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【本田哲也氏×トヨタ自動車】ナラティブ×HRを紐解く 〜優秀な人材を惹きつけるナラティブ時代の採用戦略〜

2022年4月13日(水)PRストラテジストの本田哲也さん、トヨタ自動車の山口さん、千々岩さんを招いて開催したイベント『ナラティブ×HRを紐解く 〜優秀な人材を惹きつけるナラティブ時代の採用戦略〜』のダイジェストレポートをお送りいたします。

INDEX

皆さんこんにちは、PR Table 取締役/Founderの大堀航です。

2022年4月13日(水)、PRストラテジストの本田哲也さん、トヨタ自動車の山口さん、千々岩さんを招いて『ナラティブ×HRを紐解く 〜優秀な人材を惹きつけるナラティブ時代の採用戦略〜』というイベントを開催いたしました。

本田さんによる「ナラティブ」の定義の解説や、トヨタ自動車様の実践事例を交えた具体的なお話を通じて「なぜ、HR領域にナラティブが必要なのか」が伝わる内容になったのではないかと思います。

本日は、モデレートを務めた私の視点を交えながら、イベントの模様を写真つきで振り返りたいと思います。

「ナラティブ」とは、企業と生活者が共に紡ぐ物語

はじめに、私より本イベント開催の背景をお話したあと登壇者の皆さまを呼び込み、和やかな雰囲気でイベントがスタート。

今回、セッションを進めていくにあたり「ナラティブ×HRを紐解く3つのキーワード」を用意したのですが、これらを紐解いていくにあたり、まずは本田哲也さんよりそもそも「ナラティブとは何か?」という定義を解説いただきました。

本田哲也 氏 株式会社本田事務所 代表取締役 PRストラテジスト

普段はたっぷりと時間をつかって解説いただいている内容でしたが、著書でもある『ナラティブカンパニー  企業を変革する「物語」の力』(東洋経済新報社)にも書かれている内容を元に5分という時間でわかりやすくまとめていただいた本田さん。さらによく質問されるという「ナラティブとストーリーの違い」にも触れつつ、共通点としては起点が「創始者や企業の強い思い」であること、とお話しいただきました。

“価値観のあう友達探し”のように会社も選ぶ時代

ナラティブの定義を解説いただいたあとは、以下の3つのキーワードを元にトークセッションをスタート。1つ目の「変革が求められる時代」の背景として、DX・産業のソフト化による高付加価値人材の採用加速やIT・DX人材の不足、さらに採用候補者層が魅力に感じる情報が変化していきているというインサイトの変化について私より触れたうえでトヨタ社の状況をお伺いしていきました。

トヨタ自動車の採用責任者である山口さん曰く「候補者が仕事内容や待遇だけでなく、一緒に働く人や思いを大切にしているケースが増えてきている印象がある」とのこと。

一方、2021年の10月にIT・通信という別業界からトヨタに中途入社した千々岩さんは、入社のきっかけが山口さんだったと語り、“仕事の魅力ややりがいを活き活きとお話しする山口さんの熱意や丁寧なコミュニケーションに心打たれた”と照れながらも明かしてくれました。私自身、山口さんと千々岩さんの関係性が嘘ではないことが伝わってくる二人の笑顔がとても印象的でした。

また、「なぜ採用の文脈においてナラティブの重要度が増しているのか?」という私の問いに対して本田さんは「今の若者は、自分の価値観やアイデンティティを認識し、それを軸に会社選びをしているように見える。会社選びも“価値観のあう友達探し”のようになっているのではないか。」とお答えいただきました。

採用メッセージ「トヨタは、あなたで加速する。」に込められた意味

上記の話を受けて、2つ目のトークテーマ「人気企業よりも、人気ナラティブ」へ。

「ネームバリューやブランド力だけではなく、“この会社に入ったらどんな物語を一緒に紡げるのか?”というナラティブな視点で学生や候補者は企業を選ぶようになってきている流れがある」と語る本田さんに、「大手に限らず、ナラティブによってうまく人が集まっている事例はあるか?」と尋ねると、石坂産業という埼玉県にある産業廃棄物の中小企業の例を出して解説いただきました。

ごみをごみにしない社会「ZERO WASTE DESIGN」をビジョンに掲げ、知名度はなくとも若い求職者から選ばれる企業になっているのだそうです。

また、100年に一度の大変革時代と言われている自動車業界において、トヨタさんも「クルマをつくる会社から、モビリティカンパニーへ。」といったメッセージを軸に、2019年に採用サイトをリニューアルされました。

▲トヨタのキャリア採用サイト

採用サイトの「トヨタは、あなたで加速する」というメッセージをどのように組み立てていったのか尋ねると「大きな企業であるからこそ、自分ゴト化しにくいというネックがあった。それを解消するために“あなた”という表現を用いてそれぞれが輝ける場所があり、“加速する”という未来志向のイメージを込めたコピーにした」と山口さんよりお話しいただきました。その後、ホームページがリニューアルした際にもこのコピーだけは変わらずに残り続けたのだそうです。

山口勇気 氏 トヨタ自動車株式会社 人事部 人材育成室 採用G グループマネージャ

まさに演者が企業やブランドではなく、あなた(生活者)になっているという点でとてもナラティブなメッセージだと本田さんも大きく頷きました。

物語を紡ぐコンテンツのつくりかた

最後のテーマは「物語を紡ぐコンテンツ」について。

近年、多くの企業が採用広報活動としてオウンドメディアやSNSで自社コンテンツを発信するようになりました。このテーマでは、ナラティブを実践する上でどのようなコンテンツが候補者に求められているかというテーマでディスカッションをしていきました。

大堀航(モデレーター)株式会社PR Table 取締役/Founder

会社全体としては「トヨタイムズ」で、社長自らが発信されたりCMも含めて発信を強化されている一方で、採用サイトにおけるオウンドコンテンツづくりはどのように工夫されているか尋ねると、「より一人ひとりの価値観にフォーカスしつつ、多様性の集合体がトヨタであるというイメージをつくること」と千々岩さんよりお答えいただきました。

千々岩真志 氏 トヨタ自動車株式会社 人事部 人材育成室 採用グループ 主任

当社が運営するtalentbook上で公開されている社員インタビューのコンテンツを例に出し、「100人いれば100通りの価値観がある。人選のポイントとしては、特段エース社員だけを集めるということではなく、できる限りさまざまな価値観を持った人たちや異業種からの転職をとりあげるようにして、価値観を埋めるナラティブを意識している」と山口さん。

補足として「求人票の職種の数が200弱あるので、全職種をコンテンツでカバーできるように頑張りたいと思います(笑)」と締めくくりました。

▲トヨタのtalentbookページ

最後に本田さんに「これからナラティブを実践していく上でヒントになるような意識すべきポイントはあるか」お尋ねすると、「ナラティブは、企業を取り巻くみんなと紡ぐ物語。情報の伝え方も外向けと中向けを分けること自体がナンセンスになってきている。まさに今日のイベントのようにPRとHRが接近して来ているとも感じる。」と語った上で「チャネルごとに考えるのではなく、一貫したメッセージでナラティブを実践することが大事」とまとめていただきました。

採用活動は、パーソナル・ナラティブと企業ナラティブの出会いの場

本日の総括として、それぞれ登壇者ひとりずつメッセージをいただきながらエンディングへ。

トヨタ千々岩さんは「今回を機にトヨタの違う側面を少しでも知っていただけたらうれしいです」と語り、山口さんは「今までやってきたことが線でつながり、ナラティブを実践できていたことがわかってよかったです。200弱の求人の中で、皆さんの物語にマッチするものがあればぜひお待ちしています」と締めていただきました。

そして最後に本田さんからは「人は誰しもがパーソナル・ナラティブ(経験や生い立ちに基づく自分自身の物語)を持っている。採用や育成においてその人のナラティブに目を向け、入社することでどう変化したり、持続的に活躍できるのかという観点が大事。まさに採用活動は、パーソナル・ナラティブと企業ナラティブの出会いの場。」と心に残るメッセージをいただきました。

以上、イベント内容の雰囲気が少しでも伝わるようダイジェストでお送りさせていただきました。

最後に登壇者の皆さまで記念に一枚。本田さん、山口さん、千々岩さん、この度はご登壇いただき誠にありがとうございました!

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Profile

本田哲也さん Tetsuya Honda
株式会社本田事務所 代表取締役 PRストラテジスト

「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」にPRWEEK誌によって選出された日本を代表するPR専門家。セガの海外事業部を経て、1999年に世界最大規模のPR会社フライシュマン・ヒラードの日本法人に入社。2006年、スピンオフのかたちでブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。2009年に「戦略PR」(アスキー新書)を上梓し、マーケティング業界にPRブームを巻き起こす。P&G、花王、ユニリーバ、アディダス、サントリー、トヨタ、資生堂など国内外の企業との実績多数。

山口勇気さん Yuki Yamaguchi
トヨタ自動車株式会社 人事部 人材育成室 採用G グループマネージャー

2005年にトヨタ自動車に入社。国内販売事業部門で販売店収益、車種販促、需給・販売計画に従事。全販売店全車種併売化プロジェクトなどにも携わった後、2020年1月より人事部へ。キャリア採用領域を担当後、2021年1月より現職。新卒・キャリア両領域の採用から配属後の育成までの幅広い範囲を担当している。

千々岩真志さん Masashi Chijiiwa
トヨタ自動車株式会社 人事部 人材育成室 採用グループ 主任

2010年に大手通信会社に新卒入社。ネットワークエンジニア、法人営業、新卒採用・若手育成と幅広くキャリアを歩む。新卒採用においては、現場のエンジニアと一体となってソフトウェア人材の採用に注力。2021年にトヨタ自動車人事部にキャリア入社。キャリア採用方針の立案、ソフトウェア人材の採用・育成と東京採用拠点の立ち上げを担当している。

大堀航 Koh Ohori
株式会社PR Table 取締役/Founder

1984年神奈川県生まれ。大手総合PR会社のオズマピーアールを経て、国内最大のオンライン英会話サービスを運営するレアジョブに入社。PRチームを立ち上げ、2014年6月に東証マザーズ上場に貢献。2014年12月、PR Tableを創業。