話を伺ったコミュニケーションデザイン室の肱岡 優美子氏/西沢 秀美氏/関口 健司氏
日本を代表するシステムインテグレーターである株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下、NTTデータ)。1988年に創立した同社は行政や金融サービスといった社会基盤、電気・ガスなどのライフライン、eコマース等人々の日常生活を支えるサービスをIT・デジタルで実現するイノベーターとして牽引してきた。
グループビジョンとして「Trusted Global Innovator」を掲げる同社の企業としての知名度については述べるまでもないが、多岐にわたる事業の特性上、外部から見た事業内容のわかりにくさや、大企業だからこそ起こり得る社内のコミュニケーションの壁など、いくつか課題を抱えていた。
2018年よりtalentbookを導入し、2020年末時点では60名を超えるコンテンツを掲載する、同社法人・ソリューション分野 コミュニケーションデザイン室では、2020年度からtalentbook内で新たな取り組みも始まっている。talentbookの導入を決めた理由とその後の変化について話を伺った。
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導入背景
・世の中から見て、どんな会社なのか分かり難いという課題があった。
・大組織という特徴から、組織間、世代間のコミュニケーションの壁があった.。
・社員一人ひとりにフォーカスしたコンテンツで情報発信をしたかった -
効果
・掲載された社員の個性・価値観が可視化され、自己肯定感を高めることに寄与できた。
・多彩なキャリアを掲載することで、社員のキャリアイメージが広がった。
・掲載をきっかけに、社員の社外に対する情報発信が活発になった。
INDEX
次なるタレントは誰──? リレー形式でタレントのコンテンツを公開し社内へ浸透
NTTデータという会社を外から見たとき、「何をしている会社なのか」「どんな人材が活躍しているのか」がわかりにくいという課題感を持っていました。
また、社内であっても大きな組織の中でそれらがしっかりと伝わるようなコミュニケーションを図ることの難しさも感じていました。
コーポレートサイトや採用サイトといった自社のオウンドメディア、イントラ内でのWEB社内報など他にも情報発信手段を持っていますが、当時は社員一人ひとりの個性にフォーカスした発信数はまだ少ない状況。
talentbookを使い続ける中で、情報の鮮度だけでなく、日々の発信を蓄積することによってもその価値が高まっていく点に魅力を感じました。
社員のストーリーを発信し続けることで、私たちの存在価値やVISIONを一人ひとりの言葉や姿勢を通じて伝え続けていくことに意味を感じたのです。
2018年にtalentbookを導入して以来、2年間で約60名の社員のコンテンツを掲載してきました。
当初は掲載する社員を事業部長が推薦する形で進めていたのですが、現在は掲載した社員からの「紹介」というリレー形式で進めています。
日頃から関係性のある上司や先輩、同僚からの紹介の方が、より現場に埋もれている社員を発見しやすいのではないかと考えたからです。
また、この紹介制度には、talentbookの社内認知度を高めるという狙いもあります。認知度に関する目標値を設定していて、中長期では70%、今期は30%を目標としています。
全体としては今期の目標を達成できていますが、内訳をみると管理職の認知度が70%以上なのに対し、メインターゲットとしている若年層に着目すると30%以下と、目標にはまだ到達していない状況です。
この若年層の数字をさらに上げていくためには、より身近な人を掲載していくことが必要ではないかと考えています。
想いが伝わり、繋がることで生まれた、社員の新たな発信とコラボレーション
掲載した社員に向けては、事後アンケートを行っています。「掲載されることで自己肯定感が高まった」という声が上がるなど、みなさん100%ポジティブにこの取り組みを捉えてもらっています。
メールの署名欄にリンクを貼っている社員もいますし、人事と連携して採用活動に活かしたり、社内ポータルへ転載したりなど、二次活用も活発に行われています。
読者側の社員からも「いろんな社員の思いを感じることができ、キャリアイメージが広がった」「業務時間外にも自由に閲覧できることで、仕事と切り離してコンテンツを楽しむことができた」というような声が聞こえてきており、社員同士のつながりも感じています。
初めは法人・ソリューション分野という一部門から始めたこの施策も、広報部をはじめ、社内他部門でも導入され始めており、社員の新たな発信源となっています。
▼キャリア採用ページ
https://www.nttdata.com/jp/ja/recruit/careers/
こうしたストーリー発信を続けてきた中で、2020年度からはノウハウコンテンツの公開を始めました。SNSの時代にあって、社員一人ひとりが自身の知見を一人称で発信していくことのできる環境づくりが必要だと考えていました。
しかしガバナンスの観点からすぐには難しいと判断。まずはtalentbookを活用し、情報発信の型を作っていくアプローチを選択しました。
まだ始まったばかりですが、ストーリーと合わせてノウハウも閲覧してもらうなど、徐々に相乗効果が出始めています。
リモートワークの心細さを、talentbookを通じて和らげられたら──
今後についてですが、現段階ではtalentbookに掲載している社員はまだ一部なので、もっといろいろな社員の魅力を発掘して発信していけたらと思っています。
コロナ禍ということもあり、今はインタビューもオンラインに切り替えているのですが、オンライン中心の働き方の中では社員同士の接点が希薄になったと感じているという声もあがっています。
そこで、社員同士のつながりを感じられるツールの一つとしてtalentbookの存在が一層重要になってくると期待しています。コロナ禍によって生まれた心細さのようなものを解消するうえでも、コンテンツを通じて仲間の頑張りを知れることは、組織にとって大きな力になるのではないかと考えています。
NTTデータの社員は真面目な方が多く、控えめな印象です。けれど話を聞いてみると、実は難度の高いプロジェクトを推進していたり、熱い想いを持って仕事に向き合っている人がたくさんいます。
そんな姿にスポットライトを当てることで、多くの方にNTTデータの新たな一面を共有していけたらと考えています。
▼NTTデータのストーリー▼NTTデータのノウハウ