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大事な素養は「素材の目利き力」インハウスエディターの役割を考える——イベントレポート#5

INDEX

「雑誌『POPEYE』の前編集長・木下孝浩さんが、ファーストリテイリング グループ執行役員に就任する」——。2018年5月、こんなニュースが飛び込んできました。

雑誌やウェブメディアなどで活躍してきた「編集者」の視点が、いま、企業で求められている。木下さんに限らず、編集者が事業会社へ転職する流れが生まれはじめています。

企業にとってのPublic Relationsと、“編集”はどうつながっているのか。

2018年6月21日、PR Table Communityイベント第5弾として「PR視点で企業価値を高める「インハウスエディター 」の役割【vol.2」を開催しました。

今回のテーマは、「メディアの編集経験者は、企業でどのような価値を発揮できるのか?」。

メディアでの編集経験をもち、現在は成長企業で活躍するおふたりをゲストに、「TechCrunch Japan」の前編集長である西村賢さんをモデレーターに迎え、それぞれが考えるインハウスエディターの役割について語っていただきました。


Guest

松尾彰大さん Akihiro Matsuo

株式会社メルカリ
エン・ジャパンに新卒入社後、「CAREER HACK」(キャリアハック)を立ち上げ。チーフエディター/ディレクターとして携わった後、2016年3月にメルカリにHRメンバーとしてジョイン。プロダクトメンバーの採用にコミットする傍ら、「mercan」の企画運用を主導。2018年からはメルペイのHRとして採用やブランディングに従事。

—–

丸山裕貴さん Hiroki Maruyama

Sansan株式会社 Eight コンテンツストラテジスト / BNL編集長
1986年生まれ。米デトロイトで幼少期を過ごす。大学卒業後、メディアジーン「ギズモード・ジャパン」編集部を経て、2012年よりコンデナスト・ジャパン『WIRED』編集部へ。世界最先端の研究者や経営者を取材し、4年間雑誌とウェブサイトで記事制作を手がける。その後、16年3月よりSansanに転職し、Eightのコンテンツ戦略をリード。8月より新メディア「BNLBusiness Network Lab」を立ち上げ編集長を務める。

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Moderater

西村賢さん Ken Nishimura

1990年代半ばの学生時代に寄稿を始めたPC雑誌「月刊アスキー」や「週刊アスキー」の編集・記者としてインターネット・PC産業の興隆を取材。ITプロフェッショナル向けWebサイト「@IT」の副編集長、スタートアップ情報サイト「TechCrunch Japan」の編集長を経て2018年に独立。


なぜ、編集経験者が事業会社に転職したのか?

西村:まず最初に、おふたりが今の会社で働くことにした経緯について伺いたいです。なぜ、Sansanとメルカリで働こうと思ったのでしょうか?

丸山:端的にお話すると、4年間、『WIRED』編集部で働くことで得た編集のスキルを、事業会社でも活かせるのではないか。そう思ったことがきっかけです。

もし企業の中に編集者がいれば、メディアに頼らずとも、良いコンテンツをつくれるはず。そんな気づきがあり、事業会社での編集領域に挑戦したいと思い、Sansanに入社しました。

松尾:自分は総合職(営業)として、エン・ジャパンに入社しました。入社後は営業をやると思っていたのですが、配属されたのはサイト企画部。その部署で新しくメディアを立ち上げるとのことで、入社から3カ月でいきなり「CAREER HACK」の立ち上げに携わることになりました。

WEB・IT業界で働く人たちにインタビューし、コンテンツをつくっていく。約4年間、編集者として働くことで得難いスキルを身につけることができました。未経験で右も左もわからない中やり続け、一定の段階までメディアを成長させることもできたし、やりきった感もあった。ですが、個人的には「事業会社でプロダクトに携わりたい」という思いがあり、年齢のことを考えても良いタイミングだったので、退職を決めました。

どこの会社に行くかは決まっておらず、いろんな人と会う中で、小泉(メルカリ取締役社長兼COO/小泉文明氏)と話をする機会があって。

もともとメルカリは面白い会社だと思っていましたし、そこで小泉から「仮に松尾さんがメルカリに入るとしたら、ポジションを抜きにして何をやりたい?」と言われ、自分の中で具体的にメディアをやるイメージができた。それがあって、メルカリで働くことにしました。

西村:おふたりは今の会社でオウンドメディアを立ち上げています。なぜ、メディアを立ち上げたのでしょうか?

丸山:Sansanは名刺アプリ「Eight」を提供しています。Eightはスマートフォンで名刺を撮るだけで情報がデータ化され、簡単に名刺管理ができるアプリですが、名刺の撮影で終わってしまっては意味がない。

名刺交換した人たちに連絡をしてみたり、ご飯に誘ったり。そういうコミュニケーションが生まれて、はじめて名刺が活用されたといえる。そのきっかけを生み出す場所が必要だな、と思ったんです。

いろいろなことを試した中で、それを実現するためにはメディアを立ち上げるのが良いと思い、すでに存在していた「Eightブログ」に「社外のつながりの活かし方」というユーザーインタビューを載せてみることにしました。それが今の「BNL(Business Network Lab)」につながっています。

Eightのタグラインは「Your Business Network」なのですが、自分の中に「“ビジネスネットワーク”とは何か?」に対する明確な答えがなかったので、それを研究しようと思い、この名前にしました。

松尾:僕が入社した当時、メルカリは“日本発のユニコーン”として注目されていて、フリマアプリ「メルカリ」だけでなく、資金調達や人材採用など、あらゆる面でメディアに取り上げてもらっていて、情報が散乱していました。

その背景を踏まえると、メルカリは今後、採用や人的リソースの確保が経営課題になることが明白でした。それならば、社内に情報発信、管理をまとめて行えるオウンドメディアがあった方がいいと思い、「mercan(メルカン)」を立ち上げることにしました。

インハウスエディターに求められる「素材の目利き力」

西村:ちょっと抽象的な質問になってしまうのですが、おふたりは「編集者の仕事」をどう捉えているのか、教えてもらえますか?

松尾:インハウスエディターの観点で話をすると、企業内に眠っている情報の“何”を出し、“どうやって”発信するのかを考え、そこに責任を持つことかなと思います。一見「出さないほうがいい情報」と判断されるものでも、適切なタイミングと企画で責任を持ってアウトプットすることも大事な仕事だと思います。

西村:眠っている良い素材をいかに見つけてくるか。目利き力が大事だということですね。

丸山:編集者はコンテンツをつくる人たちのことですが、自分は編集者ひとりでは何もつくれないと思っています。編集の中に「集」という漢字があるように、良い素材をどれだけ集め、整理して、届けるか。そこに一番力を注いでいるのが編集という仕事。

自分よりもうまく記事を書ける人はいるし、自分よりうまく写真を撮れる人はいる。また、デザインもできない。基本的には無能な存在です。

ただ、良い素材がどこに眠っているかを見つけてきたり、良い写真が撮れる人を見つけてきたりすることには長けている。また、どこにコンテンツを届ければ反応が得られるかを最も分かっている。その自負はあります。ある種、プロデューサーに近いのかなと思います。

メディアごとに異なる「良いコンテンツの定義」と「温度感」

西村:企業としてメディアを運営するにあたって、どんなことに気をつけていますか?

松尾:なるべく「プロ感」を出さず、少しだけ素人感を残すようにしています。メディアを軌道に乗せていくタイミングでは特に気をつけていました。

mercanの温度感や掲載の基準をガチガチに決めて運営することは簡単ですが、それでは上手くいかないと思っていました。

自分の全リソースをmercanに割けるわけではありません。つまり、メディアとして運用を軌道に乗せるためには、自分だけではなくいろんな社員に書いてもらう必要がある。だからこそ、最初は明確なルールを設けず、書く敷居を下げて、「これでもいい」というレベルのものもあえて掲載していました。

気をつけているのが文脈(コンテキスト)を踏襲することです。mercanとしてコンテンツを出すときに、たとえば過去の経緯をきちんと表現したうえでアウトプットしようと。また、コーポレートブランディングの観点から、メルカリは全社的に「ユーザー」ではなく「お客さま」という言葉を使います。そうした使う言葉の統一性は担保しつつ、文章の細かい質に関してはガタガタ言わないようにしました。

丸山:僕は真逆ですね(笑)。最も気をつけているのは、それが”いいコンテンツ”どうか。もちろん、“いい”にはさまざまな解釈がありますが、感覚的にいいものはある。これは別に説明できなくてもいいのかな、と思っています。

どれだけ多くの人から、「これはいい」と言ってもらえるものをいかにつくり続けられるか。BNLではブランディングの観点からも、誤字・脱字はなるべく出さないようにしていますし、記事の内容も何度も校正し、「これがいい」と思えるまで質を高めてから掲載するようにしています。

とはいえ、これはメディアの目的に左右されるところだと思います。正解はないですよね。

西村:最後に、これから取り組んでみたいことを教えてください。

松尾:個人的に興味があるのは社員の「ピープルブランディング」ですね。

たとえばGoogleで、元社員、現社員を「Googler(グーグラー)」と表現するの、すごくないですか? その言葉を聞いただけで頭の中に「聡明かつ優秀で良い人そう」とイメージが浮かんでくる。たとえばそれをメルカリに当てはめて、どうやって打ち出していくかを考えていくことにチャレンジしたいなと思っています。

丸山:BNLの立ち上げから約2年。社内では「もっとBNLがEightの事業に直接貢献できるような方法はないか考えてみよう」という機会も増えてきました。

もちろんそれもメディアを継続していくためには大事なのですが、そういう状況だからこそ、あえてEightの事業から少し離れたコンテンツにも挑戦していきたいと思いますね。

目的によって、在り方は変わる。正解のない道のり

おふたりとも、元・メディアの編集者という肩書きは同じであっても、後半、オウンドメディアの編集方針を問われたときの答えは“真逆”のもの。企業活動のフェーズや、目的によってその在り方がさまざまに描ける、インハウスエディターの役割を象徴する一コマでした。

前回のイベントとは、また違った側面が見えたのではないかと思います。今後も、雑誌やウェブメディアで活躍していた人たちが、事業会社の中に入ってさまざまな役割を果たす流れが加速するのではないでしょうか。その動きを、これからも探究していきたいと思います。(編集部)

 

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