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みずほフィナンシャルグループが「ともに挑む」カルチャー変革 ──多様な人材が自分らしく輝ける場をめざして[re:Culture#26レポート]

INDEX

re:Cultureは、人的資本に投資する企業の変革事例を学び企業カルチャーのこれからを考えるイベントです。

今回、みずほフィナンシャルグループで執行役 グループCCuO兼 グループCBOを務める秋田 夏実氏にご登壇いただき、みずほフィナンシャルグループが「ともに挑む」カルチャー変革の具体的取り組み内容についてお話しいただきました。

本記事では、カルチャー変革の取り組みを解説いただいたケーススタディと視聴者からの質問を基にしたセッションの模様を中心に振り返ります。全編をご覧になりたい方は、こちらよりアーカイブ動画がご覧いただけますので、ぜひ記事と併せてご覧くださいませ。

▼アーカイブ配信動画はこちら
https://product.talent-book.jp/event/6675/


■スピーカー
秋田 夏実
みずほフィナンシャルグループ 執行役 グループCCuO兼 グループCBO

〈みずほ〉グループ全体の組織開発、人材開発、健康経営、多様な人材の活躍の推進、カルチャーの改革、コミュニケーション活性化、ブランド価値の向上等を担う。2024年4月よりグループCCuO兼 グループCBO。〈みずほ〉入社前は、米国IT企業のアドビの日本法人副社長として、⽇本のマーケティングおよび広報を統括すると共に、DEIの推進、自由闊達な組織風土の醸成に取り組む。それ以前は約20年に渡って金融業界に身を置き、マスターカードの日本地区副社長、シティバンク銀行デジタルソリューション部長などを歴任。東京⼤学 大学院総合文化研究科・教養学部 諮問委員。
(※イベント実施時はグループCPO兼 CCuO)

■モデレーター
久保 圭太
株式会社PR Table CC室 室長 / エバンジェリスト

北海道札幌出身。二児の父。 PRSJ認定PRプランナー。 ネット専業代理店にて広告企画営業、人事戦略、PRの責任者を経て、2018年よりPR Tableに参画。 カンファレンスやオウンドメディア発信などでPublic Relationsの探究活動を行いながら、コンサルタントとして導入企業様向けのコンテンツ企画・活用支援に従事。 その後、カスタマーサクセス、PR室の立ち上げを経て現職。


長年マーケターとしてCX(カスタマーエクスペリエンス)の向上に取り組んだ秋田さんは、「社員自身が幸福になり満足しないことには、お客様第一は実現できない」と身をもって経験し、そこが現在のキャリアにつながっていると言います。

みずほフィナンシャルグループの変革に対する想いへの共感と、〈みずほ〉がさらに輝くことで日本全体を元気にできるのではという期待から入社に至ったという秋田さん。カルチャー変革の歩みと、具体的な取り組み内容を伺いました。

カルチャー変革へ向けた取り組みは「社員の声」からスタートした

みずほフィナンシャルグループ 秋田氏(以下、秋田):私が〈みずほ〉に入社した時期に、「〈みずほ〉をもっと良い会社にしていきたい」という思いを持った国内外の社員約150名による、参加型ワーキンググループが立ち上がっていたんです。彼らと経営メンバーで半年間ほど議論を行い、さまざまな提言をしてくれました。

秋田:企業理念を再定義する必要性も、彼らが提起してくれました。その同じタイミングで経営側も企業理念の再定義について議論が上がっていたので、経営メンバーが作成した素案を社内へ展開すると、社員からの率直なフィードバックが3,200件ほど返ってきたんです。

そのコメントをちゃんと読んで、案を練り直して、社内展開してまたフィードバックをもらって……というプロセスを繰り返して作ったのが、〈みずほ〉の新しい基本理念・パーパス・バリューになります。

秋田:グループ共通の存在意義として「ともに挑む。ともに実る。」をパーパスに制定し、これをカルチャー変革の推進の旗印にしています。

また、〈みずほ〉のカルチャー変革は「社内」と「社外」の両輪を意識して取り組んでいます。

秋田:企業理念の再定義を掲げていく中で、トップダウンだけでなくボトムアップでも、多くの社員が施策を提案したり、やりたいことに対して自ら声を上げ、手を挙げてくれます。
そこでの取り組みを対外的に発信すると、社外からも興味を持っていただいて、メディアから好意的に取り上げていただくことも少なくないんです。

そういう社会からの評価をしっかりと社内に伝えて還元すると、社員の自信につながります。すると、社内の活動の輪がさらに大きくなって、それをまた社会から取り上げてもらって……。社内と社外の両輪を相互に回して、循環するようにしています。

カルチャー変革を推進する取り組み

ここからはカルチャー変革の具体的な取り組みを紹介いただきました。
本記事では、その一部を取り上げて紹介させていただきます。

1:コミュニケーション活性化の取り組み

秋田:コミュニケーションって本当に大事で、特に何万人もの社員がいる会社だと、一度や二度発信した程度では全然伝わらないんです。やりすぎなほど伝えて、やっと伝わるということがあると思うんですよね。そこを何とかしていきたいと思って、このような取り組みをしています。

秋田:まず社員同士が繋がる仕組みとして、社内SNSを導入しました。登録者は2万人を超えていて、自主的に起こったコミュニティが230を超えています。コミュニティのテーマもビジネスだけでなく、ペット、子育て、ラーメンに関するものなど、本当にいろんなものがあるんです。全国それぞれの拠点にいる社員同士のつながりが自然と広がっていくんですよね。なので、これは導入して良かったと感じています。

またパーパス浸透施策として、企業理念コラボメニューの提供や、2人の社員が同時に社員証をかざすと飲み物がタダでもらえる自販機を導入しました。面白い取組みだと社員に好評でしたし、これくらいの遊び心があってもいいんじゃないかなと思うんです。

PR Table 久保(以下、久保):なるほど、これは確かにコミュニケーションのきっかけにもなりますね。

秋田:そうなんです。コロナ禍でマスクしていた時期が長くて、廊下ですれ違ったり、エレベータの中で一緒になったりしても、カジュアルな会話がしづらい雰囲気でしたよね。そこを変えていきたいと、リアルとバーチャルと両方でつながれるということを意識しました。

2:一体感醸成に向けた取り組み

秋田:大きな組織になればなるほど、一体感の醸成は簡単そうで難しいと思います。

我々はずっとサッカー日本代表のスポンサーをやらせていただいているんですが、昨年初めて冠をやらせていただきました。「ともに応援する」ということ意識して、そのとき制作したCMには、実際の社員に出演してもらっています。

それから、一緒に取り組みの企画・運営をしてくれるアンバサダーを募ったところ、全国から200人以上が手を挙げてくれたんです。試合当日の夜に、全国60か所以上でパブリックビューイングが開催されたのですがが、そこに内定者を招待して一緒に盛り上がったり、ハーフタイムにはサッカーが大好きな役員が解説をしたりと、とにかく「みんなで」アクションを起こすということをすごく意識しました。

また、社内だけの「ともに」ではなく、同じくサッカー日本代表のスポンサーをされている企業さんともいろいろな取り組みをさせていただきました。パーパスを自分たち事として深く考えるきっかけにもなったと思っています。

3:DEI推進に向けた取り組み

秋田:〈みずほ〉では、毎年11月の1か月間をグループ・グローバル共通で「Mizuho Diversity, Equity & Inclusion Month」と位置付けて、期間中に社員発のさまざまな企画を集めたイベントを開催しています。

メインテーマはDEI推進ですが、その年ごとにテーマを設定しています。2023年は「ともにつながる。相互理解を深めよう。」というテーマのもと、有志の社員が企画をしたり、CEOセッションやゲストにもお越しいただいたりして、国内で延べ7,295人の社員が参加しました。

久保:これはナレッジが蓄積されていそうですね。

秋田:やはり継続は力なりで、やるごとに蓄積されていくノウハウはあります。よく他社さんから「どうやってここまでイベントを大きくされたんですか?」とご質問いただきますが、ポイントは社員が起点になっていることだと思っています。フレームワークは人事が用意していますが、プログラムも運営も、社員の有志が考えて実行してくれているんです。


本編では、他にも多くの事例をご紹介いただきました。

▼アーカイブ配信動画で全編をご覧になりたい方はこちら
https://product.talent-book.jp/event/6675/


新パーパス「ともに挑む。ともに実る。」のもと、カルチャー変革に向けさまざまな施策に取り組んできた〈みずほ〉。変革へのアプローチで大事にしてきたことをお話いただきました。

秋田:大きな企業になると、必ずしも全員が同じ方向を向いているわけではないですよね。組織の中にはさまざまな人がいて、役割も違えば、これまで抱えてきた思いもみんなそれぞれ違います。

その中で、ロジカルで正しいことを左脳的なアプローチだけで淡々と伝えても、やっぱり全員の心にはなかなか届かないんです。でも、それでも届けたいし、ともにはたらく仲間として心を開いて欲しい。そうなると、そのためにはワクワクや遊び心も大事にして、そういうものをまぶしながらメッセージを伝えていく右脳的なアプローチが必要になってくると思います。

どれほど優れた施策だとしても、それが社内の多くの人に知られて理解されないと、結局それは存在しないものと同じだということを肝に銘じてやっています。

エンゲージメントとキャリアオーナーシップ

これまでのカルチャー変革の取り組みを通して同じ方向を向いてくれた社員たちが、キャリアオーナーシップを持つこと、つまり「自分のキャリアの舵取りは自分で行う」という気持ちを育むことも同じくらい大切だと言う秋田さん。

ここからは〈みずほ〉のエンゲージメントとキャリアオーナーシップの施策についてご紹介いただきました。

秋田:〈みずほ〉では、社員一人ひとりが自分らしいキャリアを歩めるように、2022年度より「キャリアディベロップメント運営」を行っています。ここでは、社員のキャリア開発を6つのステップに分けて捉えて、ステップごとの施策を展開しています。

その中の一つが、キャリアアドバイザーによる支援です。
自身のキャリアを考える際、上司や先輩に相談する方が多いと思われますが、近いからこそ相談しにくいケースもあると思うんです。そこで、客観的な立場で相談に乗ってくれる壁打ち相手が欲しいというニーズに応えるため、キャリアコンサルタントの国家資格を持っているキャリアアドバイザーが、現在社内に28名在籍しています。
そのキャリアアドバイザーたちが社員としっかり向き合い、日々面談やワークショップを行っています。


talentbookでは、〈みずほ〉で活躍しているキャリアアドバイザーのストーリーを紹介しています。

自分が動いて人の役に立てるのなら。50代で専門性を身につけた私の原動力
https://www.talent-book.jp/mizuhofg/stories/50640

挫折、失敗、出会い、あらゆる経験からたどりついた自分らしさ──57歳で掴んだ専門性
https://www.talent-book.jp/mizuhofg/stories/50424


秋田:それから、社員が今後のキャリアを考えてスキルを磨く上で、学びの支援もすごく大事だと思っています。

例えば、個人で学ぶ場合はデジタルラーニングプラットフォームを用意しています。そこでは、DXやサスティナビリティなどのホットトピックをはじめとしたコンテンツを約3,000講座提供しています。
また、一人で学び始めるのはなかなか難しいケースもあるので、組織で学び合うために社員自身が講師になり、知識やノウハウを共有するということもやっています。

共通の目的を持った社員同士が、自主的につながりあって学び合う「ラーニングカルチャーの醸成」をものすごく意識して取り組んでいます。


本編では、副業制度やアルムナイネットワークなどの施策もご紹介いただきました。

▼アーカイブ配信動画で全編をご覧になりたい方はこちら
https://product.talent-book.jp/event/6675/


パネルディスカッションとQ&A

続いて、ケーススタディを以下3つのテーマで深堀しながら、視聴者のみなさんからの質問にお答えいたしました。

久保:大きな企業のカルチャー変革となると、現場の抵抗やコンフリクトをどう乗り越えるか、各社さまざまなアプローチがあるかと思います。
〈みずほ〉さんには、自主的に手を挙げてくれる人や組織を巻き込むための仕掛けがたくさんあると感じたんですが、社員を巻き込んで変革に取り組んでいけそうだという手ごたえみたいなものは、最初からあったんですか?

秋田:私が〈みずほ〉への入社を決意した一番の理由は、率直にこの人たちとはたらきたいなって思ったからなんです。真面目すぎるくらい真面目で一生懸命な社員たちが、〈みずほ〉をより良い会社にしたいと思っている。お客様に対して、より良い価値を提供できるようになりたいと、本当に真剣に考えているところには共感しましたね。

入社してからは、多くの人が好奇心と興味を持って「私だったらどう思うか、私の目線から見えているものを教えて欲しい」と言ってくれたんです。そんな姿勢で受け入れてくれたことが、何より今に繋がっていると思います。

久保:なるほど。そんな中、無関心な人やなかなか振り向いてくれない人も一定数はいるかと思うのですが、こういう方々はどのように巻き込んでいったんでしょうか?

秋田:コミュニケーション面でいうと、2023年の4月から私と木原社長と一緒に全国を訪れて回っているんです。そこで、こちらも伝えたいことを伝えるんですが、一番大事なことは「聞くこと」だと思っています。

社員が実際にはたらいている場所に出向いて、どんな環境ではたらいているのか、何を感じているのか、どういう状況なのかは、やはり足を運んだからこそ見えることがあると思っています。
なので、可能な限りリアルの対話というところは意識しています。もちろん全てをリアルではやりきれないので、オンラインとのハイブリッド型でコミュニケーションを取っています。

久保:リアルもオンラインも含めて、社員の声をかなりの頻度で聞くようにされているんですね。
「日々どのようなことを意識して、カルチャー変革に取り組まれていますか?」とご質問いただきましたが、こちらはいかがでしょうか?

秋田:私はこの会社が大好きではたらいているので、社員のみなさんにももっと〈みずほ〉を好きになってもらうためにはどうしたらいいかなと考えています。もともとマーケターをやっていたときも、自社の商品やサービス、自社ブランドを好きになってもらいたいと思いながらやっていたので。
対象とする人は、社外から社内に変わりましたけど、本質は変わっていない気がします。

取り組みも仕掛けは用意しますが、そこから広がっていくのは社員のみなさんのおかげかな思います。燃えたい思いというのが、それぞれみんなの中にもともとあるんですよ。私たちは火種をつけるぐらいのことしかやっていないと思っています。


カルチャー変革の歩みや具体施策、施策を進めていく上で大切にしていること、視聴者からの質問回答から取り組みに向けたアドバイスまで、たっぷりとお話いただきました。

ご登壇いただいた秋田さん、この度は貴重なお話をいただき誠にありがとうございました!

ケーススタディとセッションパートを含めた全編をご覧になりたい方は、こちらよりアーカイブ動画がご覧いただけます。ぜひ記事と併せてご覧くださいませ。

▼アーカイブ配信動画はこちら
https://product.talent-book.jp/event/6675/