「採用広報」に必要なスキルとは?実態調査の結果レポートと各社の取組みまとめ【PR Table×HR NOTE】
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先日、PR Tableでは大企業(従業員数1,000名以上)の経営者・役員、人事責任者208名を対象に「採用広報における課題調査」を実施しました。人事責任者は戦略的な採用施策を実行する専門人材が不足しているという自覚を持っており、求職者にアプローチする採用広報において、情報の「伝え方」と「届け方」に課題を感じているという実態が見えてきました。
そこで今回、これからの人事は採用広報を実践するうえで「どのようなスキルをインストールしていくべきか」そしてスキルを身につけた担当者は「どのように採用活動を改善できたのか」という「人事に求められるリスキリング」をテーマに、「HR NOTE」を運営するjinjer株式会社と共同でアンケート調査を実施いたしました。
本記事では、100名以上の人事・採用広報担当者および責任者の皆さまに回答いただいた本調査の結果データの解説と、任意で回答いただいた各社の事例をご紹介したいと思います。
まだ採用広報に取り組んでいない企業の皆様も、これから取り組みたいと考えている皆様もぜひ参考にしてくださいませ!
調査概要
- 調査主体:株式会社PR Table /jinjer株式会社
- 調査方法:インターネット調査
- 調査時期:2023年5月
- 有効回答:人事・採用広報に携わる担当者・責任者111名
※本調査の内容を転載、ご利用いただく場合は「株式会社PR Table /jinjer株式会社調べ」とクレジットを記載してください。
▼本配信の調査結果レポート(PDF)をダウンロードする
URL:https://product.talent-book.jp/ebook/skill_research_report/
【採用広報実践スキル】5つのカテゴリと18の要素とは
今回、まず採用広報活動を実施する上で必要となるスキルを「5つのカテゴリ」と「18要素」に分類。これらの各スキルについてご自身が感じる重要度を5段階評価で回答いただきました。その平均スコアをレーダーチャート化したものがこちらの図になります。
5つのカテゴリで平均スコアが最も高かったのは「戦略構築スキル(平均スコア4.37)」となりました。
採用広報を実践する上で、手段から入ってしまうとSNS運用やコンテンツ制作などのテクニカルなスキルが重要だと感じるかもしれません。しかし実際は、採用戦略に基づいた情報発信計画を策定したり、ブランド戦略を構築するといった全体的な設計を考えるスキルが必要と考えている方が多いようです。
また、18のスキル要素におけるTOP3は「ステークホルダーを味方にするコミュニケーション力(平均スコア4.54)」「コンテンツ企画・構成力(平均スコア4.44)」「ブランド戦略の構築(平均スコア4.42)」という結果になりました。
それ以外に重要だと感じるスキルとして自由回答いただいた内容は以下の通りです。
- 自社についての理解
- 過去や数字に捉われすぎない能力
- バイアスの排除
- 目指す未来に共感してもらえるプレゼンテーション能力
- 応募者側の心理と採用者側の採用マネジメント力
- スキルだけに陥らず、等身大の会社を魅せられること
- コーポレート広報などとの連携スキル
- 社内を巻き込む力
- GRIT:施策をやり切る能力。特にコンテンツをつくり続けていく上では重要。
- 自社への愛着:自社を好きで自社を良くしていきたい、という想いがあるか。
- 社内人脈構築能力:社内の至るところに網をはっておけるか。
- アクションに対する反応を見通す力
- やる気!
- 継続する、やり切る力
- 社会情勢のキャッチアップ
65%以上が採用広報を実践する上で「スキル不足」を実感
それでは、実際にこれらのスキルを既に身につけていると感じている人事・採用広報担当者はどれくらいいるのか調査したところ、「どちらかというと不足している」「かなり不足している」の合計が65%以上という結果になりました。
多くの方が採用広報の実践に際して自身の「スキル不足」を実感していることがわかりました。
前述の通り、採用広報の実践において求められるスキルの幅は5カテゴリ18要素と広範囲にわたります。そのため、担当者の方は日々の業務の中で少しずつスキルを磨いていくことが重要でしょう。
スキル不足を補うための取り組みとして実践していることについては、75%以上が「書籍や記事を読む」、50%が「イベント・講座への参加」と回答しています。
また、YouTubeなどの「動画プラットフォーム」を視聴してスキル獲得をおこなっている方も45.3%いることもわかりました。
スキル獲得に向けた取り組み効果|回答者のリアルな声をご紹介
スキル獲得に向けて、具体的にどのような取り組みを各社がおこなっているのか、そしてその取り組みの効果はどのようなものだったのか、任意で実名回答いただいた方々の声をご紹介いたします。
1.マーケティング部や広報部など社内メンバーを巻き込んだ勉強会
最も多かった回答は、採用広報に関するスキルを学ぶための勉強会の開催です。
株式会社マクアケ人事本部の柿本様からは、「マーケティング部や広報部のメンバーに勉強会を開いてもらい、採用広報に活かしている」との回答をいただきました。
SEOを取り入れた文章作成、SNS運用の知見など、採用広報に関するスキルを持つ方が近くにいる場合は、まずはその方々に聞いてみることがスキル獲得に向けての第一歩になります。
また、株式会社YOUTRUST 経営企画室 採用・労務・総務担当の濱田様からは「社内にて採用の考え方について全社研修を実施している」との回答をいただきました。
採用担当のみならず、社内全員を巻き込んで採用活動を行なっていくコミュニケーション施策も非常に重要になってくることでしょう。
2.他社人事との交流や、外部コミュニティへの参加
また、社内だけでなく社外の方との意見交換を通じて視野を広げている方も多く、ブロードマインド株式会社人事総務部採用マネージャーの長谷川様からは「他社人事との交流の場に出席し、ディスカッションを実施している」との回答をいただきました。
社外の方と関わる機会を設けることで、相対的に自社のことを評価できるようになり、求職者や就活生と対峙した際に自信を持つことができるようになったメンバーが増えたとのこと。
また、株式会社いえらぶGROUP 人事部課長の竹田様からは「YouTubeチャンネルで外部のYouTuberや専門家とコラボ」という回答いただきました。
このように、獲得したスキルをアウトプットする機会を作るような取り組みも非常に重要です。
3.採用に求められるコンピテンシーの整理とレベル分け
ランスタッド株式会社Head of Talent Attraction & HR Excellenceの西野様からは、「採用に求められるコンピテンシーの整理とレベル分けをおこなうことで、全員が自己評価でき、次に何を学ぶべきかがわかる仕組みづくりをおこなっている」という回答をいただききました。
そもそもスキル獲得においては、そのスキルが具体的に何か定義し、どうすればそのスキルを獲得できるか見えるようにすることが必要です。そのため、企業としてそのようなスキル獲得に向けた体系的な教育をおこなっていくことも必要になっているかと思います。
実際にランスタッド株式会社では、これらの取り組みを通じた社外への広報力アップで、リファラル採用数が1年で2倍に伸びたという成果もあげてるようです。
4.AIツールの活用
また、昨今話題のAIツールを活用した取組みについての回答も目立ちました。
株式会社YOUTRUST では「福利厚生として『AIラーニング費』を開始し、AIツールの活用を促進」という回答をいただき、実際にリリースも公開されています。
今後予定している取組みとして、株式会社Penseur 取締役の松原様より「コンテンツマーケティングとAIの活用を行い、運用スピードをあげる」、株式会社M&Aクラウド 人事の仙波様からは「社内で開催しているハッカソンなどを通じて理解を深めたAIツールをより業務に落とし込む」との回答をいただきました。
▼他にも以下のような回答をいただきました。ご協力いただいた皆さまありがとうございました!
- 編集者の社内副業を推進(渡邉慎平様 / ナイル株式会社 カルチャーデザイン室)
- 「採用を体系的に学ぶ会」への参加(M&Aクラウド/仙波様)
- オンラインセミナー参加や無料相談などを活用(黄瀬 真理 様|株式会社ライフワークス コミュニケーションデザイン部部長兼戦略人事推進責任者)
- HR関連プロジェクトにクリエイティブや広報メンバーを直接アサインできる仕組みづくり(田中 里子 様|GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 CHRO / HR戦略室長)
- 社内ジョブローテーション制度を実施(山田翔様 / 株式会社アドウェイズ 代表取締役社長)
- 片っ端から知り合い人事に相談(石野拓弥様 / エレビスタ株式会社)
- 外部の人事コンサルの方と定例の機会をいただいている(戸部祐理様 / 株式会社デジタリフト HR/PR )
- マーケティングチームと協働での採用SNS活用施策実施(那須りな様 / 株式会社リジョブ コーポレート推進UNIT 広報担当)
- セミナーや外部イベントの参加(城田唯様 / SBCメディカルグループ 採用広報グループ グループ長)
採用広報に関する「スキル不足」をどう解消する?
最後に、採用広報に必要なスキルを持った人材をどのように確保しているのかといった調査では、32.7%が「社外からスキルを持った人材を採用」、28%が「副業や業務委託の活用」と回答しており、社外から専門的な人材を採用したり、サポートに入ってもらったりしていることもわかりました。
また、24.3%は「社内のキャリアチェンジ」と回答しており、社内でスキル不足を補う取り組みを進めている企業が増え始めていることも伺えます。
採用広報の実践に関するスキルは、すぐに全てを獲得することができるものではありませんし、そのスキルを身につける方法にも正解はありません。
しかし、これからの人事担当者にとって必ず必要となるスキルであるため、企業としてこれらのスキル不足へ対応するための体制を整えてていくことが、まさに今求められていることでしょう。
調査結果サマリー
- 採用広報を実践する上で重要だと感じるスキルTOP3は「ステークホルダーを味方にするコミュニケーション力」「コンテンツ企画・構成力」「ブランド戦略の構築」
- 65%以上の方が採用広報を実践する上で「スキル不足」を感じている
- スキル不足を、外部人材の活用や社内キャリアチェンジで補っている
当社では、「talentbook」というPRプラットフォームを通じて、採用広報の戦略策定から、コンテンツ制作、配信、データ分析まで一気通貫でソリューションを提供しています。
スキル不足や人材確保にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談いただければと思います!
▼「HR NOTE」によるまとめ記事はこちら
https://hrnote.jp/contents/saiyo-saiyokoho-research-prtable-20230601/