航空レーザやドローンレーザなど、あらゆるセンサーから得られるデータを駆使し、防災や環境保全、災害復興に尽力するアジア航測。近年では、デジタルツインの基盤となる3Dデジタル空間の構築を手掛け、防災シミュレーションなどの国土保全事業や、AIやロボットなどを活用した社会資本の戦略的維持管理を支援している。
そんなアジア航測には、技術者やコンサルタント、営業スタッフ、研究開発チーム、それを支える管理スタッフなど、さまざまな人材が活躍している。
多種多様な「社員の魅力」をステークホルダーに伝えることで、採用・IR・広報への良い影響に繋げたい、という観点で施策を検討していたところ、talentbookと出会い、導入を決断。
現在は、目指すビジョンや具体的なプロジェクト、あるいはユニークな社員そのものを伝える広報施策としてtalentbookを活用している。
今回は、talentbook導入のきっかけや効果などについて、人事部の中田 慎さんに話を伺った。
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導入背景
・会社の財産である「人」の魅力をより広い方々へお知らせすることによって、採用・IR・広報に繋がる戦略を検討していた
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導入の決め手
・コンテンツを制作・活用・分析できるCMS(コンテンツマネジメントシステム)を通じて、目的に合わせた継続的な発信体制を構築できる点
・情報のオープン化により社内外のステークホルダーに対して一貫性のある情報をフェアに発信できる点 -
効果
・内定者のうち36%が「talentbookを参照した」と回答。 また、そう答えた全員が「talentbookを読んでアジア航測に興味を持った」と回答した
・アナリティクス機能を活用することで、アクセス数や流入元の分析ができ、定量データに基づいた広報活動に取り組めるようになった
・マニアックな技術を持つ社員が多い中で、彼らや会社の魅力をコンテンツ化しサステナブルに発信できるようになった
INDEX
バラエティに富んだ社員こそが財産。だからこそ、人の魅力を発信したかった
▲ インタビューに応じてくれた人事担当の中田さん
──まず、貴社のtalentbook運用チームの体制とミッションを教えてください。
中田さん:CSR・広報室と人事部、IR室、グループ経営推進室の4つの部門からそれぞれメンバーを選出し、運用しています。基本的には、部門ごとで発信したい内容が変わるため、それぞれの部署から何を発信するかを定期的に話し合いながら企画を進めています。
──talentbook導入前の課題感について教えていただけますか。
中田さん:「アジア航測はどんな会社なのか」が、投資家や社員など社内外含めしっかりと伝わっていないという課題がありました。
特に、弊社が担う技術分野は専門性が高く、多岐に渡っているため、自社がどんなことをしている会社なのか社外のステークホルダーに伝わっていない印象がありました。また、社員間でも自分の専門領域以外の業務内容への理解が希薄な印象があったんです。
──会社の理解度を高める施策として、インターナル・エクスターナル両軸の広報施策を模索されていたんですね。talentbookを導入する決め手となったポイントはどちらですか?
中田さん:導入の決め手となったポイントは、3つあります。
(1)コンテンツの制作・活用・分析ができるCMS(コンテンツマネジメントシステム)を通じて、目的に合わせて継続的な発信体制を構築できる点
(2)情報をオープンにできることで、社内外のステークホルダーに対して一貫性のある情報をフェアに発信できる点
(3)人に着目して技術を語ることができる点
特に、3つ目の人に着目した取り組みはこれまで実施したことがなかったので、 「技術のアジア」と言われることも多い弊社の特徴についてタレントを通じて発信していけることは、我々の目指す形に合っているなと感じました。
会社の魅力を多面的に発信。多様な社員に光を当てる広報を実現
▲ 航空撮影士藤田さんのストーリー。陸・海・空 多種多様なフィールドでアジア航測の社員は活躍している
https://www.talent-book.jp/ajiko/stories/47982
──技術者や営業部、航空撮影士の方など、talentbookを通じて様々な部署で活躍されている社員の方の発信をされていらっしゃいますね。ここまでのお取り組みを振り返っていかがでしょうか?
中田さん:ストーリー制作のための取材を受けることで、これまでの自分の取り組みを振り返ることができるのは良いですね。普段、お客様に自社の仕事についてご説明することはあっても、誰かにインタビューされて、深堀りしてもらって話す機会はほとんどないですから。
他にも、社員がどんなことをどんな想いを持って取り組んでいるのかを、ストーリーを通じて他の社員が知ることができるので、社内でも化学反応が起こることを期待しています。
実際にストーリーに登場した社員の嬉しい声もあがってきています。営業職の社員のストーリーを読んで感動したという声が社内であり、それを本人に個別で伝えて喜ばれるケースもありました。他にも、学生時代の同級生から突然、「記事を見たよ!」という声をもらうなど、社内外でストーリーへの反響がありました。
また、弊社の幹部にも「特に新入社員がtalentbookを読むことで、自社への理解を深めてもらいたい」と言ってもらえており、我々の取り組みが少しずつ社内にも浸透しているのを実感しています。
──人選をするときに、悩まれるケースも多かったりすると思いますが、どういった人選を心がけていらっしゃいますか?
中田さん:人選については、定期ミーティングで、アジア航測のどの部分に光を当てていくかを毎回議論しています。たとえば、「キャリア」や「子育て」、「若手の視点」などテーマを決めて、そこに合った人をピックアップし、突撃をしています。
「私なんか…」と言って断られる場合もありますが、「そういうことであればやりますよ!」と言って、取材を受けてくれる人もいます。talentbookが少しずつ浸透してきている影響なのか、取材の打診に対しても好意的に受け止めてくれる人も増えてきた印象はありますね。
また、最近は部門ごとの上長から、「こういう人を採用したい」とリクエストをもらって、イメージに近い社員に取材を打診したり、グループ企業から推薦していただいたりしています。
記事を読んだ内定者のうち、「アジア航測に興味を持った」という方が100%。 施策の手ごたえを感じている
▲内定者へのアンケート集計結果
──ストーリーを読んだ方からの反響など、具体的に「効果」の部分で具体的に感じられていることがあれば教えてください。
中田さん:現状では、新卒採用における採用候補者からの反響が大きいと感じています。 就職活動時にtalentbookの記事を参照したかどうか、内定者向けにアンケートを取りました。すると「talentbookを参照した」が36%、という結果が出ました。
弊社からは記事を参照して欲しいという旨をほぼお伝えしていない中で、内定者の約4割が記事を読んでいたということについてはポジティブに捉えています。
また、記事を読んだと回答した人のうち、「talentbookを読んでアジア航測に興味を持った」と答えた人が100%だったので、内内定から内定までの期間、候補者を繋ぎ止めるための一つの施策としても有効に感じています。
やはり、自分はどんな環境でどんな人と働くのかということが気になって、記事を読んでいるのではないでしょうか。この結果から、以前に比べ会社を選ぶ基準に「職場環境」や「人」を重視する求職者・学生が増えてきているのだろうと推測しています。
──ストーリーをどのように採用候補者に届けていらっしゃるのでしょうか?
中田さん:採用ページの「社員インタビュー」をクリックすると、talentbookに遷移するように設定しています。採用サイトを訪れた候補者が、社員の魅力を知る接点としてtalentbookを活用していると思います。
▲アジア航測の採用ページ 「社員インタビュー」をクリックすると、talentbookのページに遷移する仕組みになっている https://www.ajiko.co.jp/rec/
また、「社員インタビュー」のクリックからの記事の平均滞在時間も2分以上を記録しており、じっくり読んでいただいていることがtalentbookの分析機能で明らかになっています。 候補者の入社意欲向上に繋がる情報の伝達ができつつあると感じていますね。
実は、私自身のストーリーも公開しており、ページの最下部に「マニアックな記事を読む」というアクションボタンを設置し、そこでは私が携わった「ササラダニ」を使った環境調査について紹介しています。それを読んでなのかは分からないのですが、実際に面接で「ササラダニ」の話をする学生もいました(笑)。
面接官を担当する社員の記事も掲載されているため、面接官の人となりを事前に知ってもらえることや、アジア航測に入社したいと勉強をしてくれるような、志望度の高い方に対してもtalentbookのコンテンツが有効に作用するのではないかと思っています。
▲中田さんのtalentbookストーリーより https://www.talent-book.jp/ajiko/stories/47713
中期経営計画のテーマは「明日を共創(つく)る」。そのために広報として描くビジョン
──2020年10月より中期経営計画は第3フェーズ「明日を共創る(あすをつくる)」に入られているそうですね。ビジョン実現に向けて、IR(株主に対する情報発信)面でもお力添えできているのでしょうか。
中田さん:talentbookの1本目として公開した当社CSO、この12月に代表取締役社長に就任した畠山のストーリーにも記載がありますが、「明日に向け皆さまと“共”に新たな価値を“創る”ために経営基盤の強化を図ること」を、中期経営計画内で掲げています。
その中で、投資家向けのIR情報ページ内に、畠山のストーリーを掲載することで、中期経営計画の理解促進につなげたいという狙いです。
畠山の記事はIRページから600PV以上見られていて、平均滞在時間も3分以上(2021年11月時点)と、じっくり読まれていることが分析機能で明らかになっており、 talentbookは狙い通り、投資家の方に対しても、我々の計画の理解促進に一定貢献しているかと思います。投資家フェアでも記事のリンクを展開したところ、結構なアクセスがある状態です。
また、外向きのコンテンツではあるものの、インターナルにおいても効果がありました。
特に、技術者は目の前にある業務に夢中になりがちな側面もあると思っていて、そもそもの部分では中期経営計画をブレイクダウンした先に、業務や作業が紐づいてくるはずなので、その根幹の部分を理解してもらう必要がありました。
パワーポイントの資料を見せるのとは違い、talentbookのストーリーを通して「想い」の部分も含めて、計画をつくった背景を理解してもらうことで、技術者側もより納得感を持って取り組んでいけるのではないかと感じています。
talentbookは、人を通じて「アジア航測の技術を語る」ツール
──効果を感じつつあるtalentbookですが、率直にtalentbookの価値や魅力はどんなところに感じられていますか?
中田さん:4つあります。
(1)原稿作成に掛かる工数削減
talentbookを使わずにコンテンツを作る場合、取材した社員に原稿確認を依頼して、また修正してと、何度かやりとりをする必要があり、結構な工数が発生します。 talentbookを導入したことで、初稿案からサポートいただいているので、企画〜最終的な公開までの原稿作成の負担は軽減されています。
(2)CMS分析機能
記事ごとにパラメーターの付与ができるため、アナリティクスでアクセス数や流入元の分析ができ、コンテンツを細かく精査できるのがありがたいです。 また、分析したデータを課題の洗い出しや、社内での報告用の資料にも活用でき、CSVで定量的なデータをダウンロードできるところも良いですね。
(3)原稿の制作支援オプション
取材・書き起こし・原稿執筆・添削・最終チェックまでの原稿制作フローを一気通貫で支援してくださっています。インタビュアーの方がうまく話を引き出してくださり、当社の技術のようなマニアックな話でも非常に分かりやすいストーリーが出来上がります。
また、タイトルやアクションボタンの付け方に迷った際の的確なアドバイスなども助かっています。加えて、原稿確認のやりとりと添削のスピードは早いテンポ感で進めていただいていて、ひとまとめに原稿を仕上げてもらえるのはありがたいですね。
(4)営業担当の方のきめ細やかな対応
遠すぎず近すぎずの、ほどよい距離感で伴走してくださるだけでなく、時には当社の現状を鑑みた新しい提案もしてくださるので、安心感があります。
▲talentbook CMSのアナリティクスの画面。記事ごとのPV数や滞在時間、流入チャネルを分析できる
──今後のtalentbookの活用ビジョンも教えてください。
今後は新卒採用でもtalentbook活用をより強化したいと考えています。弊社は国土保全分野、とくに防災や環境の分野に強いと自負しており、名前も結構知っていただいています。
この分野を学ばれている学生の方には積極的にアピールせずとも、ご応募いただけている印象なのですが、一方で社会インフラマネジメントや社会基盤系の分野での知名度はあまり高くありません。
だからこそ、強い分野以外の学生の方に興味を持っていただくようなコミュニケーション施策のいち手段として、talentbookの活用を視野に入れていきたいなと思っています。
また引き続き、技術や社員の話は発信していきつつ、さらに、社外のステークホルダーにも社内の雰囲気や社員の魅力が伝わるストーリーを届けていきたいと思っています。
──最後に、中田さんにとってtalentbookを一言で表すとズバリどんなサービスですか?
中田さん:talentbookは社外向けの情報発信を、社内の「人」を中心にして「アジア航測の技術を語る」ツールだと思っています。
弊社のもつ技術や職種などは伝わりにくさはあるものの、そのマニアックさを社員のストーリーにして伝えることで、会社と社員の魅力を印象づけて、魅力的に感じてもらえていると思っています。効果を実感しているので、引き続き、活用していきたいと思っています。
──引き続きtalentbookを通じて広報・PR活動の伴走パートナーとしてご支援させていただきます。貴重なお話をありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。
— 編集後記 —
海に潜って環境調査を行っている方や、航空撮影士といった、なかなか普段出会えない仕事をされている方がたくさんいらっしゃって、個人的に毎度ストーリーの公開が待ち遠しい企業様です。
こういったニッチだけれども災害の多い日本を支える重要な仕事をされている方々のストーリーを通じて、広報活動に貢献できているのが光栄です。これからも「人」と「技術」を伝わるストーリー発信のご支援ができればと思います。
インタビュー:株式会社 PR Table 池野