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アンフェアなIR活動から脱却しよう。ログミーファイナンスから学ぶ、企業のオープンな情報開示

INDEX

現在、日本国内の上場企業数はおよそ3,600社(※1)。そして、それを支えているのが5,000万人以上の投資家・株主の存在(※2)。そのため上場企業の多くは、投資家・株主に対するさまざまなIR活動(投資家向け広報)を展開しています。

その一般的な活動とされてきたのは、決算説明会の開催や、決算短信の開示などを中心とした情報伝達でした。

従来のIR活動にひそむ“アンフェアなポイント”

しかし実のところ、従来のIR活動にはいくつかの“アンフェアなポイント”があります。

まず、投資家・株主総数の97%を占める(※3)といわれる「個人投資家」に対する情報開示が十分ではなかったこと。上場企業が実施する多くの施策は、ほとんどが機関投資家に向けられたものでした。さらにその機関投資家も、多くの決算説明会が同じ時期に集中する中、すべての決算説明会の場に出られるわけではない……。

機関投資家も個人投資家も、上場企業にとって大切な存在であることには変わりありません。

金融庁でも、動きが生まれています。2017年5月には、上場会社による公平な情報開示を求める「フェア・ディスクロージャー・ルール」を盛り込んだ金融商品取引法改正案が成立。2018年4月より施行される予定だそうです。

すべての投資家・株主に向けた「公平な情報開示」を実践するために、必要なことは何か——?

そのポイントに着目し、2016年10月にあるサービスを立ち上げたのが、全文書き起こしメディア「ログミー」を運営するログミー株式会社。今回は同社を訪れ、“決算説明会の即日全文書き起こし”を行なっている新サービス「ログミーファイナンス」についてうかがってきました。

ログミーファイナンスの取り組みを通じて、企業にこれから求められる「IR活動への姿勢」を探ります。

 

※1)参照:日本取引所グループ公式サイト より http://www.jpx.co.jp/
※2、3)参照:日本取引所グループ「2016年度株式分布状況調査」より
http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/01.html

—–

ログミー株式会社、代表取締役の川原崎晋裕さんと、宮原透さん


Profile

川原崎 晋裕さん Nobuhiro Kawaharasaki(写真左)
ログミー株式会社 代表取締役
1981年生まれ。大阪大学経済学部卒。2004年エン・ジャパン株式会社に入社し、求人広告の営業職として3年間従事。2007年、株式会社サイゾー(当時は株式会社インフォバーン)に入社。ウェブメディア事業部長・プロデューサーとして「日刊サイゾー」など10以上のメディアやサービスを立ち上げ、収益化を実現。2013年8月、ログミー株式会社設立。書き起こしメディア「ログミー」とその関連サービスを運営する。

 

宮原 透さん Toru Miyahara(写真右)
ログミー株式会社 Webメディア「ログミー」「ログミーファイナンス」編集長
1985年生まれ。大学卒業後、ライター・放送作家を経て、編集プロダクションに勤務。旅行誌の編集記者として、国内・海外の取材、執筆、編集業務を担当。2015年3月、ログミー株式会社に入社。2016年10月、IR・投資情報に特化した「ログミーファイナンス」を立ち上げ、編集長に就任。2017年12月より、「ログミー」「ログミーファイナンス」両編集部の編集長を務める。


IRの「情報格差」を解消するログミーファイナンス

― ログミーファイナンスは現在、上場企業の“公平な”情報開示を進めるひとつの手段になっていますね。

川原崎さん(以下、敬称略): そうですね。機関投資家なら決算説明会にも入れるし、IR担当者とも直接ミーティングができる。ただ個人投資家にはそれが難しいんです。

もちろん、企業側がウェブサイトを通じてダイレクトに情報を発信をしたり、アナリストがレポートをまとめたりするので、情報を受け取る手段がないわけではありません。ただ、それらはあくまでも企業やアナリストが“編集した”情報ですよね。

故意に何かを隠そう、都合のいいように見せよう……という意図が全くなかったとしても、人の視点を介す以上、何かしらのバイアスがかかっている状態にはなってしまう。それ自体は仕方のないことだと思います。

でもログミーのような「全文書き起こし」のメディアなら、フラットな状態の情報をそのまま伝えることができます。その特性を生かし、IRの情報格差を解消するサービスとして、ログミーファイナンスを展開しているところです。

ログミーファイナンスについて説明してくれる、川原崎晋裕さん

― 普段、Webメディア「ログミー」では、イベントや講演・セミナー、記者会見の模様などを全文書き起こして記事化されていますよね。そこからそもそも、IR分野、しかも“決算説明会の全文書き起こし”に着目されたのはなぜだったのでしょう?

宮原さん(以下、敬称略):当社では、「重要な情報をすべての人に届ける」という理念を掲げています。その「重要な情報」のひとつとして、すでにログミーの方で、企業の決算説明会などの一部を取り上げていたんです。

あるとき、大手通信会社の決算説明会を書き起こして全文掲載したところ、ものすごく反響があって。「もしかしてニーズがあるのか?」と、IRについて調べはじめたのがきっかけになりました。

ただはじめの頃は、本当にIR情報を求めている投資家の方に読まれているのか、単に著名な経営者の記事だから読まれているのか、判断がつかないところはありましたね。正直なところ。

ああ、確かにそれはありそうですね。

川原崎:そう、サービスをはじめた頃は、びっくりするくらい読まれないときもあって……。だからといって認知度が高い経営者や、有名企業に寄せてしまったらサービスの意味がないじゃないですか。そこで、あらためて投資家や株主の視点に立ち、取り上げる企業を大きく切り替えたんですよ。

宮原:本来、ログミーファイナンスとして情報を届けたいと思っていた個人投資家の方々に焦点を絞ることにしました。2017年9月頃から思い切って取り扱う企業のラインナップをガラリと変え、個人投資家に人気のある銘柄に注力しはじめたんです。すると、掲載記事に対する反響が明らかに変わりはじめました。

ログミー株式会社、代表取締役の川原崎晋裕さんと、宮原透さん

決算説明会の空気やプレゼンのうまさ、質疑応答まですべてが伝わる

― “決算説明会の全文書き起こし”は、個人投資家のみなさんにとってどこが「価値」になっているのでしょうか。

宮原:やはり決算短信などで数字だけを追うよりも、受け取る情報に対する納得感が高いと思います。それは僕自身、さまざまな決算説明会の場に足を運んで実感していることでもあります。

決算説明会のプレゼンテーションに沿って記事を作っていると、企業の方が業績の背景や戦略、数値の意味まで補足して話されているのがよくわかるんですよね。だから「ああ、このクォーター(四半期)は業績が落ちているけど、背景にはちゃんと戦略があるんだな」とか、「こういう風に決算上の数値が変わっているのはそういう意味があるんだ」とか、一つひとつの情報が腹落ちするというか。

― それはなかなか、決算短信だけでは伝わらないことですよね。

宮原:そしてもう一つ、個人投資家のニーズが高いのは質疑応答です。ここは、本当に気にされている方が多いですね。

プレゼンテーションはきっちり事前準備ができるけれど、質疑応答はどんな質問がくるか予測がつかないため対応が難しい。会場では、投資家・株主からとても鋭い、ときには辛辣な質問がバシバシ飛ぶこともあります。

それらに対して、その企業の登壇者はどう答えたのか。どんな文脈、どんな言葉で話したのか。どのようなスタンスが見えたのか——。それは実際に会場にいなければわからない情報ですが、全文書き起こしであれば、その一端を垣間見ることができますから。

ログミー、ログミーファイナンスの編集長を務める宮原透さん

― たしかにログミーファイナンスで記事を読んでいると、会話のやり取りはもちろん、プレゼンのどこで笑いが起きたのか……なんていう細かい空気感まで伝わってきますよね。

宮原:そう、良くも悪くも、プレゼンテーションのうまさも可視化されてしまう。利用いただいている企業の方から、「書き起こしを読んで、他社のあの社長さんのプレゼンの上手さに脱帽しました」なんていう声をいただくこともあるくらいです(笑)

クローズドな世界から脱却し、新たなコミュニケーションを生む

― 逆に、ログミーファイナンスを利用している企業のみなさんにとっての成果は、どんなところに発生しているのでしょうか。

川原崎:わかりやすいところでは、ある企業様からは「これまで数件程度だった機関投資家からの問い合わせが、10件以上に増えた」というフィードバックをいただきました。また、ログミーファイナンス上の書き起こしを多くの投資家が読むことで、ウェブ上でのその企業に対する言及が一気に増えるなど、コミュニケーションが活性化されている実感があります。

ネット上に情報が公開されることで、このようにフィードバックを受けられるメリットがある一方、企業側の対応の仕方によっては炎上リスクなどもあるかもしれません。しかしIR情報のオープン化の流れはこれから間違いなく加速していくため、企業側もこういった対応のリテラシーを身につけていく必要があると思います。

ログミー株式会社の代表、川原崎晋裕さん

“全文書き起こし”の流れが、IR活動そのものを変えていく可能性もありますよね。

川原崎:そうですね。書き起こしはこれまで、オフライン(決算説明会)でしか流通していなかった情報に、オンラインで誰でも気軽にアクセスできるようになるためのソリューションだと考えています。

企業側からすると、決算説明会に来れなかった投資家・アナリストにもリーチできるようになるほか、SNSコメントや閲覧データなどで、決算説明会の内容に対するある程度の反響や効果を、数値化・可視化することができます。

そこから株主とのコミュニケーションを見直し、よりよい関係性を築いていく——ログミーファイナンスはそうしたひとつのツールとして、役割を広げていきたいと考えています。

情報をどうオープンにしていくか? これからの企業ができること

これまで当たり前とされてきた活動は、今の時代に本当に求められていることなのか。「従来通り」の活動を続けるだけで、投資家・株主との十分なコミュニケーションが取れているのか……。

IR活動の目的は、ひとりでも多くの投資家・株主と良好な関係性を築き、それを維持していくことです。そのために必要なことは何か。そう考えると、まだまだ情報開示で工夫できる余地は残されているはず。おふたりのお話をうかがうなかで、そんなことを考えました。

さらに活動内容の透明性の高さや、オープンでフラットな情報開示が求められているのは、上場企業のIR活動だけではありません。

企業として、どんな姿勢で情報開示をしていくのかをあらためて見直すことで、新たに見いだせる可能性もあるのではないでしょうか。


2018年3月15日(木)「企業のオープンな情報開示」をテーマに、トークセッションを開催!

“編集”によるバイアスを取り除く、応援される情報開示〜PR Table Community #2

今回ご登場いただいたログミー代表の川原崎さんをゲストにお迎えし、トークセッションを開催します。IR担当者に限らず、広報・PRのみなさま、企業の広報活動に携わっている編集者、ライターのみなさま、ぜひお越しくださいませ。

▼お申込みはこちらから
https://peatix.com/event/354954/view