企業の情報発信のスタンダードになるために。お客様と磨き上げる“talentbook”のこれまでとこれから
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2020年から2021年前半にかけてのPR Tableは事業が思うように伸びず、会社として大きな苦しみの渦中にありました。そんな中、お客様の声に真摯に耳を傾け、社内で粛々と事業の立て直しに取り組んでいたのが、当時、新たに加わったメンバーたちでした。
2021年に「働く人」から企業の魅力を伝える広報・PR支援サービスとしてリスタートした「talentbook(タレントブック)」。今回はこのサービスを支えてきた2人のメンバーに、当時の様子を交えつつ、現場でどのような取り組みを重ねてきたのか、詳しく聞きました。
Profile
石橋 知男 Tomoo Ishibashi
株式会社PR Table カスタマーサクセス部門長 兼 BP
スタートアップ、大手グループなどで、セールス、企画、事業立ち上げ、などを経験し、2020年10月にPR Tableにフィールドセールスとして入社。その後、アカウントエグゼクティブとして既存クライアントの全体設計~効果測定など伴走しながら課題解決に携わる。2021年2月よりBPを兼務し、現在は、カスタマーサクセス部門長 兼 BPとして、主にCS部門の予算管理、戦略策定、KPI策定、進捗管理に携わる。
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Profile
嶋勇輝 Yuuki Shima
株式会社PR Table セールスマーケティング 部門長 兼 PMM
ベンチャー、大手グループ、スタートアップ企業にてセールス・事業開発・マーケティングを経験し、2020年4月にPR Table入社。アカウントエグゼクティブとして既存クライアントの全体設計~効果測定を実施、伴走しながらアップ&クロスセル、解約抑止に従事。2021年2月よりPMMを兼任。現在はセールスマーケ部門長 兼 PMMとして、主にSL&MK部門の予算管理、戦略策定、KPI策定、進捗管理に従事。
平坦じゃない道のりも、自分たちにとっては必要なものだった
── 会社としては迷走期ともいえる時期に入社した2人の目に、当時のPR Tableはどのように映っていましたか?
嶋 :会社組織としては過渡期にあったのかもしれませんが、そこまで迷走しているとは感じていませんでした。スケールを目指したビジネスのあり方を模索し続けている、スタートアップならではの状態だな、と。
石橋 :僕も同じです。むしろ入社するにあたり、ものごとが決まりきっていない環境、これから事業を伸ばしていくフェーズの会社を求めていたくらいだったので、ちょうど良いタイミングだったなと思いましたね。
嶋 :確かに僕が入社して以降、プロダクト名称を元の『PR Table』から『talentbook』へと変更したり、料金体系を大きく変えたりと、方針転換が重なりました。ただそれは見方を変えれば、市場や顧客のニーズを改めて探り、試行錯誤しながらチャレンジを続けていたということでもあると思います。
ビジネスをスケールさせるには、形にしてはそれをまた壊し……というプロセスの繰り返しが必要となる時期もありますよね。
石橋: そうそう。抜け道がなくて迷走しているというより、スピード感をもって何度も軌道修正をしていた感覚でした。
もちろん、料金やサービス内容を変更したことでご迷惑をおかけしたお客様もいらっしゃいましたし、営業としても売り上げを確保するのが大変な時期はありました。それでも、チャレンジし続けたこと自体は決して悪くはなかったんじゃないかな。
嶋 :いろいろなハレーションが起きましたし、影響範囲も決して狭くはありませんでした。でも僕たちにとっては、お客様と改めてコミュニケーションをとっていくプロセスを通じ、払っていただく費用に対して、自分たちが具体的にどんな価値をご提供できるのか、深く考え直す良い機会になったと思います。
お客様の「今」と「未来」に徹底的に向き合った日々
── ご契約いただいているお客様をサポートする営業担当として、実際にどのような取り組みを行っていたのか教えてください。
嶋:僕の場合は入社半年後くらいから、お客様に対するコミュニケーションの仕方を意識して大きく変えていきました。
2020年前半頃、PR Tableではお客様に対して、『定期的に一定量のコンテンツを発信し続ける』ことを重視したはたらきかけをしていました。とにかく情報を発信しないと伝わらない、そのためにはそれなりのコンテンツ量が必要——確かにそうした側面もあるのですが、そもそもお客様には、情報発信を通じて達成したい目的、ゴールがあるわけですよね。
僕はまず、それぞれのお客様が『どういう状態にたどり着ければゴールなのか』を突き詰め、コンテンツを通して誰に何を伝え、どういうアクションを起こしてもらいたいのかを一緒に考えていくことから着手していきました。
石橋 :僕もそうした部分を丁寧にサポートしていけば、お客様が自らtalentbookを使い続ける意味を見出してくれると感じていました。
嶋 :実際に3カ月くらい続けて、一定の手応えを感じることができたんです。情報発信、コンテンツ制作を行う目的が明確になったことで定量的な効果測定ができるようになり、お客様にも成果を実感していただきやすくなったと思います。
発信の成果をレポーティングするにしても『この記事の閲覧数は何千PVでした』で終わるのではなく、よく読まれたり、滞在時間が長かったりしたコンテンツを分析し、考察を加えたうえで仮説を立て、次に制作するコンテンツにつなげる動きを意識的に実践していきました。
── 活動内容に関しては、チームで話し合って決めていたのですか?
石橋: いや、はじめのうちは各々が個別に現場で試行錯誤をしていましたよね。
嶋: うん、そうですね。幸い経験値が高く、自分自身で考えて動けるメンバーが集まっていたので、それぞれが工夫しながら担当するお客様の満足度を高める取り組みを行っていました。
各自が日常的に行っていた施策をチームに持ち寄って話し合い、類似した取り組みをまとめて少しずつ相互にアップデートしていきました。その結果、2021年の年明けを迎える頃には、talentbookとしてお客様にどのようなサポートをしていくべきか、ある程度のフローやロードマップがまとまった状態まで持っていくことができました。
今何を求められているのか──選択と集中が導き出した答え
石橋: 次に僕たちが取り組んだ課題は、talentbookのプロダクト面を強化することでした。当時からすでにSaaSサービスとうたってはいたものの、実際にお客様に対して提供しているのは、コンテンツの制作支援やコンサルティングサービスなど人的サービスがメインでしたから。
嶋: プロダクトについては3カ月くらい、石橋さんと徹底的に話し合った時期があったんですよね。お客様のエンゲージメントを高めるにはどんな機能を追加すべきか、そのために社内のオペレーションをどう構築していくかなど……。
石橋: 夜は僕が子どもをお風呂にいれなきゃいけないので、いつも明け方に2人で延々とね(笑)。
それまで自分たちが属人的に行っていたコンテンツ制作支援やコンサルティングの部分を、できる限り分解してプロダクトに落とし込んでいったんです。『talentbookCMS』にログインしてもらうことで、お客様が抱えている課題がある程度、解決できるようになることを目指していました。
嶋:具体的には例えば、コンテンツの構成案を200パターンほど作成してCMSから利用できるように実装や、パラメータ機能、アナリティクス機能のアップデートを行いました。この段階まできてようやく、SaaS型のサービスとして、お客様にご活用いただける最低限の機能・品質が担保できたように思います。
実際、プロダクトの改善に取り組む以前と比較すると、個々のお客様のログイン時間が長くなり、新たに実装した機能も活用していただけていることがデータから明確にわかっています。
石橋 :僕たちとしては、成果や手応えを得たというより、やっと地ならしが終わった、という感覚でした。
── 山積みの課題と向き合うにあたって、2人はどのような役割分担をしていたのでしょう?
石橋: 嶋さんは、顧客に対するパフォーマンスを最大化するための『選択と集中』をする判断に長けているので、もうそこは信頼してお任せしていましたね。
嶋: どちらかというと僕は、ディテールを仕上げていくことの方が得意なので。その前段階でいつも、石橋さんがマクロ視点でものごとを整理してくれていたので助かっていました。
石橋:それからもう一つ。実は僕たち2人とも、PR業界での実務経験や知見がない状態でPR Tableに入社しているという共通点があるんです。それが今回に限っては、プラスにはたらいたところがあるかもしれません。
嶋: そうですね。プロダクトを磨いていくフェーズにおいて、PRの概念や定義、これまでの常識などに関するフィルターを取り払った状態で、『お客様にとって必要な機能は何か』『もっと便利に利用していただくには何が必要か』をシンプルかつフラットに考えられたことが大きかったと思います。
企業の「伝わらない」を解決する、なくてはならない存在を目指して
── 2人は「talentbook」がこれから、お客様にとってどんな存在になり得ると考えていますか? また改めて、これからの意気込みを聞かせてください。
石橋: talentbookは、例えばコンテンツをSNSでバズらせたい、有名なメディアに取り上げられたい、直近の売上を増やしたい、といった目の前の成果を判断基準として置いてしまうと、導入しにくいサービスかもしれません。ただ僕たちはこれが、企業の未来をつくっていくために“なくてはならないツール”になり得ると考えています。
かなり遠回りに感じる方もいるかもしれませんが、社内にいる個人(=タレント)にスポットライトを当てることで一人ひとりが輝けば、個々人のモチベーションや生産性の向上につながり、それが最終的に強い組織をつくることにたどり着くはずです。どのくらいのスピードでその目的地に到達できるかは、これからの僕たちのがんばり次第ですけどね。
嶋:僕たちとしては、企業の『伝わらない』を解決するために、サービスとして、プロダクトとしてどうあるべきなのかを追求し続けていかないといけないですよね。
日々のコミュニケーションの中でお客様を理解するのはもちろん、talentbookの読者についても理解を深め、発信した一つひとつのコンテンツがどんな成果をもたらしたのか、届かなかった場合はその理由や原因がどこにあるのか……これからも引き続き、こうした要素を丁寧に拾い上げながら情報発信をするSaaSサービスとしても、読者が良いストーリーに出会うメディアとしても価値を高めながら提供していきたいと思います。
そうしたサービス内容とプロダクトの機能をしっかりつなげて進化し続けていけば、PR Tableが目指す『働く人の笑顔が“連鎖する”世界』を、みなさんと一緒につくりあげていくことができると考えています。