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<Z世代との意識格差が広がるSDGs> 教育現場から見えるこれから企業が求められる取り組みや情報発信とは?

INDEX

こんにちは、PR Tableの池野です。

2021年7月27日、すなばコーポレーション株式会社代表取締役の門川 良平さんをお招きし、「<Z世代との意識格差が広がるSDGs> 教育現場から見えるこれから企業が求められる取り組みや情報発信とは?」と題してセミナーを開催しました。

門川さんは、独自に開発した小学生から学べるSDGsゲームで、ワークショップ型の学びを展開し、教育現場を軸としながら、コンサルティングとして企業・⾃治体とも連携しSDGs浸透を進めていらっしゃることもあり、その知見もたくさんお伺いでき、私自身学びの多いセミナーとなりました。

今回は、セミナーで印象に残ったポイントや、当社からお伝えしたSDGsの情報発信におけるポイントについてまとめました。

経年別SDGs興味・関心度合いの変化

電通による第4回「SDGsに関する生活者調査」※1によると、SDGsという言葉の認知率は、昨年から今年(2021年)にかけて急激に向上しています。
門川さん曰く、2019年から2020年にかけても13.1ポイント増加した際もその伸び率にびっくりしたそうですが、今年は前年を遥かに超える認知度の伸びが見られました。

格差が見え始めた世代別SDGs認知率

上のグラフは性年代別と職業別SDGs認知率の前回調査比較です。

10代のSDGs認知率が7割を超えて、業種別でも前年まで1位だった「公務員」を抜いて、「学生」が圧倒的TOPとなりました。
つまり、10代~Z世代の伸びが顕著に見られます。近年の急激な認知率の向上の裏には、新型コロナウイルスの影響と教育が大きく影響しているようです。

この1年で、「テレビでの露出が各段に伸びた」ということが要因の一つであり、実際に、最近はSDGsを題材としたテレビ番組が増えています。
コロナ禍で家庭で過ごす時間が増えた中、学校教育でSDGsについて学んでいる学生がテレビで同じテーマを扱っているのを見ることで、それが復習となり理解度が更に進んだそうです。

更にその学びを親御さんにシェアすることにより、親世代が子供から教えられる形でSDGsに関する学びを深めている、というケースもあるようです。

就職活動の変化〜企業のSDGsへの取り組みが志望動機の影響因子に


Re就活の今年6月の調査データ※2(左の円グラフ)によると、SDGsへの取り組みが、半数以上の候補者の志望度に影響を及ぼしていることがわかります。
また、ベイニッチの「22卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査※3(右の棒グラフ)からも、就職先企業を選ぶ上で重視した観点として、「SDGsに対する姿勢や取り組み」が上位に上がってきています。
今や、「有名企業であるかどうか」よりも上の項目に位置しています。これは少し驚きを感じました。

門川さんが最近就活生の意識の変化を感じたエピソードとして、「ある学生が、採用パンフレットを受け取った際に、それが厚いビニールで華美に包装されているのを見て、SDGsに向き合っていないと感じて受けるのを辞めたそう。いくらHPなどで良いことを言っていても、そういったことが志望度を下げる要因になりうる時代」とおっしゃっていたのが衝撃的でした。

SDGsを「自分ごと化」するには? 企業内での浸透方法

門川さんいわく、SDGsを社員が自分ごと化させるには、「企業」「組織人」「個人」の3つの立場でSDGsに向き合うことが重要だそうです。

企業として、CSV(Creating Shared Value)的な発想で社会との共有価値の創造を行っていく。
組織人として、中期経営計画や経営ビジョンをSDGsの視点で再解釈し、自分のミッションに落とし込んでいく。
そして、何より個人として向き合うことが重要だそうです。一人ひとりの取り組みや価値観を共有することで、「SDGsは自分の人生に密接に関わっている」という感覚を持ち、単に「仕事だから」「経営方針だから」ではなく、自らが取り組むべきものとして当事者意識を持てるようにする工夫が求められています。

門川さんは、オリジナルゲームを通じて、学校の先生同士・従業員同士の対話の促進や、SDGsを身近に感じるような研修を設計されているそうです。
単に一方的にSDGsの重要性を説くのではなく、コミュニケーションを通じて自分ごととして時間をかけて浸透させることが重要であると言えます。

求められる「人の魅力」の発信

今、生活者の企業を評価する軸も変化が起こっています。

電通PRの調査※4によると、企業の魅力を問う項目では、「人的魅力」が5年連続で第1位となり、項目別ランキングでも、上位5項目中、4項目が、人的魅力に該当する項目となっています。
収益性や成長戦略といった財務的魅力、商品・サービスのコストパフォーマンスや独創性といった商品的魅力以上に、「チャレンジスピリットにあふれたリーダー・経営者がいるか」「こだわりを持った社員が品質向上にチャレンジしているか」といった人的魅力を生活者は重視していることがわかります。

もうイメージ先行のブランディングはなかなか効かなくなってきているといえます。
実際に、イメージ先行ではなく、働く人の魅力が、重要な因子になっていることがわかります。

一方で、上のスライドは、今年5月に当社が人事・広報担当者1,400名に聞いた、「どういう情報発信をしていきたいか」というアンケート調査の結果です。

最も発信したいと挙げられたのは「会社の取り組み(SDGs、CSR、CSV活動、新規事業など)」となりました。多くの企業がSDGsも含めた会社の取り組みを積極的に発信したいと考えていることが分かります。

一方で、「社員の紹介」は相対的にかなり低く、あまり重要視していない企業が割合として非常に多いようです。先ほどのスライドで、企業のブランディングには「人の魅力」を発信することが重要であると説明した通り、生活者(情報の受け手)は人に関する情報を求めているにもかかわらず、企業側(情報の発信側)は取り組みそのものの発信を重要視している

ここに企業と生活者の乖離が生じているようです。今後企業としては、「SDGsに取り組む社員一人ひとりの思いや工夫、描いているビジョンを、継続的に発信していく」ことがポイントになります。

このように、従来の企業からの一方的な情報発信のやり方から、これからのアプローチを替え、透明性のある情報の発信や、候補者一人一人の心に刺さるコンテンツの開発をしていくことが求められてきます。

さらに、キーマン(=働く人の声)を通じて伝えていくこともアプローチとして考えていきたいポイントです。

会社主体の、良い面だけを淡々と発信していくのではなく、「正直SDGsのこの部分はまだまだで、長期的に取り組むべき課題である。だからこそ、中期経営計画でも重要項目においている」といった課題点をしっかりと伝えていくことで、ステークホルダーの共感が得られます。
実際にSDGsの取り組みを行っている社員が、自分の言葉で取り組みの内容を綴り発信していくことで、読み手の理解を得られるようになります。

まとめ

・Z世代を中心にSDGsの認知度はここ数年で大幅に向上している
・就職活動においても、SDGsの取り組みを重視する学生が増えている
・「企業」「組織人」「個人」の3つの立場でSDGsに向き合うことで、社員の自分ごと化を推進できる
・生活者は企業の「人の魅力」を求めており、単純にSDGsの取り組みの事実だけでなく、「携わる人を主体とした情報発信」が肝になる

いかがだったでしょうか。

もし「社員を主役にした情報発信を通じて、SDGs等の取り組みを社内外のステークホルダーに発信したい」という方がいらっしゃいましたら、talentbookがお力添えできますので、ぜひご相談いただければと思います。
また、今後もSDGsや情報発信に関するセミナーを予定しておりますので、ぜひご参加いただければと思います。

<出典一覧>

※1 電通による第4回「SDGsに関する生活者調査」                                            
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2021/0426-010367.html

※2 Re就活の今年6月の調査データ                                                              
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000733.000013485.html

※3 ベイニッチ「22卒就活生の選社軸とSDGsの関係性」に関する調査                      
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000733.000013485.html

※4 電通PRの調査 株式会社電通パブリックリレーションズ 企業広報戦略研究所「第5回魅力度ブランディング調査」
https://www.dentsu-pr.co.jp/releasestopics/news_releases/20200923.html

<共催>すなばコーポレーション株式会社