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【Case Study編】〜従業員と共に成功する会社に〜 全ての従業員を対象とした、ボッシュのD&I推進 ー re:Culture #16

<概要> re:Culture #16ではボッシュ株式会社で人事部門 人材開発グループ セクションマネージャーを務める加藤聡一郎氏より、ボッシュのD&I推進についてお話を伺いしました。 ボッシュにおけるD&I推進は労働環境の改善とセットで進められており、日本においても1990年にフレックスタイム制度を導入、2011年には育児・介護在宅勤務制度を導入するなど、誰もが働き続けやすいインクルーシブな労働環境の整備が行われてきました。 「ドイツ発の外資系企業であればD&Iも進んでいるはず」といった見方もできますが、内資企業と同じく日本という採用マーケットや所謂自動車メーカーといった背景から例に漏れず、女性活躍に始まるチャレンジは漸進的です。 しかしボッシュでは“D&Iは従業員と会社の成功のためにある”という目的意識の基に、全ての多様な従業員がよりパフォーマンスを発揮しやすい環境が整えられて来ました。そして現在は、Equity・Inclusionのための組織のソフトの面について進めていくフェーズにあります。 今回加藤氏より、全ての従業員がパフォーマンスを発揮できる環境のためにどんな施策を講じたのか。今後のソフトの漸進の展望についてお話いただきました。

INDEX

ボッシュ株式会社 人事部門 人材開発グループ セクション・マネージャー
加藤 聡一郎氏
2009年ボッシュ株式会社入社。
事業管理部で個別製品や事業部全体の収益管理、ERPシステム変更のためのプロジェクトなどに従事した後、人事部門へ異動。
人事部門では人事企画部において主にトータル・リワードの視点に基づいた各種制度設計・導入を担当後、2019年からは人材開発グループに主軸を移し、DEIの推進や人材開発に関わる各種施策の企画・運営を担っている。
現在は、人材開発グループと人事企画部を兼務し、人事施策を総合的に考えられる立場を活かして日本のボッシュ・グループにおけるビジョン達成のための活動に取り組んでいる。

モデレーター:PR Table 志村 陸

制度設計とカルチャー浸透の両面を担う、ボッシュ・グループの人事部門

加藤:本日『~従業員と共に成功する会社に~全ての従業員を対象とした、ボッシュのD&I推進』と題しまして、私、加藤からボッシュの取り組みについてご紹介させていただきます。
まず、自己紹介をさせていただきます。改めまして、加藤聡一郎と申します。今、人事部門の人材開発グループというところで、人材育成に関わる施策や、今日のメインテーマであるダイバーシティの推進などに取り組ませていただいております。

あとは人事企画部というところでも、日本で言うと担当課長みたいな立場にあります。人事企画部では各種人事制度の導入に向けた企画・交渉等を担当しております。

私は、2009年に新卒でボッシュに入社しました。最初の7年ちょっとは事業管理部で、収益管理ということで、財務系の仕事をし、そのあとに人事部門に異動しました。
異動後は、今、兼務している報酬関係の制度設計と導入に向けた諸々の交渉等々を担当させていただきました。当時は、人事に関心があったという部分と、事業管理部で培った数字的なところの裏付けを持って、給与関係のところをメインに担当していました。

2019年から今の部署、人材開発グループのマネージャーをさせていただくことを通して、カルチャー、会社内の文化にも関わらせていただくことになりました。会社内ではDEIと呼んでいますが、ダイバーシティの推進や、人材開発に関わる各種の施策を企画・運営しているという状況になります。
今、制度とカルチャーの両面を担当させていただいているので、私の担当領域は日本ということになりますが、日本のボッシュ・グループにおけるビジョンの達成のために活動しているという状況です。

また個人としては「LGBTQ-Ally」と社内で宣言させていただいております。ダイバーシティの取り組みはいろいろありますが、我々は、LGBTQ、性的マイノリティの方に関する取り組みも進めております。
Allyというのは、支援者と言われたりもします。私自身がそういった方にも理解を示して、実際に会社の中でそういった方の助けになるような行動をする者として、自分で宣言をして取り組んでいます。

あとは、個々人の違いや特性を理解するという意味で、今、ボッシュの日本の法人の中では「MBTI」と呼ばれる性格タイプについて、けっこう活発に研修をしたり、そこをベースにコミュニケーションの仕方を工夫したりするということが行われております。私は「ENTP」というタイプです。これは、個々人の特性ということで、癖みたいなところですね。
こういった癖を理解して「こういう人に対しては、もう少し、説明の仕方を変えたほうがいいな」「あの人は私と同じタイプなので、素のままでコミュニケーションをしても大丈夫かな」といったところで、コミュニケーションの活性化にも、こういったツールを使っているという状況になります。

グローバル展開をする「ボッシュ・グループ」の事業構造と特徴的な株主構成

加藤:では、具体的な話に入っていきたいと思います。最初に、ボッシュという会社自体をご存知ない方もたくさんいらっしゃるかと思いますので、会社概要について少しだけ説明させていただければと思います。



グローバルの状況についてご紹介します。グローバルでは、従業員が40万人弱いるという状況です。そのうち、7万人強が研究開発に従事しております。
売上高としましては、ユーロで書かれておりますが、715億ユーロということで、日本円にするとだいたい9兆円くらいという規模の会社になっております。

事業構造なのですが、こちらに挙げている四つが柱になってきます。モビリティソリューションズという自動車部品の関係が主軸になっておりまして、こちらが60%ほどの割合を占めております。
あとは、その他にも事業をしております。産業機器テクノロジーと呼ばれるものや、消費財。これは、皆さんがご自宅でも使っていただけるような家電類が入っております。
あとは、エネルギー・ビルディングテクノロジーということで、大きな建物等に入る設備。こういったものを取り扱わせていただいているという会社になります。

あと、我々の会社の特徴として、少しご紹介させていただきたいのが株主構成です。一番の親会社であるドイツの法人、ロバート・ボッシュGmbHの株主構成を見ていただきますと、ロバート・ボッシュ財団という財団が94%の株を保有しておりまして、創業家が残りの5%も持っているという極端な構成になっております。
議決権としては、93%をロバート・ボッシュ工業信託合資会社というところが持っております。つまり、我々、非上場の会社になっております。

非上場ということで、資本の面で、資金調達の柔軟性は狭まるものの、その分、長期的な視点に立った経営ができます。実際に、長期的な目線から戦略を立てて、いろいろなことに投資をしているということになります。

あとは、ロバート・ボッシュ財団というところが何をしているかということです。創業家・創業者の意志を受け継いで建てられたのが、このロバート・ボッシュ財団というものになっております。
実際に、右に挙げているように、病院であったり、皆さまの健康に関わるような研究開発をしたり、そういった社会の役に立つようなことを支援するような財団になっております。
ここまでがグローバルの話になります。

自動運転の研究開発も。日本ではモビリティソリューションズ事業を中心に展開

加藤:ここから、日本のボッシュ・グループについてご紹介させていただきます。日本への進出が1911年ということになっております。従業員数はグループ会社を含めて6,500人ほどです。売上規模としては、第三者売上が2,700億ほどです。

事業構造は、基本的に、先ほどご紹介したグローバルのものと同じです。特徴としては、日本の場合には、モビリティ・ソリューションズの比率がより高く、8割、9割というところで、まだまだ車中心です。今、他の事業においても、売上を伸ばそうと活動しております。
最近は、DIYも流行っておりますし、我々自身も販促を頑張っているという状況です。ホームセンターやAmazonで関連商品を見ていただくと、消費財にあたる部分で、例えば、庭仕事関係の道具や掃除機などの家電関係を見かけられた方はいらっしゃるかなと思います。


革新技術の軌跡と題しております。元々の祖業、最初に主力だった製品は、一番左上にあります、マグネトー式のスパークプラグと呼ばれる製品でした。そこから、ヘッドライトやディーゼルエンジンのインジェクションシステム、ガソリンエンジンの関係などもつくっております。
あと、今、車でついていないものはないかと思いますが、ABSと呼ばれるアンチロックブレーキシステム。こういったものも開発して、市場に投入し、皆さまにお届けしている会社になります。
最近では、回生ブレーキの関係のシステムや車線変更支援システム、何かと話題の完全自動運転にも取り組んでいる会社になります。

あとは、グローバルの中での日本の位置づけです。自動運転に関しても、今、グローバル4拠点で開発を進めています。その中の一つが日本となっております。

あとは、二輪・バイクの関係です。日本の市場でも、最近、バイクの人気が出てきて、ツーリングの用途で盛り上がっているという状況があります。実は、ボッシュは、日本で二輪関係の製品を大々的に取り扱っております。横浜にグローバルの本部を設置しているという状況です。
モータサイクル&パワースポーツ事業に関しては、日本がグローバルのリーダー役として、事業活動を進めているということもあります。

会社の説明はこれで最後になります。2021年、ボッシュは日本進出110周年を迎えることができました。実は我々、110年間日本でビジネスをしている会社ですよというところで、会社の説明は締めくくらせていただきます。

ボッシュにおける「ダイバーシティ」の考え方

加藤:本題に移ります。『私たちのD&I推進活動』と題しまして、我々の実際の取り組みをご紹介したいと思います。

まず、土台になるものとして、私たちがグローバルで、会社全体として大事にしている、ボッシュのバリューについてご紹介させていただきます。
会社のバリューというものは、何度かつくられてきて、いろいろあったんですけれども。今の七つの言葉に集約されたタイミングというのが、2002年になります。何が掲げられているかと言いますと「将来と収益への志向」「責任と持続可能性」「イニシアチブと強い意志」「オープンであること」「フェアであること」「信頼・信用・遵法」「多様性」です。
今日のテーマであるD&Iに関係する部分としては、ズバリ「多様性」という言葉が入っていますし、関連する言葉としては「オープンであること」「フェアであること」も入っているという状況になります。

あとは、我々がダイバーシティに関して掲げているスローガンの一つに「Diversity is our advantage」があります。こちら、我々のホームページにも掲載しているダイバーシティ宣言の中身です。
「すべての従業員の大切にし、そのポテンシャルを最大限に発揮できる企業であり続けるために。私たちはダイバーシティを“財産であり、成功するための要素”と考え、大切にしています。人種、性別、年齢、国籍、宗教、障がい、性自認など、すべての他者を受け入れ、機会均等と多様性の尊重を積極的に推進します。」
これを元に、様々な活動を行っております。

我々の考え方を、絵にして、整理をしてご紹介したいと思います。こちらの絵が『ボッシュにおけるダイバーシティの考え方(DEI)』と題したものになっております。
DEIは何ですかと言いますと、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン、これら三つの英語の言葉の頭文字をとったものになります。同じようにDEIや、DE&Iなどを掲げられている会社さんもあります。
この絵は、今年新たに出してきたものになるんですけれども、こういった整理をしてダイバーシティを推進していきましょうということで、内部で展開をしております。

少しだけ内容をご紹介します。ダイバーシティは「異なる個性、経験や考え方、個人的な背景や人生の計画を持つ個人が、チームや組織のあらゆるレベルにいること」ということです。これは、多様であること、そのものを指しています。

次のエクイティ。これがなかなかつかみどころがなく、どういった意味なんだろうと難しいところかもしれないんですけれども。ここで説明している言葉としては「一人ひとりの固有のニーズに合わせてツールやリソースを調整し、誰もが能力を最大限発揮する機会を得られるよう、組織的な障壁を取り除いていくこと」とあります。
少し分かりやすいかなという事例を取り上げます。例えば、新卒で新入社員が入ってきました。その人たちに、単純に、職場に配属して、周りの先輩社員と同じようにパフォーマンスを出してくださいと言っても、なかなか難しいです。これは、スタート地点が違うので、エクイティが実現されていない状態と言えます。
そこで、新入社員研修という形で教育を施して、社会人としての知識や、ボッシュの中で仕事をすることに関する知識、プロジェクトの進め方のスキルアップなどを提供することによって、土俵・スタートラインをなるべく同じにして、そこから成果を出してもらえるように環境を整えます。このことは、皆さんもエクイティと意識せずにやられていることかなと思います。

あとは、インクルージョン。こちら、日本の中でだいぶ浸透してきたので、分かりやすい言葉かなとは思います。簡潔に言えば「相手を尊重し受け入れる」ということです。自分と違ったとしても「あなたはそういう人なんですね」ということを認めて、それを尊重して受け入れるということになります。

そして、真ん中です。この三つが重なった部分に、帰属(Belonging)を置いています。DEIを達成することによって「従業員が自分らしく、組織の一員として、居場所があると感じられる状態をつくっていきましょう」というのが、この考え方のコンセプトになっております。


もう一つ、絵が続くんですけれども。こちらが、ボッシュのダイバーシティモデルと呼ばれるものになります。こちらは、2019年に新たにつくったモデルになります。「我々がなぜダイバーシティをそもそも推進するのか」、そして「推進するダイバーシティの中身は何なのか」というところを一つの絵に集約したものになっています。

土台の部分で多様性を理解する。そして、多様性を尊重し、多様性を活かす。最後に利益を得るためと書いております。我々がボランティアでダイバーシティを推進しているわけではなくて、組織的な成功のために、事業・ビジネスを成功に導くために、こういったダイバーシティを推進しているということを、この絵でも示しています。

あと、もう一つ大事な点としては、一番下の土台の部分になります。この中に、いろんな言葉が書かれています。よく言われる、ジェンダーですとか、年齢・ジェネレーションみたいなことだけではなく、内面的な側面ということで、人種や身体能力などの言葉も出てきています。

一番真ん中には個性ということで、一人一人の違い、そこまでをダイバーシティのスコープとして捉えているというところに、一つ特徴があるかなと思います。

従業員の「健康」や「働きやすさ」を意識した創業者の理念

加藤:こういった考え方なんですが、元々のベース・土台が、創業者の理念継承からきていますよというところが、このスライドでのご紹介になります。
創業者の理念ということで書いておりますが、元々、創業者は、1906年というかなり早い時期に、今、我々に定着していて自然に受け入れている8時間労働制を会社で導入しました。これが、生産効率を維持するのに最適な方法だと確信していたというふうに、振り返って言われています。

実際に、労働環境の整備という形で、1906年に8時間労働制、1910年に土曜日半日勤務・有給休暇制度が導入され、1953年には従業員の健康保険を導入しております。創業当初から、従業員の健康や、従業員の働きやすさを意識されてきております。これを継承しながら、我々、ワークライフバランスの実現に向けた取り組みを経営課題として、ずっと捉え続けています。その中で、ダイバーシティの推進を続けているという状況です。


ここまで、グローバル的な全体の話が続いたので、もう少し具体的な話として、日本におけるDEIの推進の変遷を、こちらのスライドでご紹介させていただきます。こちらも、実は、スタートが、総労働時間削減というところからはじまっています。人によっては「ダイバーシティの話なのに労働時間?」というところで違和感を感じられるところかもしれません。
こちらを見ていただくと、仕事と生活の調和と題し、取り組みを載せています。1983年に一斉退社日新設ということで、何時になったら帰りましょうと、皆さん一律、一緒に帰る日をこの時期に制定しました。
また、1984年に、年休取得目標の設定を開始しました。このときは、たしか、年間6日という形だったと思います。その後、徐々に目標を引き上げていき、2012年頃には付与された日数の100%をとりましょうということで、実際にずっと100%前後で、使わずに捨ててしまうという有給がない状態を継続しているという状況です。
あとは、フレックスタイム制度も1990年に導入しています。業界内でもそうですけれども、日本全体で見ても、製造系の会社においては、比較的、早い時期かなと思います。

あとは、仕事と家庭の両立支援というところが真ん中にあります。ここは、皆さんが安心して長く働ける環境づくりということで、育児・介護の関係ですね。このあたりの制度を充実させてきております。
当然、この間、法整備もされたんですけれども。基本的に、多くの仕組みで、法律の要件を上回るような条件設定をしてきております。

あとは、直近のフェーズなんですけれども、一人一人が自分らしく能力を発揮し、ビジネスの成功に繋げるというところで、多様で柔軟な働き方の実現というふうに題しております。ここは、一人一人のニーズに応えるということなので、施策としてすごくたくさん入っています。
例えば、在宅勤務の関係で言いますと、育児・介護が少し先行しまして、2011年。その後、2015年には、一般の在宅勤務制度を導入しております。
あとは、社内の従業員の団体ですね。従業員が実際に集まって、自分たちの抱えている課題について相談し合ったり、場合によっては会社に提言をしたりという集まりを、いくつか会社の中でつくっています。そのはじまりとしては、women@bosch Japanということで、2011年に女性関係のコミュニティが立ち上がっています。
あとは、2014年に、Diversity@bosch Japanということで、ダイバーシティや働き方の柔軟性を高めるといったテーマで、従業員自身がどういった施策が必要かを考えて、提案をして、実際に何かアクションを起こすといったこともやっています。これは、実は、私も第1期の活動に参加しました。
他にも、Family@bosch Japanということで、家族のテーマについて話し合うコミュニティができたり、LGBTQ@bosch Japanということで、LGBTQ当事者とAllyが集まるコミュニティを立ち上げております。

特徴的な仕組みとしては、2016年にベビーシッターの補助制度というものを入れております。従業員がベビーシッターを雇って利用する場合に、会社が一定額を補助するという仕組みを入れました。
また、障がい者関係ですね。障がい者雇用の関係で、2017年に業務サポートセンターを設立しました。こちらは、精神障がいの方を中心にご活躍いただいているんですが。これは、簡単な軽作業をしていただくとかではなく、普通の業務をしていただくことも多いです。
例えば、このあとご紹介するイベント等々も、企画の段階から関わっていただくということもやっています。最近ですと、一部の方は、AIの技能を高めて、実際に会社内でそういったツールを導入する取り組みをしたり、かなり高度なことをしただいているということに特徴があるかなと思います。

「ダイバーシティ・デー」を開催。ダイバーシティについて知る機会を

加藤:今ご紹介した項目について、いくつか、もう少し詳細な情報を共有させていただきたいと思います。まず、こちらです。ダイバーシティについて従業員の皆さんに知っていただく機会、考えていただく機会として、ダイバーシティ・デーというのを毎年、開催しております。

こちら、グローバルで2014年にはじまったものなんですけれども、日本では2015年から外部講師による講演会がはじまりました。外部の方をお呼びして、従業員にダイバーシティに関する新しい知見を得ていただき、それをきっかけにダイバーシティについていろいろと考えていただく場を設定しています。
2015年には、ダイバーシティの重要性ということで、まずは「そもそもダイバーシティはなぜ推進するのか」ということを改めて取り上げました。そのあとは「介護と仕事の両立について」「男性の育児参画について」「無意識の偏見について」ということで、そのとき、そのとき、会社の中でもこれが次はホットじゃないかということで、考えて、テーマにしております。
あと、右側にあるインフォ・マーケットというものは、Diversity@bosch Japanという従業員主体の取り組みのメンバーが「実際に、我々はこういう取り組みをしていますよ」ということを、パネルを設置して、他の従業員に説明をする機会を設けたというものです。

多様性をより深く知るための「ダイバーシティ・ウィーク」

加藤:ダイバーシティ・デーからウィークへということで、こういった取り組みを2019年から、今年も含めて実施をしてきております。ここは、少し過渡期になっています。コロナによって、対面で実施することが難しくなってきたということもあり、ここ3年は、それぞれ、3回、実施形態が異なります。

2019年には「今知るべき性の多様性」ということで実施させていただき、LGBTQをテーマにしております。このときは、まだ対面でできましたので、会社内の複数の拠点を結んで、生中継・ライブで講演をしました。あとは、少しでも会社の中で身近に感じていただくという意味で、当事者の方とAllyの方に実際に登壇いただいて、パネルディスカッションを実施したというところもあります。

2020年は、障がいをテーマにしました。これは、前回の2019年と同じように、講演会と、社内の当事者が登壇したパネルディスカッションという形をとらせていただきました。残念ながら、コロナによって人を集めることが難しいということで、事前に収録をして、それを社内の動画配信サイトに掲載し、従業員に展開していくという方法をとりました。

2021年は「ジェネレーションギャップ×相互理解=innovation!」という、また広いテーマで、ジェネレーションを取り上げました。あとは、1週間という時間をとったことを行かして、2020年と同様に講演会とパネルディスカッションは事前収録したのですが、今回は1週間という期間をいかして、期間中に社内の有志の従業員と一緒にパネルディスカッションをライブで実施しました。

社内で活動する「多様なコミュニティ」

加藤:あとは、社内のコミュニティの紹介をさせていただきます。
women@bosch Japanと呼ばれるものは、ボッシュ女性従業員の公式ネットワーキングの場となっております。ここに参加しているメンバーが意見交換をしたり、時には会社にいろんな提案をしてもらったり、そういった組織になっております。

次に、Diversity@bosch Japanです。私は、こちらの1期、一番下の「いくじら・かいジイ育児介護両立サポート」というところに入っていました。この活動は、従業員自身がそれぞれのテーマで具体的な施策やアクションについて考え、実際に行動を起こしたという点に特徴があります。例えば、実際にどうしたらタイムマネジメントがうまくなるんだろうとか。在宅勤務研究会であれば、在宅勤務制度を一般に展開するためにはどうしたらいいんだろうとか。実際に、ここのチームの成果をもって、一般在宅勤務制度が導入されています。
育児・介護の関係では、いろいろと悩みを聞く中で、社内に情報はあるんだけれどそこにリーチできていないということも課題として見えてきましたので、そういったものを展開できるようにリーフレットを作成するとか、そういったことに取り組んでおります。

続いて3期、4期とありますが、ここでは、ワークスタイル研究と育児と介護がテーマとなりました。育児と介護は一緒にしがちなんですけど、中身はけっこう違うということで、分けて活動をしております。ここにあるような、いろいろな取り組みをしているというところになります。

こちらはFamily@bosch Japan、仕事と育児、介護を両立する従業員のネットワークです。先ほどご紹介したDiversity@bosch Japanがきっかけ、土壌になって、生まれてきたコミュニティになっております。

あと、LGBTQの施策ですね。コミュニケーション関係であったり、研修も実施しましたし、社内の制度ということでは、ルールづくりもしました。あとは、なるべく、同じ権利を提供できるようにということで、法律は越えられないのですが、会社の中でできることをやろうということでパートナー登録制度も導入しました。この仕組みによって、少なくとも、社内では、法的な結婚をした場合と同じように扱いましょうということで取り組んでおります。
また大事なのは、理解者がいることだなと考えており、当事者とAllyによる社内活動も活発に行っております。

DEI推進の中でボッシュが大事にしていること

加藤:個別の話をしてきましたので、ここからは、改めて、我々が大事にしていることについてご紹介したいと思います。DEI推進において重要なことは何かということで、まとめさせていただきました。

最初は、この絵の説明が必要かなと思います。塗られている真ん中の丸というのが、本来、その人が持っている個性だとします。その周りを覆っている丸が、その人が社会的に使っているペルソナ、人に見せている姿だとします。
このときに、左側の状態、ダイバーシティが生かされていない状態で何が起きているかということで、代表的な例を二つ載せています。

一つは、コラボレーションは起きているものの、参加者が均一化されてしまっている状態です。実は、内面的には、皆さん違っていて、ダイバーシティは存在しています。でも、社会的な面で、皆さん、均一化されたペルソナを被っているので、表に見えている姿というのは皆一緒、もしくはかなり近い状態で、新しい意見が出るということが起きていない状態です。

もう一つは、皆さん、自由に振る舞っているんですけれども、自由に振る舞っているだけでコラボレーションが生まれていない、コミュニケーションが断絶している状態です。これも、ダイバーシティが活かせていない状態なのかなと思います。

我々が目指しているのは、右側の状態、ダイバーシティが活かされた状態です。それぞれの方が個性を持って、その個性を実際に発揮しながら活動している。その上で、コラボレーションが活発に起きている。これが理想形かなと考えて、取り組んでいます。

Diversity、Equity、Inclusion、すべてが重要

加藤:Diversity、Equity、Inclusion、すべてが重要だということで書いています。

ダイバーシティに関して、我々が大事にしていることを言葉にしてみました。まず、外的な側面だけではなく、内的な側面のダイバーシティを追求していくことです。そして、実は誰もがマイノリティ。内面まで深掘りしていけば、マジョリティに見える、例えば男性従業員というのも、一人一人マイノリティが側面を持っていますよねと。その視点がすごく大事かなと思っております。
あとは、誰もが持っている「違い」を表に出すために、一人一人が持つ個性、個性的な価値観・考え方を引き出して尊重していく。これが大事だろうと捉えています。組織に過適応してしまうと、そこに求められた役割を演じてしまうというのは、誰にでも起こり得ることです。それだけだと、多様性が生まれない、多様性が生かされません。そこをいかに掘り下げていくかが大事だと捉えています。

エクイティに関しては、働き方の柔軟性を増して、何らかの制約を抱えた人も障がいなく活躍できる環境を整えるとか、他者が抱える制約に関心を持ち、その制約について知る努力をして、必要な合理的な配慮を実施する。なんでもかんでも優しくすれば良いというわけではなく、必要な配慮をすることが大事だと考えています。

インクルージョンですね。ここでのキーワードは、リスペクト・尊重かなと思います。尊重するという意味では、他人の価値観までは押し入らないという意味で、人ではなく、行動や結果に焦点を当てるということです。これは、一見、冷たい言葉のようにも聞こえるんですけれども、個人の感情で対立するのではなく、仮に気持ち的に受け入れられなくても、その人の行動でちゃんと評価をすることが大事だと思います。

あとは、アンコンシャスバイアスです。最近、いろいろなところで話題にもなっていますね。アンコンシャスバイアスについては、知ることも大事ですし、なるべく排除するような仕組みを入れることも大事なのですが、そうは言っても完全にはなくせません。ですから、逃れられないと理解した上でコミュニケーションをとっていくという姿勢が大事だと考えています。

ボッシュジャパンのビジョンーー「人と技術でつなぐ未来」とは

加藤:最後になりますが、今年、ボッシュの日本のグループの中では、新たなBosch Japan Visionをつくりました。大きなビジョンとしては「人と技術でつなぐ未来」というタイトルです。
一番下に九つの重点項目が挙げられており、このうちの三つが「人と文化」ということで、人に直接関係するようなテーマになっています。選ばれる会社であったり、リーダーシップ全員発揮であったり、学び続ける姿勢というところが挙げられています。今、カルチャーが、会社の中ですごく重視されています。

あと、ダイバーシティに関しては「選ばれる会社へ」という中で取り組みをしています。今、私自身、この三つとも関わらせていただいているので、それぞれ、関係する部分をうまく連携しながら取り組みをしているというのが、今の我々の状況になります。
私からの一方的な話はここまでにさせていただきます。

志村:ありがとうございました。皆さん、いかがでしたでしょうか。私の率直な感想としては、めちゃくちゃいい会社だなと思いました。

最初にあった、非上場であるという背景も含めその中で、今、日本でもすごく言われているD&Iをかなり早い時期から取り組んでいるということ自体が、企業としての主体性、企業の想いとして能動的に取り組んでいるんだなというのが、すごく重要なポイントだと思いました。