「他のやらぬことを、やる」の精神を貫き、数々の「世界初」を生み出してきた日産自動車株式会社(以下、日産)。そんな日産の車、およびアプリケーションなどのWEBサービスに搭載する全ての技術開発を担当しているのがR&D部門です。
100年に一度の変革期を迎える最中に発表された長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」ではR&D部門における先進技術領域で3,000人以上の従業員採用を掲げる一方で、同社では新卒採用においても中途採用においても採用ブランドの低さがボトルネックになっていました。採用ブランディングの強化に至った経緯とtalentbookを導入した決め手、今後の発信計画などについて伺いました。
INDEX
日産自動車株式会社
事業内容:自動車の製造、販売および関連事業
従業員数:23,166名(単独) 134,111名(連結)
導入目的:採用活動における認知・興味関心の促進
実施施策:記事制作、動画制作(カジュアル座談会)、広告配信
主管部署・担当:
日産自動車株式会社 R&D人事部 主管 櫻 悠樹氏
日産自動車株式会社 R&D人事部 人事課 前橋 亮太氏
■課題
・採用ブランドの低さが内定承諾のボトルネックになっていた
・これまでアプローチしてこなかったIT系やソフトウェア領域、バッテリーのマテリアルなどの化学系領域などの人財、および女性に自社で働く魅力を届けられていなかった
・採用HPからの応募が少なく、エージェントからの紹介が多い状況を改善したいと感じていた
■導入の決め手
・社員、人という存在にフォーカスを当て、その人の考え方やこれまでの人生についても語られているコンテンツの作成を支援してきている点
・営業担当の方から熱意あるご紹介をいただいて一緒にやっていけそうだと感じた点
・CMSやCSのサポートにより、限られたリソースで採用コンテンツを増強・更新していけると感じた点
・採用コンテンツを広告運用なども活用し、より多くの潜在層に届け、直接やリファラル応募を増やす動きを実現できそうだと感じた点
R&D部門talentbookページ
https://www.talent-book.jp/nissan/books/113
先進技術領域で3,000人以上の採用目標に向けて、採用ブランディングを強化
──日産のR&D部門の特徴を教えてください。
▲R&D人事部 主管 櫻 悠樹氏
櫻さん:現在、新車の立ち上げには5〜10年ほどかかり、まず最初に商品企画やデザイン、そしてR&Dを経て、生産、セールスという流れで進みます。R&D部門では、我々の商品である車、およびアプリケーションなどのWEBサービスに搭載する全ての技術開発を担当しています。また、R&Dの中だけでも調査・研究・実証実験、先行製品開発の部門、そして実際のサプライヤーや生産部門との調整など部門が分かれていますが、今や、昔ながらの機械やエンジンというだけでなくIT、ソフトウエア、電気、電装などさまざまな専門領域を持ったエンジニアの集合体です。人数としても約1万の技術者が所属する非常に大きな組織体となっていますね。
── すでに大きな組織であるにもかかわらず、積極的に採用を強化される理由はどこにあるのでしょうか?採用戦略と併せてお教えください。
櫻さん:まずは会社としての中期ビジョンについてお話できればと思います。今、自動車業界は100年に一度の変革期を迎えています。この変革を端的に表す言葉が、コネクテッド、オートノマス(自動運転)、シェアード、エレクトリック(電動化)の頭文字を組み合わせた、「CASE」です。こうしたCASEという新たな動きにより、他業界からの参入や、他業界との連携・協業がどんどん増えてきています。
そうした状況の中、弊社は2021年に「Nissan Ambition 2030」という長期ビジョンを発表しています。その中の技術で新たなモビリティ社会を築いていくということを謳っていまして、これからは何よりも技術力が鍵になってくると考えています。技術力というのはCASEの中でも弊社の強みであるコネクテッド、電気自動車と電動化分野を指し、これらを推進することで、お客さまへ価値を提供していく所存です。ひいては、地球温暖化や渋滞、交通事故などの社会課題の解決といった社会貢献に取り組んでいきたいと考えています。
そうした世界の実現を目指すべく、「Nissan Ambition 2030」ではR&D部門における先進技術領域で3,000人以上の従業員採用を謳っています。まさにこの3,000人の採用こそが我々のチームのミッションなのです。
これまでアプローチしてこなかった領域、自動車業界を考えてもいなかった人に、働く場としての魅力を伝えたい
── 先進技術領域で3,000人以上の採用目標に向けて、採用ブランディングを強化しようと思った背景と抱えていた課題を教えてください。
櫻さん:新卒採用、中途採用ともに採用ブランドの低さがかなりボトルネックになっているなと思っています。過去の業績不振などにより、採用におけるブランド力が下がってしまっていたことが大きな課題でした。日産自動車のイメージが良くないことによって、たとえ給与などの優位性があっても他社に競り負けてしまうのは、やはり採用ブランドにおいて他社との差が広がっているということなのではないかなと。
また、昨今で課題になっているのは、CASEを推進していく上では、これまで我々がアプローチしてこなかったIT系やソフトウェア領域、バッテリーで使用するマテリアルなどの化学系領域などの多岐にわたる人財を採用する必要があるという点です。従来の機械系やメカトロニクス系の人財であれば、大学や大学院の研究室の先輩が入社しているということで、弊社に入社してくれる方も多いのですが、学生さんの中には日産にソフトウェアの仕事があるとは思わない方も少なくないんです。他の自動車メーカーも課題とされていると思いますが、ITやソフトウエア領域での認知の弱さやキャリアイメージが伝わらないということも大きな課題になってしまっていますね。また、新卒採用における女性採用比率をもっと上げていきたいと考えています。
「Nissan Ambition 2030」で掲げている先進技術領域の人財は、自動車業界に限らず、業界を越えての獲得競争になります。そういう意味では自動車業界を考えてもいなかった人にまで裾野を広げていかなければ採用にはつながりません。
── 日産として特にどのような点を伝えていきたいとお考えでしょうか。
櫻さん:やはり会社としての魅力と、そこで働く人の魅力を伝えていきたいという思いが一番強いです。日産には、「他のやらぬことを、やる」というDNAがありまして、弊社の独自性やカルチャーをうまく言い表している言葉だと思うんです。
たとえば、電気自動車、電動化の推進という面では、我々は2010年に世界初の量産電気自動車「日産・リーフ」を発売したのですが、当時も「早すぎる」という意見が社内外からありました。ただ、その中で「やはりこれからは電動化」だと決めてチャレンジをし、たくさんのことを学んできました。同じように他の技術領域しかり、他のビジネス面しかり、世に出てないものも含めてチャレンジをし続けてきた歴史やチャレンジ精神が我々のカルチャーになっているのです。
▲現在talentbookで公開されているR&D部門で働く社員のストーリー
櫻さん:さらに言えば、弊社にはこうしたチャレンジングな仕事が、あらゆる技術領域に広がっています。「自動車業界は違うよな」と思っている方にもぜひ、学んできた専攻や技術が活かせる仕事が日産にはあること、それを通じて、技術専門性も磨けるし人としても成長できるということ。さらに、それらを可能にする、多様な人財がいることが日産の強みであるということを伝え、共感していただきたいですね。
今までは採用活動の中で、新卒採用であればリクルーターが直接伝えたり、中途採用であれば広告を打ったりしてきたのですが、それは日産に対して興味を持っていただいている方への“リアクション”という形での伝達だったと思うので、これからはこちらからプロアクティブに発信していく必要があります。
HPからの直接応募やリファラル応募を増やす仕組みと体制を作りたい
── そんな中、採用ブランディングパートナーとしてtalentbookを導入いただいた決め手はどこだったのでしょうか。
▲R&D人事部 人事課 前橋亮太氏
前橋さん:社員、人という存在にフォーカスを当てているところが一番の決め手だったかなと思います。採用に関するコンテンツはどうしても仕事の中身に寄ってしまうことが多い中で、人の考え方やこれまでの人生についても語られている点が、talentbookのコンテンツを読んでいて個人的にも面白いなと感じました。また、営業担当の方から熱意あるご紹介をいただいて、ここなら一緒にやっていけそうだと確信したんです。
また、限られたリソースの中であっても、採用コンテンツを増強・更新していきたいと思っていました。採用HPからの応募が少なく、エージェント経由が多い状況を改善したいと思っていたので、採用コンテンツの広告運用なども活用し、より多くの潜在層に届け、直接やリファラル応募を増やす動きを、talentbookであれば実現できそうだと感じたところも決め手です。
── ありがとうございます。最後に、R&D部門として採用ブランディングに取り組む意気込みや今後の展望を教えてください。
櫻さん:これからは採用においてもマーケティング的発想・手法が求められると感じているので、そういった部分もさらに勉強していきたいですね。
私が就職活動や転職活動で利用してきた時代から媒体やツールは大きく変化していると思いますので、今の学生や求職者が見ている場所、情報を得にいく場所に、自社のコンテンツを出していかないと意味がないのです。
また、今取り組み始めたことは5年後10年後に効いてくるものだろうと思っているので、新卒採用であれば大学生の低学年からアプローチをして日産を知ってもらったり、興味を持ってもらったり、あるいは高校生ぐらいからアプローチすることも必要になってくると感じています。そういう意味で、これまで多くの企業の採用ブランディングを支援してきたtalentbookの知見を頂戴しながら、一緒に活動を考えていけたらと思っています。
今後、talentbookコンテンツを活用した広告配信や、動画撮影も企画しているので、実際に届けてみての反応などを元にPDCAを回していきたいです。同時にtalentbookの存在は、今いる社員にとってもモチベーションアップにつながるのではないかなと思っています。自分が活躍している社員の一例として取り上げられることや記事を読んだ周囲からのフィードバックが社員の自信につながるのではないでしょうか。そういった社内でのいい影響も期待したいですね。