自分に合った「働く人」のストーリーに出会えるメディアへ。「talentbook」リニューアルの舞台裏
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PR Tableが提供する広報・PR支援サービス「talentbook」。企業自身が自社で働く社員のストーリーやノウハウなどを制作・発信するための場所として立ち上げ、これまで1,000社を超える企業のみなさまに愛用いただいています。
そんなPR Tableの真髄ともいえるコンテンツが掲載されているメディアを、私たちはこの春リニューアル。さらに愛されるサービスになりたいと考え、機能やデザインを中心に大胆な変更を行いました。今回は「talentbook」のメディアリニューアルの背景やそこに込めた願いなどをご紹介します。話し手はプロジェクトメンバーとして携わった、神谷・利根川の2名です。
Profile
神谷 直輝 Naoki Kamiya
株式会社PR Table プロダクト部PdM
2015年、株式会社アイタンクジャパン(現エン・ジャパン)へ入社。法人営業に従事した後、株式会社ギャプライズでWeb広告・SNS運用・サイト制作から幅広くクライアントのWeb施策に携わる。2020年3月、PR Tableに入社。営業・CSを経てPdMとしてプロダクト開発に従事。
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Profile
利根川 舞 Mai Tonegawa
株式会社PR Table カスタマーサクセス部 メディアチーム
2016年株式会社Ryo-Ma(現:MIKATAホールディングス)に新卒入社。EC事業者向けメディア「ECのミカタ」の運営・編集・営業やイベント運営を担当し、2018年には副編集長に就任。2020年4月にPR Tableへ入社し、CS ディレクターとしてコンテンツ制作支援に従事。2022年3月よりメディアチームへ異動。
出会いのきっかけになる世界をtalentbookで創りたい
── まず、今回のリニューアルを行うことになった経緯を教えていただけますか?
利根川:最初にリニューアルの話が社内で上がったのは2021年の秋頃のことでした。ビジョン刷新に伴い策定された事業戦略の第一フェーズであった、お客様のサクセスに寄与するサポートの強化やプロダクトの主要機能実装の計画も見通しがつき、事業として順調に伸びる兆しが見えてきました。そこで次に力を入れていきたいと思っていたtalentbookの「メディア」に力を入れていこうという話が上がってきました。
また、私はカスタマーサクセスとしてお客様と関わる中で、「発信したストーリーが入社のきっかけや決め手になりました」「ストーリーをきっかけにメディアから社員を取材したいと連絡がきました」など、新たな出会いのきっかけが生まれるのをたくさん見てきました。
talentbookはパブリック・リレーションズ──ステークホルダーとのより良い関係性を構築するきっかけとなるために生まれたプロダクトです。業種業界、企業規模を問わずあらゆる企業に活用いただけるようになった今、メディアとしてのあるべき姿をより一層考える必要が出てきたのです。これからも、よりたくさんの企業、個人と周囲のステークホルダーとの良好な関係構築を支えたい。そのために、talentbookを進化させるタイミングが今だと感じたのです。
神谷:当時、開発側ではお客様の声を元にtalentbookの管理画面であるCMSの機能追加やアナリティクス機能の改善などを中心にアップデートを行っていました。それにより、お客様ご自身でのコンテンツ制作のハードルをさらに下げることができていました。それと同時に、人的なサポート強化により、コンテンツ制作の負担や工数を大幅に削減し、お客様からもご好評をいただくようになっていました。
企業様も目的に沿ってさまざまな切り口の記事を作成し、ステークホルダーへ届けようと努力されている。そんな中で、共通の認識として生まれたのが、talentbookにおいても「お客様が公開したストーリーをより多くの人に届けたい。そして、サイトを訪れた読者とストーリーが出会うきっかけをもっと創出できないだろうか」ということでした。
ある種「メディア」という視点で、さらに認知度を高めるフェーズに入るべきだなと。そういったことを経営陣含めチームで話していくうちに「それなら飛躍を目指してメディア面をリニューアルするのはどうか」という話が出たのです。
利根川:talentbookをご利用する企業様には、インターナルコミュニケーションや採用候補者とのコミュニケーションのために活用されているケースが多いものの、コンテンツのテーマは実に多岐に渡ります。最近ではSDGsやD&Iなどの社会的なテーマが含まれたコンテンツも増えてきています。せっかくそうした情報をオープンに発信しているのであれば、もっと広く、多くの方に知っていただきたいと思うことが増えていました。
そのように自分自身で体感した課題感もあったので、talentbookを訪ねてくれる読者の母数を増やせるような機会を作りたいと私もずっと感じていて。とても良いタイミングが訪れたなと思いました。
分析から見えた、talentbookの輪郭
── 実際にリニューアルを進めた際のプロセスを教えていただけますか?
神谷:まず当時のtalentbookの課題感や特徴などを洗い出して整理し、残すものと変えるものを決定していきました。リニューアル方針を決める上では、定性・定量分析をそれぞれ行いました。
定性的な観点では、『「働く人」を通して企業の魅力を伝える』といったtalentbookの思想に共感してくださった企業様が活用してくださっているので、人を軸にしたキャリアメッセージや企業カルチャーを発信するコンテンツが非常に多い。メディアとしてテーマが一貫している点が、talentbookの強みだなと感じました。また、熱量を持って記事を作ってくださるご担当者様が多く、そこに当社の編集者やディレクターが伴走することで、情報発信の量や一定以上の質を担保できるようになっているのも一つの強みなのではないかと。
定量的な観点では、talentbookにはユーザーの偏りが少なく幅広い層の読者がいることが特徴的です。男女比は6:4で、年齢比も10〜50代が拮抗しています。世代を問わず興味喚起できるテーマの記事を届けられている点が興味深いと感じました。これらの分析結果を基に、読者層を絞らず広く楽しんでもらえる場であることは維持し、回遊性やtalentbook内での検索性などを改善する形でリニューアルを進める方針を決定しました。
利根川:次に、コンテンツの中身を変えるのではなく、UIやUX、特にUXの観点を中心に変更点を細かく洗い出しました。変更点としてクリエイティブチームに相談したのは、大きく3つの点です。
まず、「プレイリスト」と銘打っていたページを「特集」に切り替えました。プレイリストというと、どうしても個人に対するレコメンドや読者自身による自由創作できる場所という印象があるなと。talentbookでいうプレイリストは、あるテーマ性を持った記事をキュレーションした場所であったため、よりわかりやすく特集と表現することにしました。
次に、検索性の向上です。もともと掲載されているコンテンツには記事属性に応じてタグが付与できるのですが、類似したものが見受けられたり、該当するタグがなかったりというケースがありました。そのため、昨今のトレンドを反映したり、職種や業種などのタグを整理することで、読者の誘導を行えるような動線設計に変更しました。また情報発信をされる企業様側でもタグを付与できる機能を設け、より届けたい人に届けられる仕組みを用意しました。
最後に、全体のデザイン。もともとはページ全体をシアン・マゼンタ・イエローという三原色でデザインされていました。しかし、今回のリニューアルでは白と黒をベースにしたモノトーンのUIに変更。掲載されている人々のカラーをより鮮明に受け取ってもらうために、あえてメディアとしての主張を減らすという決断です。talentbookの醍醐味である人を軸にしたストーリーなどのコンテンツそのものは変えず、ユーザー体験を変えることを意識しました。
愛される場であるために対話を重ねたトップページ
── リニューアルを進める上で特にこだわった点や工夫した点はなんですか?
神谷:まず、大前提としてなぜリニューアルを行うのか、リニューアルを通して叶えたいのはどういったことなのかという目的を忘れずに取り組んでいましたね。まさかここまで大規模な改修になるとは思わなかった部分もあり、タスクの数に圧倒された日もありますが、ゴールが明確だった分走りやすかったです。
その上で、具体的に工夫したポイントを挙げるとしたら、直感的に操作できるようなデザインやエフェクトを組み込んだ点でしょうか。talentbookを初めて訪れた方が、迷ったり使いづらさを感じないプラットフォームにしたくて、そのあたりはメンバーみんなで話し合いながら方向性をすり合わせました。
また、talentbookはスマホからの流入が多いので、スマホで見ていて飽きのこないUIはどういったものだろうかと検討を重ねましたね。特にトップページは表示するコンテンツが多いので、どうしても縦に長くなってしまう。コンテンツばかりがズラズラと並んでいては飽きてしまいますし、かといってそれらの表示面積を小さくしすぎるとタップしにくく不便です。そういったコンテンツの表示幅や高さなどの小さな点も、改善に改善を重ねています。
利根川:デザイナーが組んでくれたものを見ながら「もっとこうしたらどうかな?」「いや、こっちのほうが良いと思う」というように、毎週毎週とにかく話して修正して、というように進めていきました。とにかく対話していた記憶があります。
神谷:今回はあえて仕様や要件を最初に細かく決めすぎず、アジャイル開発を選んだのでデザイナー、僕、利根川などみんなで意見を寄せ合いながらtalentbookのあるべき姿を探していました。仕様を固めすぎると、その仕様通りに制作することばかりに目がいってしまって、ユーザビリティの高いデザインを追い求められなくなってしまうことがあります。そのため、デザイン面がフルリニューアルになるだろうという話が出た時点で、今回は「固めすぎない」という進め方を選びました。
利根川:あと、個人的に、気に入っているのはトップページでコンテンツを表示する際のカードを角丸のデザインにした点です。白と黒がベースのデザインに変わったことで、よくも悪くも洗練されすぎてしまい、人の持つぬくもりみたいなものが失われるように思えて。カードを角丸にするっていうたったそれだけのことですが、このデザインを採用できたおかげでtalentbookが持っている雰囲気の柔らかさも守り抜けていると感じます。
情報発信の場から、ストーリーを通じた出会いの場へ
── リニューアルを終えた今、talentbookを通して実現したいことはなんですか?
利根川:2つあります。1つ目は、やはり読者と企業のコンテンツが出会うきっかけを創出することです。そのためにも、「プレイリスト」を「特集」ページに変えるというのは、今後talentbookをメディアとして運営していく上では大きいポイントかなと思っています。ストーリーを発信する目的に軸はあれど、一つのストーリーの中にも、キャリアや人生観、社会課題などさまざまな要素が含まれており、その分見せられる「面」は多いと思うんです。時代やトレンドを掛け合わせれば、さらに広い角度でコンテンツを読者にお届けできるんじゃないかと。サイトに訪れた人に興味を持ってもらえるような、そんなきっかけにしていければと思っています。
2つ目は、talentbook自体のファンになってもらう人を増やすためにも、talentbook編集部独自の読者向けの情報発信をしていこうと思っています。特集の企画にも通ずるところはありますが、例えば、2022年4月には育児・介護休業法が改正されます。そうした社会的なトレンドと企業のストーリーを組み合わせた企画や、就活生や転職者が自分に合った企業や企業カルチャーを探す手助けとなるような企画にも取り組んでいきます。トレンドやストーリーを多角的に捉え、talentbookを使って情報発信している企業様、読者様、双方にとってより良い出会いの場所になれると嬉しいですね。
神谷:今回、リニューアルというタイミングでtalentbookとじっくり向き合ってみて、talentbookは企業のみなさんと一緒に共創するための場所なのだと実感しました。だからこそ、そういった関係性を築ける場所であることを知ってもらうための情報発信は必要ですし、企業のみなさんが自社の情報発信をしたいと思ってもらえる仕掛けも必要です。まだまだ検討段階のアイデアも多いですが、どんどん「きっかけづくり」を行っていきたいです。もちろん、プラットフォームとしての基本的なアップデートは今後も抜かりなく継続していく予定です。
利根川:PR Tableとしては企業が情報発信を行うことに対してワクワクできる──そして、それにより会社のビジョンである「働く人の笑顔が“連鎖する世界”をつくる」を実現させることがなにより重要だと考えています。社会全体に対してより良い影響を与えられるよう、talentbookをこれからも実直に成長させていきたいですね。
▶New talentbook(https://www.talent-book.jp/)