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会社と職員が「共に育ち、選び・選ばれる関係」へ──住友生命のアジャイル型人的資本経営  [re:Culture#25 レポート]

INDEX

re:Cultureは、人的資本に投資する企業の変革事例を学び企業カルチャーのこれからを考えるイベントです。

今回、住友生命保険相互会社でエグゼクティブ·フェロー 兼 人財共育本部事務局長を務める山田 哲之さんにご登壇いただき、

住友生命保険相互会社のアジャイル型人的資本経営の実践に向けた人財戦略の策定や葛藤、葛藤を乗り越えたプロセスについてお話し頂きました。

本記事では、アジャイル型人的資本経営の取り組みを解説いただいたケーススタディと視聴者からの質問を元にしたセッションの模様を中心に写真つきで振り返ります。全編をご覧になりたい方は、こちらよりアーカイブ動画がご覧いただけますので、ぜひ記事と併せてご覧くださいませ。

▼アーカイブ配信動画はこちら
https://product.talent-book.jp/event/6497/

■スピーカー
山田 哲之
住友生命保険相互会社 エグゼクティブ·フェロー 兼 人財共育本部事務局長
保険販売、人事、教育部門など様々な部門で管理職を経験してきており、新規取組みの立上げも多く主導。なかでも人財共育の分野で多くの経験と高い実績を有している。1988年 住友生命に入社し、その後支社では 北大阪支社長、奈良支社長、栃木支社長、岡山支社長を歴任、その間、本社では人事部人事課 営業人事室長、教育部長、既契約サービス推進部長、法人総括部長、内部監査部 内部監査役を経て、2021年4月人財共育本部事務局長(人事部担当部長)、2023年4月から現職。

■モデレーター
久保 圭太
株式会社PR Table CC室 室長 / エバンジェリスト

北海道札幌出身。二児の父。 PRSJ認定PRプランナー。 ネット専業代理店にて広告企画営業、人事戦略、PRの責任者を経て、2018年よりPR Tableに参画。 カンファレンスやオウンドメディア発信などでPublic Relationsの探究活動を行いながら、コンサルタントとして導入企業様向けのコンテンツ企画・活用支援に従事。 その後、カスタマーサクセス、PR室の立ち上げを経て現職。


住友生命は2021年4月に、社長を本部長とした「人財共育本部」を立ち上げ「職員」を「財(たから)」と位置づけ、「共に育つ」という理念と、「職員全員が人財共育本部の一員であり、管理職はその組織の人財共育本部長である」という考え方のもと、住友生命ならではの人財戦略の策定に着手しました。

re:Culture♯25では住友生命でアジャイル型人的資本経営の推進を指揮する山田さんから

人財戦略・人財共育の目指す姿
2023年度からスタートした取り組み

をお話頂いた上で、

・住友生命にとっての人的資本経営とは?
・人財共育環境づくりにおけるポイント
・改革時の葛藤と乗り越え方

の3つのテーマをQ&Aを交えながらお話いただきました。


人財戦略を作っていくイメージは「注文住宅」

住友生命 山田氏(以下、山田):一般的に人財戦略というと、まず枠組みを整えて、トップダウンで進めることが多いのではないかなと思っています。

一方で住友生命の場合はたくさんの職種があり、それぞれの思考回路があるため、一気に取りまとめて進めるのが難しいと考えました。そこで、全体で合意形成をしながらみんなで作り上げていく方法として考えたのが、アジャイル型という私たちのアプローチになります。

例えるなら「建売住宅」と「注文住宅」ですね。

現在、さまざまなプログラムや人事施策が世の中に出回っていますが、これを集めて「建売住宅」というやり方もあります。一般的にはこちらの取り組み方の方が多いかなと思っています。

私たちはみんなでひとつの人財戦略を作っていこうという考えに至りましたので、設計の自由度が高く、途中で改良もできる、ただ時間やお金、手間がとてもかかる「注文住宅」というやり方です。

各部門と対話を重ねながら、みんなで創り上げていくと最初に予定していたものとは変わっていくこともあります。現在も創っている最中であり、時代の変遷に合わせて創り変えていくので「アジャイル型」としています。

会社と職員が「共に育ち、選び・選ばれる関係」を「目指す姿」として掲げた人財共育

山田:2023年より、人財共育の目指す姿というものを設定しました。

さまざまな職員が働いていますが、一人一人が最大限の力を発揮してもらうために、会社と職員が「共に育ち、選び・選ばれる関係」へ、というメッセージを掲げ、会社と職員は対等なんだというスタンスを示しました。

これを人財共育における理念として、経営政策会議や取締役会を通した上で制定し、経営戦略や人財戦略、スキルや人財要件をコンピテンシーとして見える化しました。これを動かしていくためにどれだけ施策を準備しているかという点も導入前から開示して、各部門長と対話をしながら進めていきましたね。

PR Table 久保(以下、久保):なるほど、施策を実施される前に、全社の各部門と丁寧に対話をしながら進めていったということなんですね。

山田:そうです、部門によっては時期尚早と感じていたり、施策の選び方が違っているんですね。その違っている点も含めて経営に対して明らかにしていくというやり方をしています。

会社の見える化だけではなく、職員の見える化も実施していて自分のキャリアプランや自分の能力、スキルもオープンにしてもらっています。

2023年からスタートした人財共育を推進する取り組み

ここからは2023年からスタートした取り組み事例を紹介いただきました。

本記事では一部を取り上げて紹介させていただきます。

1:新たなコンピテンシー運営

山田:コンピテンシーにつきましては、ベースにスミセイコンピテンシーとして、当社の理念体系、生命保険の周辺知識やデジタル・グローバル・ソーシャルの視点でスミセイ人として必ず持っていてほしいものを定めました。

また、今回総合キャリア職からスタートした職種別共通コンピテンシーと、各部門で作っていただいた専門コンピテンシーがあります。最初は「これはなんなんだ」というところから始まりましたが、最後には本当に積極的に協力いただいて、各部門の部長自らがそれぞれの部門について話す「ジョブフェア」を社内で実施するまで盛り上がっています。

2:デジタル人財共育

山田:デジタル人財共育については、固定給の1万人を対象に進めました。eラーニングでまずは学んでもらってから、ワードやエクセル、パワポなど基本的なものを使える人財を増やしていきましょうということで始めています。

人財の認定を3年間で3000名達成しようという目標を決めていたんですが、管理職の皆さんに人財共育の考え方が根付いていて、まだスタートして3ヶ月で(2023年12月時点)2000人に到達しております。

また、「デジタル企画人財」というDX人財を各部門のエース人財から手上げで登録をしてもらいました。ボリュームのあるプログラムを用意していて3年間で150名を目標としていましたが、現時点で90名に達していて、少し予算も増やしてもらいました。

久保:多様な施策を展開されているなと印象を受けたのですが、2023年から始めた施策がやはり多いのでしょうか?

山田:そうですね、それまでは準備期間と合意形成を作るところに時間をかけました。コンピテンシー運営をするにしても、そもそもコンピテンシーを体系立てて作るという作業が凄まじく時間がかかるものでした。

また、専門コンピテンシーは全ての部門が作ってくれています。最初に理解が進んだ部門でどんな人財が必要なのか体系立てたものを、横展開をしていくような形でした。この部分に時間を費やしたかなと思います。

久保:この2年半で合意形成や土台作りというところにかなり時間をかけて取り組んで、ようやく形になって施策が進んだというのが2023年ということなんですね。


ケーススタディでは他にも多くの具体的事例をお伝えいただきました。

▼アーカイブ配信動画で全編をご覧になりたい方はこちら
https://product.talent-book.jp/event/6497/


パネルディスカッションとQ&A

続けて、ケーススタディを以下3つのテーマで深堀しながら、視聴者のみなさんからの質問にお答えしていきました。

久保:これまでいくつかお話を聞いてきましたが、改めて住友生命にとっての人的資本経営とは、と問われるとどのようにお答えになりますか?

山田:まず間違いなく、経営戦略と人財戦略の連動ということだと思っています。経営戦略というと乾いて聞こえるかもしれないのですが、その背景には経営理念というものがあるなと考えています。

こちらは私自身もこれまで主幹者としてやってきてベースとなる考え方の図でもあるのですが、元々教育学の考え方になります。

DEEP SIDEに「本質」や「目的」、もしくは「価値」「考え方」がありますよね、ここが固まらない中で「方法」「行動」「結果」を求めてしまうと、結局本質に資するものなのかというところがブレてしまうと考えています。

理念というと”夢物語”とか、理念で飯は食えないと言われるかもしませんが、「本質」をまずFIXさせる、それがどんな「価値」があるのかを考える、これはまさにパーパス、ミッション、ビジョン、バリューそのものだと思うんです。

久保:なるほど、本当に本質的なところに時間をかけてまずは伝えて、合意形成をしてという進め方だったんですね。手段から始めてしまったり、他社がやっているからやってみようではうまくいかないということですよね。

山田:そうですね、これを見て「方法はどうするのか?」とか「結果は出るの?」という話が多いかなと思います。今視聴されている人事担当の方が一番困るのが、「それで収益出るのか?」という問いだと思います。

「本質」の部分だったり人的資本という「価値」を上げようという話をしている中で、「結果」の収益を問われるのが、今の日本の文化では“あるある”なのではないかなと思います。ここをいかに潰していくのかというところは結構腹を括った話になりますね。


人的資本経営のための具体施策や施策を進めていくプロセスや葛藤、視聴者からの質問回答についてもたっぷりお話いただきました。

ご登壇いただいた山田さん、この度は貴重なお話を頂き、誠にありがとうございました!

ケーススタディとセッションパートを含めた全編をご覧になりたい方は、こちらよりアーカイブ動画がご覧いただけます。ぜひ記事と併せてご覧くださいませ。

▼アーカイブ配信動画はこちら
https://product.talent-book.jp/event/6497/