踏まえた上で、コミュニケーション自体をしていく必要があると思います。
当然、すぐに受け入れる人もいれば、今までの考え方を大切にしている人もいると思います。そういう人もいるよねということを受け止めながら、その人たちに対してどういうふうに伝えるのがいいのかということを考えていけるといいのではないかと思います。
志村:ありがとうございます。新しくきた人に対する抵抗勢力というのは、どんな組織でもある程度はあるのかなと思っています。先日、櫻井さんと打ち合わせをさせていただいたときに「トップコミュニケーションがトップとしてのメッセージをしっかり話す」「それに対してQ&Aをもらう」という堅めのコミュニケーションだけではなく、割とパーソナルな部分まで包み隠さず伝えるようにしているというお話が印象的でした。
櫻井:そうですね。
志村:こういう古株の人たちが、あとからきた人が変えるのは嫌だというのは、その人のことをちゃんと知れば、あとからきたということは、どんどん関係なくなっていくかとは思います。だから、そこが、貴社が工夫されている点。それこそ、ライブ配信のスタジオを持ったというところも、一つの施策だと思います。コミュニケーション頻度と、包み隠さずオープンにしていくということが、特に、あとからきた人や新しく就任した人に求められることなのではないかと思います。
櫻井:そうですね。だから、100日プランみたいなところでも、まずは和田孝雄という人自体を知ってもらうこと。少しでも近い存在に感じてもらうこと。トップのメッセージを受け入れやすい状態をつくっていくということを私たちも意識して取り組んでいました。
例えば、そこでは、社長の家族構成や、うさぎを飼っていることなど(笑)。そういうところから、少しずつ共感ポイントをつくっていくことで、少しずつメッセージが受け取りやすい状態になっていくのかなと思います。
集合体ではなく、社員一人ひとりの「個人」と向き合う
志村:最後のセッションテーマに触れさせていただきたいと思います。ここは、櫻井さんの個人的な思いとして、個人と向き合うことを大切にしたいというお話がありました。インナーコミュニケーション担当、しかもグループ全体となると、もはやマスですよね。
櫻井:そうですね。
志村:その中で「どう個人と向き合い、どうコミュニケーションに生かすのか」ということについて教えてください。
櫻井:母数だけを見るとマスみたいな形になってしまうんですけれど、我々は社員という集合体として捉えるのではなく、社員一人一人という個人だということを意識してコミュニケーションをしていきたいなと思いますし、そうしていかないと伝わっていかないかなと思っています。
そうした中でも、一人一人の声をなるべく聞くこと。それは、アンケートみたいなものもあれば、何か施策をしたときに事後にヒアリングしてみたり、企画段階からいろいろと意見を聞いてみたり、そういうことで社員自身のリアルな声を吸い上げることは大事かなと思っています。
あとは、違う観点。このWork,and Smile Weekは、比較的、理念浸透みたいなところもあり、テーマが大きいかもしれませんが、社内報の「ツナぐ」「Webツナぐ」に関しては、もう少し一人一人に寄り添ったメッセージや、等身大のものを伝えていけると良いかなと思っています。
社員一人一人の働く価値観にフォーカスをして、それを深掘っていくようなインタビューを掲載したりもしています。コロナでリモートワークが進んでいる中で、入社2年目のとある社員から「リモートワークで孤独感を感じていた。社内報のインタビューの内容を読んで、その人が自分と同じような思いを抱えていたんだとすごく共感をした。それによって勇気づけられた」とメッセージをもらいました。
そういうふうに、一人でも多くの方に思ってもらえるといいかなというふうに思っています。集合体じゃなく、一人一人なんだということを意識しながら、個人と向き合っていけるといいなと、個人としては思っています。
志村:ありがとうございます。社内報「ツナぐ」もそうですし、今まさに進められている絵本もそうだなと思いました。
「はたらいて、笑おう。」はグループビジョンとして大きいものですが、それを一人のストーリーで絵本にしていくというところ。「はたらいて、笑おう。」を個人の考えで表現をするというところが、すごく良いポイントだなと思いました。
櫻井:ありがとうございます。
志村:ここでセッションを終えさせていただきます。ありがとうございました。
(本記事は【Case Study編】〜相互理解と価値観の共有でグループの一体感を醸成〜 ビジョン浸透を促す、パーソルのインターナルブランディング ー re:Culture #18の続編です。)