「他のやらぬことを、やる」の精神を貫き、数々の「世界初」を生み出してきた日産自動車株式会社(以下、日産)。そんな日産の品質保証に携わるのがTCSX(トータルカスタマーサティスファクション本部)です。日産の数ある部門の中でも、採用ブランディングを強化すべく初めてtalentbookを導入し、先進的な取り組みとして社内のHRアワードで表彰を受けました。そんなTCSXが、採用ブランディングを強化することになった背景についてお伺いしました。
INDEX
日産自動車株式会社
事業内容:自動車の製造、販売および関連事業
従業員数:23,166名(単独) 134,111名(連結)
導入目的:採用活動における認知・興味関心の促進
実施施策:記事制作、動画制作(カジュアル座談会)、広告配信
主管部署・担当:
トータルカスタマーサティスファクション本部 企画・監理部 担当部長 登 千加彦氏
トータルカスタマーサティスファクション本部 企画・監理部 山野 沙織氏
■課題
・採用活動において品質保証部門の認知度が低いと感じていた
・採用HPで業務の内容や魅力、社員の仕事に対する想いや働く喜びを伝えきれていなかった
■導入の決め手
・初めて採用ブランディングを実践していく中で、情報を発信するための戦略策定からコンテンツ制作、実際に届ける部分までを一気通貫して支援している点
・「社員の想い」に焦点を当てた記事を作成でき、インタビューから執筆までをサポートをしてくれる点
グローバル品質保証部門talentbookページ
https://www.talent-book.jp/nissan/books/114
「お客さま視点で活動できる人財」の採用数拡大を目的に採用ブランディングを強化
──日産のグローバル品質保証部門の特徴と、採用方針を教えてください。
▲トータルカスタマーサティスファクション本部 企画・監理部 山野 沙織氏
山野さん:「TCSX」というのはトータル(T)カスタマー(C)サティスファクション(S)の頭文字で、最後の「X」はグローバルにおける本部機能を表しており、日本語では「グローバル品質保証部門」となります。品質保証・品質改善のため、お客さまに満足いただけるものを提供するにはどうすれば良いかを常に検討する部門となりますが、不具合があった際のご対応から調査なども担当します。しかし、お客さまからすれば商品に不具合が無いことが当然あるべき姿ですので、さらなるお客さまのご満足をめざし、高いレベルで日産の品質を確立することを部門共通のビジョンとして掲げています。
部門としては、お客さまのお困りごとやご要望を受け取り、ものづくり側へ伝えて解決に繋げる市場品質改善部、安全法規に関わる処置を担当する品質保証部、過去の対策が開発中のクルマの品質に活かされているかに責任を持つプロダクトクオリティマネジメントオフィス、主に日本市場のお客さまの声を社内へと伝え、また、ニーズを正確に把握し的確な対応を迅速に行う国内サービス部、品質におけるコンプライアンス順守のチェックを行う品質監査室、そして今後の部門全体の目標や戦略を定める企画・監理部という6部署で構成されています。
▲トータルカスタマーサティスファクション本部 企画・監理部 担当部長 登 千加彦氏
登さん:他社の品質保証部門と弊社の品質保証部門では明確な違いがあります。品質保証というと、工場品質や生産品質、生産部門内に置くケースが多いのですが、弊社では開発におけるプロセス、生産プロセスにおける工場品質、またその生産品質を客観的にチェックするため、自動車が市場に出た後も担うことから、独立した部門になっています。
市場に出る前から市場に出た後までの幅広い範囲でお客さまの声や視点など、さまざまなものを吸い上げて、開発部門や生産部門にフィードバックしていくことから、弊社内でも人員を割いている部門です。
市場としてもお客さまのニーズを反映することが求められており、今後も採用数を拡大していく予定でして、弊社の品質保証部門のミッションにマッチした、お客さま視点で活動できる人財を採用していくのが我々の使命です。
── 「お客さま視点で活動できる人財」の採用数を拡大することになった中で、採用ブランディングを強化しようと思った背景と抱えていた課題を教えてください。
登さん:品質保証という仕事は、開発部門や生産部門のプラスアルファの仕事と思われている方も多いですし、そもそも一般の人には知られていない仕事です。「開発設計がしたい」というエンジニアの方が多いですが、実は品質保証はお客さま視点とモノづくり視点の両方を兼ね揃える仕事で、責任も大きく、やりがいのある仕事です。それを認知してもらうのが我々の責務です。
山野さん:私自身、現在は人事部に在籍していますが、新卒での就職活動では理系の職種で探しており、R&D部門のエンジニアとして入社をいたしました。また、就活生の時、日産の採用ホームページを見たものの品質保証という仕事をあまり気にしていませんでした。技術職と言うとやはりものを作るというイメージが定着してしまっているので、設計などに注目してしまい、品質保証という仕事があることや、日産では独立した部門として存在しているということを気に留める機会が少なかったのです。
それであれば、知ってもらう、興味をもってもらうために、各部署の社員一人ひとりの仕事をご紹介するべきなのですが、弊社のホームページに詳細情報を掲載できていないことも課題でした。加えて、新卒や中途に限らず求職者の方は、興味のある会社であれば会社の採用ページを見てくださりますが、その会社の志望度が高くないとわざわざ見に来ていただけない。ですから、社員ストーリーを作成し、我々から届けていく必要性を感じ、採用ブランディングを強化しようとなりました。
一気通貫のサポートが心強い──知見が不足していても伝えたい部分が伝わる記事を作成できる
── 採用ブランディングパートナーとしてtalentbookを導入いただいた決め手はどこだったのでしょうか。
登さん:正しく認知してもらうためにどうするべきかということで、いろいろと方法を探す中で出会ったのがtalentbookでした。
▲現在「talentbook」で公開されているグローバル品質部門で働く社員のストーリー
山野さん:前任者がtalentbookの導入を進めたのですが、私自身も働く社員のコンテンツを発信するための戦略設計から記事制作サポート、そして実際に届けるところまでを、一気通貫でサポートしてくださる部分が心強いと感じました。特に記事制作の部分では、一人ひとりの業務内容もそうですが、面白さややりがい、苦労することもあったものの、諦めず乗り越えたからこそ今につながっているといった「社員の想い」に焦点を当てた記事を作成できる部分がいいなと感じました。キャリア形成や働き方など、発信したい目的に合わせて、記事の構成を決めて掲載することができるというところも良いと思います。
また、わたしたちはインタビューのプロではないので、インタビューを社内の人間同士で行い、話をどこまで引き出せるのだろうかという不安もありますし、そもそも知見が不足しているという課題もありました。
インタビューした後に話の内容をまとめて、かつ読み手に伝わりやすいように、伝えたい部分が伝わるとても素敵な記事を作っていただけることは非常に助かっています。初めて採用ブランディングを実践していく中で、こうした「誰かに助けてほしい」という部分をサポートいただけるのはすごくありがたいです。
登さん:記事制作のサポートの心強さは私も感じています。例えば、エンジニアの業務を正確にご紹介しようとすると、どうしても「私の業務はこれとこれです」と簡素な箇条書きのようになってしまいがちです。そんな折にtalentbookと出会い、プロの方の助言を頂きながら、我々の仕事を的確かつ魅力的に、そして適切な表現で社外の方へのメッセージとして頂けていることに感謝しております。
社員のキャリア形成や人財育成という観点でも活用の可能性
── 社員ストーリーを制作・発信することで、インターナル観点での効果も期待していることがあるとか。
山野さん:社員のキャリア形成、人財育成という観点でも、talentbookのような存在が必要だと考えています。チーム内はもちろん、他部署と連携しながら業務を進めることも多く、業務上の接点を持っている社員は多いものの、各自の業務に対する想いやこれまでのキャリアを伝え合える機会は少ないです。しかし、talentbookであれば、一緒に仕事をする人だけではなく、別の部署の人のことも知ることができる。コミュニケーションを取るきっかけにもなり得ます。
また、今後のキャリアを考える上でどういう部署での仕事が向いているのか、どんな仕事に挑戦したいのか、といったことを考える際の参考になると思います。
登さん:talentbookには、他の会社で働く人のストーリーがたくさん載っています。自社だけではなく他社で働く方のコンテンツも見た中で、改めて自社のメンバーだとこういうキャリアを積んでいるのだと知って、自分自身のキャリアを考えた方が、より説得性や納得感も生まれるのではないかと思います。
── 今回のtalentbookの導入が、社内の人事部門で開催している「HRアワード」で賞を受賞されたそうですね。
登さん:はい。HRアワードは年に一度、人事部門で開催しており、人事部門内のさまざまな活動を表彰するものです。全社の中でも一早くtalentbookを導入したのですが、新しいことに積極的に取り組み始めたこと、そしてその媒体活用が採用活動の起爆剤になるのではないかということで表彰されました。実は私たちの部門は日産の中では大きな部門ではないですが、会社としてはとても重要な責務を負っている部門です。もちろん他の活動も含めてですが、そのような部門がtalentbookを導入したことも高い評価を受けたポイントでした。
さらには人事役員が社内の人事担当者向けに「グローバル品質保証部門がtalentbookを活用しました」と話をしてくれたこともあり、人事の間でtalentbookが広く認知されることとなりました。
日産の品質保証を、社員の想いをのせてより適切に正確に伝える
── 弊社としても嬉しいご報告をありがとうございます。ここからが本格スタートだとは思うのですが、最後にtalentbookを活用した採用ブランディングへの意気込みや今後の展望をお聞かせください。
山野さん:当初の目的としては、いろいろな人に品質保証の仕事や、そこで働く人を発信して知ってもらう。そして社内の人財育成などに活用するというものがありますが、活用の範囲はどんどん広げていきたいと考えています。それらをきっかけに採用人数も拡大し、採用人数の目標に到達できるというのが理想のゴールです。
登さん:山野はエンジニア経験を積んで5年目にオープンエントリーという形で人事部門へ自分で手を挙げて入ってきてくれました。いい人財に日産へ入社してもらい、育成するということに対する熱い想いを持って活動してくれていますし、それがtalentbookの導入及び活用にも繋がっていると考えます。
日産はこれまでに紆余曲折があった会社です。私自身も新卒社員として入社して、厳しい時代を経験しましたが、そういうタイミングや昨今の変革期にこそ、お客さまにとって弊社がどんな存在でいなければいけないのか、ということを常に訴え続けたいと思います。お客さまの生活に深く入り込んだ無くてはならない会社だと自負しておりますので、より適切に正確に伝えたいと思います。究極はお客さまの幸せと安全を目指しているので、日産で働く人を通して情報発信を行い、一緒にその想いを醸成してくれる方に入っていただけるよう今後も取り組んでいきたいと思います。