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株式会社フレクト

事業成長に伴う採用・育成の強化。 IPOに向けて取り組んだ「人」起点の採用ブランディング

クラウド先端テクノロジーとデザインで企業のDXを支援するマルチクラウド・インテグレーターである株式会社フレクト。2021年12月にIPO(新規上場)を実現し、株式公開企業としてステークホルダーに信頼され、広く貢献できる企業で在り続けられるよう、顧客中心型のビジネス変革を支援している。IPOを見据えた2020年、組織拡大に伴う採用ブランディングの強化を目的にtalentbookを導入。働く社員の魅力を継続的に発信し、採用候補者への魅力づけに努めている。今回はtalentbook導入のきっかけや効果などについて、執行役員コーポレート本部長CFOの塚腰 和男氏に話を伺った。

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Profile

塚腰 和男(Kazuo Tsukagoshi)
株式会社フレクト 執行役員コーポレート本部長CFO
大手予備校および医療から不動産ITサービス企業を経て、2017年株式会社フレクト入社。「テクノロジーで戦略人事をサポートする」をモットーに、人事・コーポレート業務のDXを推進。経営×人事のあるべき未来を追求する。フレクト入社時に約70名だった社員数は現在では200名となる。人事部長を経て、2020年にコーポレート本部長CFOへ就任。現在に至る。

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  • 六角形アイコン

    導入背景

    ・IPO準備期への突入による、事業成長に伴う採用・育成の強化

  • 六角形アイコン

    導入の決め手

    ・社員の人柄や考え方などの人となりにフォーカスを当てたコンテンツの配信に特化している点
    ・プラットフォームとしてだけではなくコンテンツ制作におけるアドバイスが充実している点

  • 六角形アイコン

    効果

    ・エンジニア職の中途採用における月平均エントリー数が120名→180名に
    ・新卒採用における内定承諾数が約4倍に増加
    ・転職エージェントに企業理解を深めてもらい、フィットした人材の紹介を得られやすくなった
    ・コロナ禍でリモートワークが増えた中、お互いを知ったり、会話のきっかけになるなどの社内コミュニケーションに寄与

INDEX

IPOを見据えた採用ブランディング計画。キャリアのロールモデル発信を行いたい

──本日はよろしくお願いいたします。まずはtalentbook導入時の背景や経緯、課題感について教えください。

▲執行役員コーポレート本部長CFOの塚腰 和男氏

塚腰さん:導入を考えたのは2019年後半〜2020年頃で、IPOを視野に入れた事業計画を練っていたタイミングでした。弊社のビジネスモデル上、IPO時は人材の増加が売上の増加に直結している状態で、事業を成長させるためには売上の向上が必須です。つまり、会社として採用や育成の強化をしていかないといけないタイミングでした

しかし、それまではコーポレートブランディングや採用ブランディングはほとんど行っていなかったのですが、弊社にはとても高い技術力を持った優秀なエンジニアが数多く在籍しています。その事実をしっかりと対外的に届ける必要があると思いましたし、インナーブランディングとしても、社員たちにメリットのある方法はないかという軸で社内外に効果的に発信していくためのサービスを探していました。

──採用ブランディングはもちろん。インナーブランディングの要素も意識されていたのですね。

▲フレクト社採用活動のテーマ「レジュメの価値の最大化を目指して─  10年後もマーケットに求められる人材に。」

株式会社フレクト 採用HP:https://recruit.flect.co.jp/

塚腰さん:そうですね。当社の採用活動では「レジュメの価値の最大化を目指して─  10年後もマーケットに求められる人材に。」というテーマを持っています。日々の業務や技術力がいる案件などを積み上げていって、自身のスキルアップや経験値のUPにつながることはもちろんですが、社員一人ひとりのセルフブランディングを会社がサポートしていくことが、在籍しているエンジニアの市場価値を高めることにつながっていくのではないかと思ったんです。

──なるほど。セルフブランディングを会社が後押ししていくことが社員と事業の成長につながっていくと考えられていたのですね。その上でtalentbookの導入にあたり、決め手となった部分はどちらだったのでしょうか?

塚腰さん:コンテンツを制作し発信できるサービスや媒体等をいくつか比較検討し、最終的にtalentbookを導入することに決めた理由は、サポートが手厚いという点です

リソースが豊富にある会社であれば、自社でオウンドメディアを立ち上げて、コンテンツマーケティングをするというアイデアもあります。ただ、弊社ではまずミニマムに取り組みたいと考えたため、そういった流れは現実的ではありませんでした。

自分たちでコンテンツを発信するだけでなく、記事の書き方や取材の方法などをしっかりと教えてくれるサービスには初めて出会いました。社内にナレッジが溜まるように教えてくれたので、初めての採用ブランディングのためのコンテンツ制作を進める上でもスムーズなスタートを切ることができました。クオリティの良し悪しもわからない初期のタイミングで出会えたことが非常によかったです。

──「社内にナレッジが溜まるように」という点は、当社も意識しているポイントでしたのでとても嬉しいです。ここからは実際にどのようなコンテンツを制作したか教えてください。

塚腰さん:まずは、フレクトに在籍している「人」をきちんと発信していきたいと思っていたので、人となりにフォーカスを当てたコンテンツ制作を行いました。具体的には、エンジニアやPMなどを中心に、その人のキャリアや考え方などを表現するコンテンツを制作しています。

▲エンジニアやPMなどを中心に、その人のキャリアや考え方などを表現するコンテンツを制作

ストーリー(左):40代からの転職。技術力を武器に、PMとして新しいキャリアの歩み方
ストーリー(右):新たなビジネスづくりへ──高難度PJを手掛けるプロフェッショナルPMの挑戦

また、同業のエンジニアの方にとってのキャリアの選択肢になるようなコンテンツができたらとも考えていましたね。「フレクトの〇〇さんみたいになりたい」と、誰かにとってのロールモデルが見つかるようなコンテンツを意識して制作していました。こちらから選出する社員も似たようなキャリアの人ばかりではなく、なるべく幅広いバリエーションになるよう意識しました。

▲誰かにとってのロールモデルが見つかるようなコンテンツ制作を意識

ストーリー(左):あたたかい社風に惹かれ、パートナーから社員へ。フレクトの魅力を伸ばしたい
ストーリー(右):Salesforceのコミュニティグループ運営。人とのつながりが生み出した成長

──制作したコンテンツは具体的にどのように活用していますか?

塚腰さん:talentbookで公開したら、採用サイトに展開したり、Twitter、Facebook、LinkedInなどのSNSでも発信し、なるべくタッチポイントを増やせるようにと意識してシェアを行っています。

▲LinkedIn×talentbookでの採用ブランディング実践例

また、採用候補者からのエントリーがあった場合には、求人内容に合わせて3〜4記事ほどをピックアップして候補者の方に送るような活用も行っています。担当する面接官のストーリーが公開されている場合は、そのストーリーを候補者の方に送っています。

そうすることで、候補者の方には、面談の前に面接官の人となりを知ることができるので安心していただけたり、仕事のイメージが具体的に想像できたなどの声もいただき、採用成果にもつながった事例が数多くあります。

──「潜在層に届ける」という目的で広告配信もされていたかと思いますが、振り返ってみていかがでしたでしょうか?気付きなどあれば教えてください。

塚腰さん:流入エントリーが何件という数値を追っていなかったので出口戦略は今後必要かなとは思いますが、認知拡大に寄与したと思っています。実際に広告配信をしてみると、興味を持ってもらいたい層に対して、どういったコンテンツや見せ方を工夫したほうが効果があるかなど、学びが多かったです。

カスタマーサクセスのみなさんとは、定期的にミーティングを行う機会も設けていただきましたよね。自分たちが考えていることをお伝えしつつ、みなさんからアドバイスをいただくこともできたので、より質の高いトライを繰り返すことができたと思っています。

新卒、中途採用ともに内定者増を実現。コロナ禍での「顔が見えるコンテンツ」の大切さ

──talentbook導入後の成果として中途採用の「月間平均エントリー数が、120名から150名へと増加した」と聞いています。採用候補者の興味関心を高めることができた理由についてはどのように考えていらっしゃいますか?

塚腰さん:現在はさらに増加して月平均のエントリー数が180名を突破しました。採用に関してはエージェントと協力して実施しており、エージェントにもtalentbookで公開した採用ペルソナのストーリーを送るようにしているんです。そうすることで、フレクトが大切にしたい価値観や社風などが伝わりやすくなったと言ってもらえてスムーズな採用にもつながってきました。

エージェントの担当者の方からも「フレクトにどういった人材が合っているのか理解が深まりましたし、以前よりもフレクトの強みを理解できるようになった。その結果、候補者の方にもフレクトをご紹介しやすくなりました」とフィードバックをいただいたんです。フレクトの意思をストーリーに乗せることで、企業理解の後押しになっている実感があります。

──事業成長のタイミングでは経験のある中途採用に注力する企業も多いかと思いますが、2021年3月から新卒採用も本格化したのはどういった背景からだったのでしょうか?

塚腰さん:理由は大きく分けて2つあります。まず1つは、企業として、今だけでなくこの先も成長し続けられる状況をつくるためです。企業として高い技術力を維持することは非常に大切なポイントです。

いつまでも中堅社員の実力のみに委ねていては、年々社員の平均年齢は上がる一方。最先端の技術に対して臆することなく取り組むためには、若手のバイタリティも必要です。そういった観点から、若手社員を採用し、育成を行いつつ既存の社員に新しい刺激を与える循環を作りたいと考えていました。

2つ目の理由は、採用競争の激化です。世の中的に若手の人口が減少している国内の採用市場では、優秀な社員をいかに早いタイミングで採用できるのかが非常に重要です。フレクトという会社を知ってもらう機会を増やし、優秀なエンジニアの卵を社内で育成することで胆力のある企業として歩みたいと思っていました。

これまでは今目の前にある組織を強化することに奔走していましたが、優秀な社員のおかげでそういった環境が醸成されつつある。未来の組織であったり、現在の組織を活性化することなどを考えるフェーズに移ったのだと思います。

──コロナ禍採用の中でも、結果として想定していた人数の約4倍の内定が実現したと伺いました。コンテンツがあったことで得られたメリットはありましたか?

塚腰さん:今年入社した新卒社員が「talentbookがあって良かった」と言ってくれていましたよ。コロナ禍で、先輩社員に会う機会を作りにくかったので、働いている人の顔が見えるというのは安心要素の一つだったみたいです。

「この人、talentbookに載っていた人だ」と思いながら面接に挑むこともあったそうで、面接前はすごくワクワクしたと言っていた新卒社員もいましたね。“talentbook”の名前の通り、社員が学生の皆さんにとってのタレントになれていた証拠なのかなと思います。総じて、入社してくれた新卒社員はみんな、talentbookのストーリーをかなり読み込んでから面接を受けてくれていました。

──社内コミュニケーションの部分では、何か反応はありましたでしょうか

塚腰さん:社員同士もお互いにストーリーを読み合いコミュニケーションのきっかけにしてくれています。というのも、コロナ禍に入ってから弊社は出社率を10〜20%ほどにしているので、社員同士が気軽にオフラインで会える環境ではなくなってしまって。会話の機会がなかなか見つからないこともあるようなんです。

そういった際に社員ストーリーがあると、今まで話してこなかったキャリアの話や考え方などをお互いに知ることができるので話が膨らむみたいなんです。「talentbook、見ましたよ〜」と話しかけている社員を目にするので、話しかけるための役割を果たしてくれているようです。

IPO準備における広報戦略では「自分たちが何者なのか」をきちんと定義すること

──今後、talentbookをどのように活用していきたいと考えていらっしゃいますか?

塚腰さん:基本的には今と変わらず、素晴らしいエンジニアが集まっている環境だということを伝えていくために活用していきたいですね。まだまだ紹介できていない社員がいるので、彼らを取り上げられるよう、コンテンツの制作を継続して行えたらと思っています。

▲フレクト社で活躍するエンジニアの仕事風景&ストーリー

また、ストーリーのアイキャッチ写真をなかなか撮影できない状況が続いているので、ポートフォリオにできるような良い写真を撮影するタイミングも作りたいですね。リモートワーク環境下でスムーズにコンテンツ制作を行うフローの整理や工夫などは今後も続けていきたいです。

──フレクトさんのように、スタートアップがIPOを見据えてコーポレートブランディングや採用ブランディングを強化していく際に重要なポイントを挙げるとしたらどのようなことでしょうか?

塚腰さんIPO準備における広報戦略では、自分たちが何者なのかをきちんと定義した上で情報発信を行うことが必要だと思います。よく広報界隈では「ナラティブ(物語)」という言葉を扱いますが、まさに企業としてのナラティブを、自分たちの言葉で紡ぎながら発信し続ける必要があるのかなと。

IPOを視野に入れる際、資本市場における自分たちのポジションを確立しなければなりません。ところが、世の中はまだ自分たちをよく知らない。投資家たちも同様に、上場審査が通って承認されて初めて会社のことを知るわけです。

その際、多くの人が企業のことを調べますが、そこできちんとこれまで、そして未来へのストーリーが提示されているかどうかで第一印象が変わってしまうと思うのです。IPO以前からナラティブな視点で企業としての役割やポジションを考えているなら、印象に残るという人も多いですから。

今行っている広報戦略はどういった世界を創るためのものなのか。立体的に考えることで、その戦略がうまくいくかどうか変わってくると思います。もちろん、弊社としても意識して行っていきたい部分ですね。

──ありがとうございます。最後に、他社企業の方から「talentbookの活用を検討している」と相談を受けたら、塚腰さんはtalentbookのどういった点をおすすめしますか。

塚腰さん:やはり働く人にフォーカスしてストーリーを届けていくという、「talentbookのコンセプト」でしょうか。世の中でこれまで可視化されてこなかった「働いている人」たちにフォーカスを当てているtalentbook。コンテンツがあふれた今の世の中は、まさに誰がどこで発信しているのかを重要視する傾向にあります。

当社が採用ブランディングを行うにあたって、最も大切にしたのも「どこでコンテンツを出すか」という点でした。talentbookでストーリーを掲載している企業のみなさんは、弊社と同じように「人」に想いを持って情報発信をしています。弊社と近しい価値観を持っている企業も多く、ある意味コミュニティ化されているようにも感じるんです。そういった、「働いている人」を大切にしている企業が集まる場所にコンテンツを出すことに意味があるのだと思います

そして、「働く人について知りたい」と思ったら、talentbookにいこうと思える。そういう世界観をPR Table社も目指していると思いますので、人に振り切ったコンセプトのtalentbookで発信することを推します。

これからはサービスの良し悪しだけや使い勝手などで選ぶ時代は終わっていて、色々なことが「人」で決めることが当たり前の時代になってきます。フレクトで働きたいという想いではなく「○○さんと一緒に働きたい!」だからフレクト。という選択のプロセスになる。そうすると、人で検索することが当たり前になってくる時代は目の前にあり、talentbookは人検索のデファクトスタンダードになると思っています。

──引き続きtalentbookを通じて広報・PR活動の伴走パートナーとしてご支援させていただきます。貴重なお話をありがとうございました

※掲載内容は取材当時のものです。

ー編集後記ー

お話をお伺いし、フレクト様は当初、採用ブランディングが入口ではありますが、会社をとりまく全ステークホルダーとの関係構築のための活動として、talentbookで社員ストーリーを発信、活用されて来られたのが印象的でした。かつ、早い段階からトリプルメディア戦略の考えをもとに、PDCAを回しながら広報活動を実践してきた成果が、定性・定量ともに現れたのだと感じております。

引き続き、「セルフブランディングを会社が後押ししていくことが社員と事業の成長につながっていく」という考えと思いを実行していけるよう、伴走パートナーとして歩ませていただけますと嬉しいです。

インタビュー:株式会社 PR Table 川島