2022.03.07
事業内容
ITサービス事業、社会インフラ事業
従業員数
単独22,036名(2023年3月末現在)連結118,527名(2023年3月末現在)
導入背景
・ 「社員」に焦点を当てた採用広報に取り組む必要性が生じていた
・採用広報のコンテンツ制作担当が、他の業務と兼務していたためリソースが不足していた
課題
導入の決め手
※株式会社PR Tableは2024年11月にtalentbook株式会社へ社名変更しました。
※所属・職位は、記事公開時/2022年3月7日
DEAN & DELUCAやTODAY’S SPECIAL、CIBONEなど「食とデザイン」を軸として有名ブランドを複数手がける株式会社ウェルカム。
ミッションとして「感性の共鳴」を掲げる中で、“企業全体の理念と個々の現場との調和”を実現する採用広報を実践するために、2019年にtalentbookを導入。
「現場で働く人」にフォーカスした継続的な採用広報コンテンツの制作と、効果的な求職者への伝播を少ないリソースで実現している。
今回は、talentbook導入のきっかけや効果などについて、人事企画室より統括の鈴木 祥太氏、採用企画 MGRの古澤 領氏、採用企画 採用PRの園田 玲花氏に話を伺った。
▼お三方のtalentbookストーリー
鈴木 祥太氏:ウェルカムに関わるすべての人に価値提供を。多様性を認める環境づくり
古澤 領氏:みんなの良き相談役になりたい。入社17年目の社員が人事にキャリアチェンジした理由
園田 玲花氏:もっと「ヒト」の魅力を伝えたい──接客から人事へ転向した採用広報担当が貫く想い
──talentbookは主に採用広報を目的としてご活用いただいておりますが、もともとどのような経緯で採用広報に注力することになったのでしょうか?
鈴木さん:弊社の代表ブランドである DEAN & DELUCAには2つの大切な価値観があります。それが「FOOD IS HERO」「WE ARE MERCHANT」です。「食品こそが店の主役である」という価値観と、それを届けるのは「商人としての私たちである」という価値観です。
ところが、ある日、新入社員の一人がこんなことを言いました。「DEAN & DELUCA はFOOD IS HEROを大切にしすぎるあまりに、“人”という観点を大切にできていないのではないか」と。
たしかに、採用広報に注力することになった2016年当時は「FOOD IS HERO」の考え方ばかりが社内で広まっていました。並列関係であったはずの「WE ARE MERCHANT」はあまり体現できておらず、このことにより現場でクリエーションが起きづらくなっているということに気付きました。
そこで、食を届けるMERCHANT=「人」に焦点を当てたコンテンツの制作を行うことになりました。それが弊社の採用広報の始まりです。
また、その他にも、中途採用で入社する社員の定着率を上げるためにも採用広報が重要だという考えも社内に生まれていました。
「自社採用サイトからエントリーをしてくれている人のエンゲージメントが高い」という結果がこれまでの採用結果で表れていました。入社後に長く活躍する人材を獲得するためにも、オウンドメディアを活用した採用広報の重要度が高いと思ったのです。
──そのような背景からtalentbookで社員を主役にしたコンテンツを発信されているんですね。採用広報においてはどういう点に注意されているのでしょうか?
鈴木さん:特に意識しているのは、理念・ブランドと現場のイメージギャップがないよう発信することです。弊社では会社の理念やブランドの発信を、現場の様子や働く人に紐付けて発信を行っています。
その中で発信内容を限定してしまったり、偏った発信をしてしまうと、入社後に「思っていたのと違う」と感じられてしまう可能性があります。入社してくれる人には、応募時から会社のイメージをよく理解してもらいたいと思っていますし、そのために嘘偽りのない発信をしたいと思っています。
そういった考え方のもと、弊社ではtalentbookをオウンドメディアのように活用しています。会社の理念を体現してくれている社員の姿にフォーカスして、多様な価値観や取り組みを一つひとつ丁寧に発信しているつもりです。
──現在の採用チームの体制を教えてください
鈴木さん:基本的には3名で採用活動を行っています。僕がメンバーをまとめる総括を担っており、採用企画のマネージャーが1名(古澤さん)、採用企画が1名、採用PR(園田さん)が1名の合計3名で年間100名の採用に携わっています。現在、コンテンツ制作を行っているのは園田のみです。
──園田さんお一人だけでコンテンツ制作を担われてるんですね!talentbookは効率化のお役に立てていますか?
園田さん:コンテンツを制作して発信するとなると、大きく作業フローが企画・制作・発信・分析に分けられます。これらを少人数で行うのはとても大変なのですが、どのフローにおいてもtalentbookが効率化の手助けになってくれています。
具体的には、1記事あたり16時間かかっていたコンテンツ制作時間を約半分に抑えることが可能になりました。
talentbookのCMSには、制作ガイドによる自動構成提案機能があり、コンテンツの構成をゼロから企画する手間が省けます。コンテンツ制作時も、talentbookによる添削・最終チェックのサポートがあるので、制作時間を大幅に短縮することができました。
talentbookの活用を始めたばかりの頃は他部署と兼任しているメンバーが制作を進めていたので、思うように時間が取れないこともありました。少ないリソースの中でも継続的にコンテンツを投稿できていたのはtalentbookのサポートがあってこそだと思っています。
現在は私が専任でコンテンツ制作に関わっているので、サポートを利用せずに社内で制作を行っています。talentbookの制作支援オプション(talentbook CSチームのプロのインタビュアーが完全オンラインで取材・書き起こし・原稿執筆・添削校正を代行するオプションプラン)か自主制作か、どちらかを選べる臨機応変さがとても嬉しく思っています。
──コンテンツで取り上げる際の人選はどのように実施されていますか?
鈴木さん:現在は、採用につながるよう各ブランドの面接官となる人たちのストーリーを届ける方向で人選を行っています。
先ほどもお伝えしたように、talentbookを活用し始めたばかりの頃は、社内の理念と現場の様子をバランス良く発信することを重視していました。その目標は達成できたので、現在は目標を切り替え、「採用の歩留まり向上」に据えています。
求職者の方が面接に進まれる際に、talentbookで掲載している面接官となる社員のストーリーを読める状態を作ることで「知っている人と面接する」という、心理的な距離感が近い面接ができたらと考えているんです。
──忙しい現場を巻き込むのは大変じゃないですか?
古澤さん:そうですね。たしかに日々忙しい社員の力を借りることになるので、目的を伝えたり、協力してもらうことでどういったメリットがあるのかを丁寧に対話するようにしています。
talentbookに記事を掲載することで採用スピードの加速や、内定率の向上、内定者のロイヤリティが向上するといったメリットを伝え、協力してもらえるような関係性を築いていますね。
──作ったコンテンツはどのように候補者に届けているのでしょうか?
古澤さん:talentbookにただ掲載するだけではなく、自社サイトから遷移できる動線を引いたり、採用媒体として活用しているWantedlyに掲載して目に触れる機会を増やすような取り組みをしています。
潜在層だけではなく、顕在層の目に留まってほしいとも思っているので、選考中の求職者にメールで記事を送ることも多いですね。社風の理解はもちろん、面接官となる社員の仕事内容や考え方をリアルに知ることができるコンテンツなので、面接前にぜひ読んで欲しいです。
それに、実際に読んでくれた求職者の方とは普段の面接よりも一歩踏み込んだ場所で対話ができるので、お互いにとって有意義な時間になっていると感じています。
──園田さんはtalentbookの記事がきっかけで入社を決めたそうですね。
園田さん:そうなんです。当時、Wantedlyを使って転職活動をしていましたが、先ほどの話のように面接官を担当してくれた鈴木のストーリー記事を事前に送ってもらえたんです。おかげで、仕事内容だけではなく、人にも着目しながら転職活動を行うことができて、一層入社したいという気持ちが高まるきっかけになりました。
面接時にわざわざ面接官の情報を開示して寄り添おうとしてくれたのは、当時数十社の面接を受けていましたがウェルカムだけだったんです。小さなことなのかもしれませんが、この記事があるかないかで、随分と面接に挑む際の心構えが変わりましたね。
──これこそ、望ましい候補者体験ですね。その他、反応の良かったtalentbookのコンテンツはありますか?
園田さん:社内外それぞれで異なるのですが、まず社内の反応が良かったのは古澤の記事でした。
古澤自身は入社してから17年、店舗で活躍してきたメンバーなのですが彼のキャリアの歩み方を知る機会がなかなか無かったんですね。そのため、長年働いているメンバーの人生を社員も初めて知るきっかけになったのかなと思っています。
一方、社外の方から反応が良かったのは、DEAN & DELUCAでエリアマネージャーを務めている出居の記事です。弊社に入社するまでの人生に触れたり、失敗談も赤裸々に紹介しています。人柄の伝わる記事になったことで、とても多くの方に読んでもらえました。
──ここまでの総評として、talentbookの導入で得られている成果を教えていただけますでしょうか?
古澤さん:すごく大きな成果を実感しています。具体的には、
・鮮度の高い採用サイトの運営
・少ないリソースでの継続的なコンテンツ発信
・イメージギャップの打破
・理念の社内浸透・インターナルコミュニケーションの強化
の4点に対して効果がありました。
採用の定性的な成果でいうと、talentbookを読んで面接に挑んでいただいた候補者の方からは「〇〇さんのストーリーを読んだのですが△△って実際どうなんですか?」といった具体的な質問をもらえるようになり、中途・新卒共に手応えを感じています。
新卒採用では今年11名の採用を行ったのですが、面接を通じて4名ほどの面接官と接する選考フローを設けており、その面接ごとに事前にtalentbookのストーリーをお送りしています。それにより事業理解を深めた状態で内定承諾いただけました。
結果的に、入社時に弊社のことを深く正しく理解した状態でご入社いただけるようになり、以前は一定数いた早期離職者も現在ではほとんど出なくなりました。
また、インターナルコミュニケーションの観点で、talentbookは社員が自分のキャリアを切り開くきっかけにもなっています。というのも、社員と話をしていると、長く働く中で自身のキャリア形成に悩んだり迷ったりすることも多いようなんです。
そういった際に、talentbookで同じ社内で働く他のメンバーを知ることで、自分の予想していなかった未来に巡り会えたり、新しい可能性を考えられるようになったりするという声を社内から聞いています。
talentbookの記事は、自身のキャリアで悩んだ時に「転職ではなく、ウェルカムの社員として新しい道を選ぶこともできるのだ」と、社員一人ひとりのキャリア形成に大きな影響をもたらしてくれています。
──今後の展望として、どのようにtalentbookを活用していきたいかお聞かせください。
鈴木さん:コロナ禍ということもあり、企業の多くはオンラインでのビジネスに注力するケースがとても増えています。ですが、こういう時代だからこそブランドの世界観をリアルで伝えることができる店舗の価値は、今までよりもグッと重要視されるようになるのではないかと思っています。
そこで、弊社から一人でも多く「あの店のあの人」とお客様から指名される社員を輩出できたらと考えています。そういった社員をtalentbookで取り上げ、社内外共に広く発信していきたいですね。
また、もちろん時代の変化に合わせてCXやDXへの注力も行っていきたいと考えています。新しいチャレンジが始まる今、新たなメンバーも募集しなくてはなりません。そういった仲間を見つけるためにも、talentbookを通した発信を続けていきたいと思っています。
──そんな壮大な計画をお持ちなんですね。具体的には、どのようなコンテンツを想定されていますか?
鈴木さん:社内にはまだまだ魅力的なメンバーがいますので、彼らのストーリーを制作し、社内外それぞれに対して発信を行っていきたいと思っています。個人のストーリーを通して、弊社の理念を深く理解してもらえるきっかけにしてもらえるといいなと思っています。
採用の成功に向けて、talentbookを使い倒しながらこれからも邁進していこうとワクワクしています。
──これからも採用広報で成果が出るよう、ご支援させてください。本日はありがとうございました!
※掲載内容は取材当時のものです。
ー編集後記ー
個人的に、普段DEAN&DELUCAやTODAY’S SPECIALで買い物する中で感じるのが「社員の皆さんの人柄の良さ」です。お客様に居心地の良い空間やニーズに応える品揃えの多さを支えるウェルカムの社員の皆さんの努力が、愛されるブランドを形成しているのだと思います。
だからこそ、talentbookを活用し、販売員の方やバリスタの方など、店舗で活躍されている社員の方々の思いや、日々の業務の裏側を綴ったストーリーをたくさん発信いただけていることが非常に嬉しいです。現場の皆さんの働く姿や理念を表現し、イメージギャップをなくす採用広報の観点でこれからもtalentbookを”使い倒して”いただけるよう、伴走させていただきます。