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PRの重要性が浮き彫りになった70年代—— パブリック・リレーションズの歴史をたどってみる【vol.5】

INDEX

自分が関わっている仕事は、どのくらい昔からあったのか。そもそも発祥の地はどこなのか。どんな経緯、どんな背景があって、現代に受け継がれてきたのか——。考えてみたことがあるでしょうか? 日々、私たちが当たり前のようにふれていること。すべてのものごとには必ず、なんらかの”歴史”があるものです

もちろん、パブリック・リレーションズ(PR)にも。

目の前の仕事に一生懸命になっていると、なかなか過去を振り返っている余裕はないかもしれない。でも私たちが歩んでいる1本の細い道は、たしかに過去から現在へとつながれてきたもの。そこには、たくさんの資産があると思うんです。この道を切り拓いてきた先人の想いだったり、思いがけない起源や背景だったり。

そして、そうした歴史をたどることで、きっとこの先の未来が一体どっちに向かっていくのか……その道筋を示してくれる、ささやかなヒントも得られるはず

ではご一緒に、PRの歴史をたどる旅をはじめましょう——。


▼ vol.1から読む

PRの発祥は19世紀のアメリカ—— パブリック・リレーションズの歴史をたどってみる【vol.1】

PRの舞台は政治から民間企業へ—— パブリック・リレーションズの歴史をたどってみる【vol.2】

企業課題を解決するPRエージェントの登場—— パブリック・リレーションズの歴史をたどってみる【vol.3】

大衆消費社会とパブリシティの発展期—— パブリック・リレーションズの歴史をたどってみる【vol.4】


高度経済成長期、マスメディアにより促進される大量消費

1950年代、高度経済成長期を迎えた日本。冷蔵庫、洗濯機、TV、すなわち“三種の神器”や、自動車などが一般家庭へと普及していった時代です。

そしてTVの登場によって、日本は一気に「マスメディアの時代」へと突入しました。

TV、新聞、そして雑誌や週刊誌。影響力をもつ媒体が次々に生まれ、それらと同時進行で、大手企業の「広報部門」や、PR会社が誕生しはじめたのもこの頃です

ただし当時の「PR施策」は、ほとんどがマスメディアを通じたパブリシティでした。TVCMなどを中心に、大手企業から一般大衆に向けた情報発信によって、さまざまな商品の大量消費が促進されていくことになります。

環境問題から派生したコミュニティ・リレーションズ

しかし急速な産業の発展は、社会に対する弊害も多くもたらしました。1960年代に入ると、企業活動が原因である環境問題、公害問題や、大企業の不祥事、貿易摩擦による問題が続発。各地で住民運動が活発に行われるようになります。

そのため企業広報の一環として、地域住民に対するオープンな情報公開や、双方向の対話などが必要とされるようになったのです。

当初は意見や苦情の受付など、住民との対話を目的としたものが多くみられました。しかし後に法律ができ、企業側のコンプライアンスが整備されはじめると、次第に工場や施設見学を一般に公開したり、地域活動へ積極的に参加したりするなど、さらに発展したコミュニケーション活動へと発展していくことになります。

PRの重要性が表面化するも、時代はバブルへ

1960年代から70年代は、世界的にみてもPublic Relationsの重要性が表面化した時代であったといえます。

アメリカでは、70年代に入ると環境問題や人種差別問題が表面化し、大きなうねりとなって社会に伝播していきました。消費者運動も盛んになり、企業は一方的に自社の商品やサービスを販売し利潤を追求するのではなく、多方面のステークホルダーとどう向き合うのか、自分たちの在り方、姿勢を問われるようになったのです。

「企業には社会的な責任がある」「消費者とだけではなく、一般社会との関係性を良好にしていかなければならない」。日本においてそうした認識が強くなりはじめたのも、70年代に入ってからでした。

こうした流れに伴い、日本では企業での「広報部門」設置もさらに進んでいくことになります。

しかしそんな中、80年代に入るとバブル景気となり、企業のモラルはまた低下し、さまざまな問題が発生することになります。本当の意味で「企業と社会の良好な関係構築」が実践されはじめるまでには、さらに20年の時を待たなければならなかったのです。

——— vol.6につづきます————

<参考文献>
猪狩誠也(2007)『広報・パブリックリレーションズ入門』 宣伝会議.
井之上喬(2006)『パブリック リレーションズ 戦略広報を実現するリレーションシップ マネジメント』 日本評論社.