「『個』に向き合いリアルをさらけだす‐嘘がバレる時代に求められる求職者との関係構築」ーーイベントレポート#18
INDEX
個人の情報発信が当たり前になった今、社員や求職者のクチコミは可視化されて、嘘がバレる時代です。より透明性が求められるこれからの採用活動において、企業と求職者はどのような関係を構築していくべきなのでしょうか。
2019年4月16日、PR Table Communityイベント第18弾として、採用市場において第一線で活躍しているプレイヤー達をゲストに迎え、「『個』に向き合いリアルをさらけだす‐嘘がバレる時代に求められる求職者との関係構築」を開催しました。
これからの採用ブランディングの在り方、採用活動に臨む「個」としてのスタンス、今後の求職者との関係性構築について。それぞれの立場で語っていただきました。
▼ゲスト
寺口 浩大さん(株式会社ワンキャリア 経営企画室/採用)
西島 悠蔵さん(ベルフェイス株式会社 コーポレート事業部人事責任者)
渡邉 慎平さん(ナイル株式会社 社長室 採用人事マネージャー)
光沢 真実さん(AnyMind Group HR Manager)
▼モデレーター
久保 圭太(株式会社PR Table)
「採用」におけるブランディングとは?解釈と誤解について
まずはイベントのタイトルにちなんで、ゲスト各々のさらけ出しエピソードを交えた自己紹介からスタート。来場者が参加の目的をシェアしあうブレイクタイムを挟み、会場が温まったところでトークセッション開始。
「嘘バレ」の時代を紐解くキーワードとして、「個のメディア化」「人事のフォーメーション」「ブランドへの誤解」「キャリア観」「クチコミの半実名化」「Z世代の就活」の6つのパネルが映し出されました。
久保 圭太(以下、久保):本日は「#嘘バレ」というテーマを紐解くキーワードを、1つずつ選んでいくパネル形式で進められたらと思うのですが、まず寺口さん好きなキーワードをひとつ選んでいただけますか。
寺口 浩大(以下、寺口)さん:僕は「ブランドへの誤解」について話したいなと思います。最近「ブランド」や「ブランディング」「採用ブランディング」という言葉がよく話されていますが、解釈がバラバラだと思うんです。今日採用に携わる方が会場にも沢山いらっしゃるので、ブランドの解釈について聞いてみたいなと思います。会場の皆さん、いかがでしょうか。
1人目の参加者:ブランド構築を目的にした話をよく聞くのですが、私は「ブランドは結果」だと思うんですよ。自分達の事業や振る舞い方が自然と外に伝わって、みんなから受け入れられた結果「良いブランドだよね」と言われるもの。だからこそ、ブランド構築を目的にしたり、本来の姿をごまかすのは違うなと思っています。
2人目の参加者:新卒採用でよく誤解されているのですが、いわゆる大手であることや知名度イコールブランドではないと思っています。
寺口さん:ありがとうございます。多分正解は無いと思うんですが、着飾る、良く見せるみたいな解釈で「ブランディング」という言葉が使われていることに対しては怖いなと僕は思うんです。
「ブランドは結果」という解釈に多分近いのですが、約束を守った履歴が、期待値をつくり、結果的にブランドになっていくと思うんですよ。
たとえば、金融マーケットにおいて、言った事を実行したら株価は上がります。次も多分、有言実行するだろうと思えるから。非常に分かりやすいですよね。この期待値の総和がブランドの強さなんじゃないかなと思っています。
今までは、良いことを言うだけで、なんとなく良い企業みたいな感じになれたと思うんです。ですが、今後はSAY(言ったこと)とDO(実行したこと)の乖離があると、クチコミサイトなどで書かれるなど「約束を破ったログが残る」ので、そうはいきません。採用ページで書いた事は、実際にやらないと。認知と体験のクオリティの差は、ブランドをどんどん棄損していくと思いますね。これが嘘バレの時代です。
渡邉 慎平(以下、渡邉)さん:僕はブランドとは、勝手に周囲が抱いているイメージに対して、好きか嫌いか判断することだと思っています。例えば僕がAというブランドの製品が好きで、Bというブランドが同じような製品を出していても、無条件にAの製品を買っちゃうと思うんですよ。勝手にそこのメーカーが出しているプロダクトが良いと信じている。これが多分ブランドだと思いますね。
ただ、採用においてはただ好かれるだけでなく、自分達が好きになってもらわなくてもいい人にちゃんと嫌ってもらえるかも大事だと思いますね。
あと「採用ブランディング」という言葉を便宜的に使うのは良いですが、やっぱりそれを目的にするのは本末転倒だと思います。
ナイルは一時期、ブランディングに力を入れて、外資系コンサル風な「スキル成長重視」な打ち出し方をしていた時がありました。実際に、アクセンチュアさんやデロイトさんなどの外資系コンサルの内定を獲得する優秀な方に入社してもらえたという点では成功でした。とはいえ、ナイルはベンチャー企業なので、泥臭さやストイックさを求めます。
でも、そういったブランディングをしたが故に、スキル成長以外の部分を上手く伝えきれていなくて、結果的に早期離職してしまった方もいました。もちろん成長できるという観点では間違ってはいないのですが、やはりベンチャーとしての課題点も含めて実情をしっかり伝えきらないといけないと思いましたね。「ブランド、ブランド!」みたいな感じで、有名どころと頑張って並ぼうとしすぎると、ギャップを生んでしまうという体験です。
久保:AnyMind Groupは、海外にも展開されていて、キラキラしたイメージがあると思うのですが、実際とのギャップはありますか。
光沢 真実(以下、光沢)さん:ありますね。中に入ると、結構泥臭く働いているんですよ。私も新卒、中途、国内、海外の採用を回しているので、業務は非常に大変です。でも、外国人とパーティーしている写真や動画がネット上にはたくさん出ているので、ブランディングはかなりキラキラとした印象を強く持たれていると思います。
あと、外資系なので「帰国子女が多い」とか「みんな英語ペラペラですよね」って言われるんです。でも、実際そんなことはなくて。英語が第二言語の東南アジアの社員が多いので「気合いで話せ」って社員同士で言っているくらい(笑)。私も英語ペラペラじゃないですし。
もちろん会社のカルチャーはすごく自慢だけど、ただ楽しいだけじゃないよ、というのは伝えたいです。そうしたギャップは人事側が埋めていかなければと思いますね。
西島 悠蔵(以下、西島)さん:「自社に対する期待値調整」ができてないケースはよくあると思うんです。実はベルフェイスも、おしゃれなオフィスに変えて、CMをうち始め、人事がTwitterで沢山発信をしていると「自由で面白い会社じゃないか」って言われるんですよ。
でも現実は、ハードに働いていますし、社内で整ってない部分も多い。ですが、 応募のタイミングでは勘違いされがちだったりします。だから人事がそのギャップをリアルコミュニケーションで埋めていくことは必要です。ただ、それには限界があるので、出来る限りありのままの発信をやっていくことが、大事なのかなと僕は思いますね。
「We」「I」「It」「He She」4つの主語でブランドを強くする
久保:最近、人事や広報の方がTwitterやnoteでよく発信していたり、実名での個人発信もより増えてきていると感じます。私は影響力の有無に関わらず、個がメディアになる時代だと思うんですが、Twitterでよく発信をされている渡邉さんは「個のメディア化」について、どうお考えですか。
渡邉さん:僕は人事部に移動後、去年の8月頃にオウンドメディアを立ち上げたんです。その時Twitterのフォロワーは100人程度。ただ、オウンドメディアを始めるんだったら、自分が拡散力をつけたほうが、コンテンツが流通しやすいと思って、本格的に運用し始めました。
やってみて思ったのは、やはり良い面もあれば、悪い面もあるということ。良い面は、自分の発信力が強くなればなるほど、ナイル自体のブランドが醸成されている感覚があること。「Twitterで拝見してます」とお声がけを頂くことも増えました。
一方で、そこそこマーケティングを経験していると言っても、人事に異動してからまだ1年も経っておらず経験も浅いのですが、「渡邉さんすごい」とか「ナイルさん採用広報しっかりしている」みたいな印象を抱いてしまう方もいて、実態と乖離が生まれすぎることには、少しもやもやしますね。バランスは大事だな、と。
寺口さん:僕は情報発信の時に意識していることがあって、僕が頑張ってスライドに書いたので見ていただけますか。手書きなんですが(笑)
会社のブランドを形成する要素を「4つの主語」に分けて、「誰がなんと言ってる状態が良いか」をいつも考えているんです。僕にとって「We」がワンキャリア。ホームページなどで会社が公式に発表する情報ですね。
「I」は、僕や他の社員のSNSなど。要は左側にある「We」と「I」は自画自賛なんです。“私の働いている会社は良い会社です ”って発信しているもの。
一方で、右側はマーケットです。「It」は僕らにとっては求人以外のメディアで紹介されている会社の情報のこと。たとえば、NewsPicksとか経済誌。求職者は、自社のホームページ以上に、こうしたメディアに多くの時間を使っているので、「It」が僕らをどのように報じてくれるかをデザインすることも大事ですね。ひとつ気をつけたいのは、ほとんどの求人メディアは法人にとっては「It」でも、求職者から見てグルのイメージがついていれば「We」の認識になってしまうということ。求職者にとって、そのメディアが自分の味方か、少なくともフェアかどうかで分けるとプロットしやすいです。
右下の「He She」は、一般の方々のクチコミです。たとえば、ワンキャリアの社員と会った人達が「ワンキャリアは実際こんな会社だった」と発信するクチコミのこと。実際に会った人に期待以上の良い体験をしてもらうほど、この「He She」から発せられる情報が良くなるので、ここの設計も重要です。
それぞれ「We」「I」「It」「He She」がなんと言っている状態が良いのか考えながら、特に左側の「We」「I」と右側の「It」「He She」の情報がズレないように意識しています。自社のブランド形成が、自画自賛ばっかりになっていないかは、常に気を付けたいところです。
久保:なるほど、面白いですね。
寺口さん:また、この中でも「I」は色んなことが出来るんですよ。「We」では言い切れないことも「I」なら言えるし、「I」としてブランドが確立されれば、他のメディアで取材をしてもらえる。つまり「It」を生み出せるんです。 また「I」は実際に人と会って「He She」のクチコミも作る。「I」が沢山育ち始めたら、リファラルリクルーティングやスクラム採用も可能な組織になりますし、だからこそ強烈な「I」を育てることは大事だと思いますね。
久保:オウンドメディアは「We」、TwitterなどのSNSは「I」ですよね。ただ、そこだけだと、自分達の自画自賛な発信になってしまうから、説得力がない。だからこそ、客観的な立ち位置のメディアにあたる「It」や、クチコミの「He She」をしっかり機能させることで、ブランドを構築するということですか。
寺口さん:基本的にはそう思っています。左と右が一致すればするほど、ブランドが強いということだと思うんです。更にいうと、ブランドは強弱と濃淡で測れる。「誰々にとって」という部分まで明確になるといいですね。なぜなら、ブランドが濃くなれば「ただ良い」というだけではなく、マーケットが「この人にとっては良い」「この人にとっては良くない」と勝手に理解してくれる。「この企業は、誰に対して何を約束し、誰に対してそれをしないのか」という社会的な合意形成がとれている状態までブランドを強く濃いものにしていければ、いいですね。インバウンドエントリー10人で10内定承諾の世界に近づけます。
久保:そうした前提がある中で、「We」「I」「It」「He She」のどこから取り組むべきなのでしょうか。
西島さん:「We」と「I」から始めるのがやりやすいと思いますよ。自分たちで発信していくことで初めて、興味を持ってもらえますから。
個人的には強烈な「I」を作っていくことは特に大事なことだと思います。今日は「#嘘バレ」がテーマなので、本音で話しますが、実は、僕をベルフェイスよりも良い給料で雇いたいと言う会社が幾つかあったんです。僕の人事経験は3年ちょっとなので、まだ業界の中では下っ端です。でも、彼らが評価してくれた1つが、発信力でした。今の時代、発信力はキャリアのスキルセットの1つになっているんだと思いましたね。
SNSの普及などにもよって、個人の発信力が企業の発信力より強くなってきていることもあり、「I」からの発信は本当に重要で注目度も高くなっている印象です。
光沢さん:最近は学生のメディア運用力も高いですよね。「He She」の部分になりますが、彼ら個人のメディアによる発信内容や、募集記事のシェア投稿は、興味喚起のきっかけになると思います。例えば、AnyMindのオフィスに行ったら「東京タワーが見えて、キレイだった」と言われるか「めちゃくちゃボロかった」と言われるかでは、印象は全然変わりますから。
実際、AnyMindのオフィスは、タイやベトナム、インドネシアなどににあり、日本と同じレベルのインフラとは言い切れません。だからこそ、社員全員が働きやすいオフィスだと感じてもらえるように、普通のビルじゃなくて、それぞれの都市で一番目立つ、綺麗なオフィスに会社を構えていますね。
人事はオペレーティブ、クリエイティブ、エモーショナルの3つの仕事をどう配分するかが大事
久保:次に、「人事のフォーメーション」について、西島さんはどうお考えですか。
西島さん:僕はベルフェイスが社員数10人の時に、人事立ち上げのため着任して、その後社員数が60人になった今は1.5人で回している状態なんですよ。今も異常なくらい、人事って基本忙しい職種だと思います(笑)
僕は人事の仕事を3つに分けて考えていて。クリエイティブな仕事と、オペレーティブな仕事と、エモーショナルな仕事。クリエイティブな仕事は、候補者に興味関心を持ってもらうための発信や企画、戦略立案などについてです。オペレーティブな仕事は、面接の日程調整や、こまごました事務連絡。最後に、エモーショナルな仕事は、面接や入社を決めるクロージング面談だと思っています。
この3つをどう分配をし、どこに力を使うのかが大事だと思うんです。僕はオペレーティブな仕事は出来る限り外注しています。オンラインでスカウトを送ってくれる人を雇っていますね。基本的にはほぼノータッチで回っている状態。
その分、空いた時間で、面接などのエモーショナルな仕事と、発信といったクリエイティブな仕事に集中するんです。現段階の人事の戦略として僕がクリエイティブな仕事にもっとパワーを割くべきだと思い、面接にもほぼ出ないことにしました。
そのため、ハイアリングマネージャー制度というのを導入したんですよ。基本的には、新しい社員を採用したいと思っている「部門長」がハイアリングマネージャーとして、採用責任を持つんです。僕たち人事は、採用のパートナーとして共にいる立ち位置ですね。
久保:渡邉さんは「人事のフォーメーション」についてどうお考えですか。
渡邉さん:この間ちょうどTwitterで人事の仕事を箇条書きで書いたのが、結構バズったんです。人事の仕事は、労務周りもある、総務周りもある、リクルーティングもある、社長秘書もある、イベントの設営や幹事業務もある、その上で最近「HRマーケティング」や「採用広報」というワードが生まれた。それらを一人で全部回すことは、そもそも限界があると僕は思うんです。ちゃんとやろうと思うと1つひとつそれなりに時間かかるし、いくら時間あっても足りません。
あと、経営レイヤーが採用や組織づくりにどうコミットするかによっても変わると思います。ナイルの場合でいうと、もともと社長が、経営者、人事の上司、新規事業責任者という3つの役割を担っていたので、どの文脈で話すかで毎回違う顔が出てくるんです。
経営者としては「優先順位をつけて、投資対効果を考えて採用してほしい」となるし、新規事業責任者としては「早くこのポジションを採用してほしい」となります。もちろん言っている内容は正しいのですが、これら全部を受け止めていたら完全に人事はキャパオーバーになってしまいます。本来は自分が交渉・調整できるようになるべきなのですがまだそこまでは出来てなくて。その後どうなったかというと、今年の1月から組織変更があって人事専任の管掌役員がついて、自分の上司になってくれて、僕は非常に動きやすくなりました。
人事って事業サイドに比べると優先度上げづらいのは分かるのですが、事業側をみている役員が兼任するとそれぞれの立場がバッティングしてしまいがちなので、早い段階で経営レイヤーが人事領域にフルコミットできるかというのは大きいと思いますね。
久保:光沢さんは、比較的少人数で人事の仕事を回されていますよね。
光沢さん:社員は450名ほどいて、人事は15名ほど各国にいます。日本オフィスでは私とカントリーマネージャー含めて3名で、国内外の新卒やと中途採用の戦略を立案しています。日本のカントリーマネージャーからは「経営まで考えられる人事を目指しなさい」と言われているので、私は常に経営陣の考えや、求める人材の情報を自ら取りにいくことを意識しています。
加えてCEOは各拠点を飛び回っているので、例えば登壇してもらいたいイベントなどを企画した際も、費用と効果を明確にして、自分からCEOやCFOに交渉にいきます。
「嘘バレ」の時代のその先へ。未来の人事の仕事はどうなる!?
それぞれのキーワードで議論が白熱し、3つ目が終わったところで惜しくもタイムオーバーとなってしまったため、質問タイムへ。ハッシュタグ「#嘘バレ」でもリアルタイムに多数の質問を頂いていたため、Twitterからもピックアップして回答していきました。
久保:ではそろそろ質問タイムにいきましょう。「10年後、20年後の人事の仕事はどうなっていると想像されますか」という質問をTwitterで頂いていますね。
光沢さん:それこそオペレーティブな部分は、ロボットや機械学習に任せて、エモーショナルな部分にかかる工数が多くなっていくのではないかと思います。例えば90年後半以降に生まれたZ世代の就活生は、一人一人にパーソナライズされた広告しか見たくないという思いを持っていると聞きます。だからこそ、これからの人事には一人一人の求職者に対して、どうすればこの会社で活躍出来るのか、というパーソナライズされたケアがをする能力がより一層必要になるんじゃないかなと思いますね。
寺口さん:以前、サイバーエージェント取締役の曽山さんがブログで、ここ数年の採用トレンドの変化をまとめた3つの「e」について書いていました。さらけ出しという意味の「exposure」、承認欲求の「esteem」、感情報酬の「emotion」。この3つの頭文字をとった「3e」が、採用トレンドの変化と言われているんです。
人の感情というのをどうロジカルに理解していくか。マーケティングにおけるユーザーの行動分析では、馴染みがあると思います。でも、人事領域ではまだまだ一般的ではなかったもの。今後は人事領域にローカライズされて、これら「3e」がトレンドになっていくんじゃないかなと思います。
渡邉さん:僕は人事の仕事の実態は、あまり変わっていないんじゃないかと思うんですよ。どちらかというと乖離が広がるだけ。そもそも「人事の仕事がどうなるか」っていう質問がざっくりしすぎているかなと。
例えば、20代女子やF2層みたいな雑なくくりと同じですね。都内にいる女子大生は女子会したりインスタ映えな写真取ったりする、一方で僕の地元の九州にいる同世代の女性は、地元で結婚して土日はドン・キホーテやROUND1にいたりする。20代女子って言っても全然違いますよね。それを一括りに語ってもあんまり意味がない。
人事の仕事も一緒。要は、AIとかテクノロジーにとって代わられる仕事や、マーケティングが進化して個別最適される領域はそうなっていくし、そうじゃない人たちは変わらないまま。世間一般の全員が仕事の全自動化を求めている訳ではないですし。相対的に差は広がっても、日本全体で見ると、人事の仕事は別にそんなに変わってはいない。ただもちろんその中で変化はしていると思うので、いかに考える部分や作る部分を担う側にいけるのかが重要というのが、個人的な見解です。
久保:それでは、最後に会場からも挙手で質問にお答えできればと思います。
会場の参加者:会社の評判がいろんな口コミサイトで発信される時代だからこそ、口コミ対策や退職者のイグジット・マネジメントについて、工夫していることがあれば教えて下さい。
西島さん:これといった対策はとってないです。言わせておけばいいんですよ、というスタンスです(笑)良く思う人と悪く思う人がいるのは当然で、両方の意見を含めて自社の姿なので。また、個人の発信力が高くなった分、ある程度は仕方がないと諦めている部分ではありますね。
ただ社員の退職時は、人事としてフォローすべきだと思っています。僕は退職前の最後の面談には必ず入りますし、辞める理由が前向きでも後ろ向きでもしっかり耳を傾けますね。
寺口さん:僕は入口と出口における期待値調整の話だと思いますよ。根本的に「認知と体験のバランス」がズレているんだったら、それは良くない。入社時に入口の期待値を高くしているのに、実際そのレベルの体験を提供できないのであれば、認知の期待値を下げないと。背伸びしてるつもりが首をつって足が浮いてたみたいなことになる。
また、期待値のギャップを見越して、入社時に会社として変化対応が出来るかどうか、ちゃんと期待値調整のコミュニケーションすること。そうすれば、退職時の出口でネガティブに傾く量は減らせると思うんです。退職者の口コミをひとつずつ気にして対策をする必要はないと思いますが、認知と体験のギャップの発生要因や時期を理解して、期待値調整できるように現状分析はすべきかな、とは思いますね。
「嘘がバレる時代」を生き抜くために、ぶれない「個」を持つということ
「嘘がバレる時代」に人事はどのようなスタンスで臨むべきなのかーー
今回の議論を通じ、それぞれのゲストが人事という仕事に対して強い信念を持ち、ぶれない軸を持って取り組んでいることがひしひしと伝わってきました。
当日、時間内に回答しきれなかった質問に対しても、イベント終了後にTwitter上で丁寧に回答していたゲストの姿を見て、これからの人事としてのスタンスが垣間見えた気がします。
Twitterで発信をすること、ブランドを強くすること。企業が主体となってやるべきことは多々ありますが、「個」としてあるべき姿はゲストの4名が体現していると感じました。
ご来場頂いた人事や経営者の方々と共に、令和という新しい時代へ一歩踏み出すためのきっかけになれたならば幸いです。(編集部)
次回イベントは5月16日(木)19:30-21:00
「採用マーケティングが優秀な人材との出会いを加速させる – PR Table Community #19」を開催します。