
2025.10.31
事業内容
ITサービス事業、社会インフラ事業
従業員数
単独22,036名(2023年3月末現在)連結118,527名(2023年3月末現在)
「ロールモデルのキャリア影響度実態調査2025」では、26新卒学生および転職経験のある社会人1,000名を対象に、「ロールモデル」の存在がキャリア選択にどのような影響を与えているのかを調査しました。
その結果、明らかになったのは、キャリア選択におけるロールモデルの重要性と、それに出会えていないという実態。そして、就活・転職が「企業から探す」時代から「人から探す」時代へと大きく転換しているという事実でした。
本レポートでは、調査結果を詳細に分析しながら、なぜロールモデルがこれほど重要なのか、なぜ出会えないのか、そしてどうすれば出会えるようになるのかを深堀りしていきます。
◼️調査概要

まず注目すべきは、26新卒学生の66%以上が「ロールモデルの存在がキャリアの意思決定に寄与する」と回答したという事実です。 この数字が意味するのは、現代の就活生や求職者にとって、ロールモデルは「あったら良い」存在ではなく、キャリア選択における重要な判断材料になっているということです。

従来の就活・転職では、「給与」「勤務地」「福利厚生」といった条件面が判断基準の中心でした。しかし、これらの情報だけでは答えられない問いがあります。
こうした問いに答えてくれるのが、実際にその会社で働く先輩社員「ロールモデル」の存在です。彼らのキャリアストーリーは、抽象的だった未来を具体的なイメージに変換し、「この会社で働く自分」を現実的に想像させてくれます。
特にZ世代は、「条件」よりも「共感」を重視する傾向が強いと言われています。企業理念や事業内容も重要ですが、それ以上に「そこで働く人」に共感できるかどうかが、選択の決め手になっているのです。
自己実現やワークライフバランス、多様性への配慮──こうした価値観は、制度や規定を読むだけでは伝わりません。実際にその環境で働く先輩が、どんな価値観を持ち、どんな働き方を実現しているのかを知ることで初めて、「ここなら自分らしく働けそう」という確信が生まれます。
調査では、「入社前に知りたい情報」についても尋ねました。その結果、TOP3はすべて「人」に関する情報でした。
この結果は、就活・転職における価値観の大きな転換を示しています。

従来の就活では、企業名、業界、事業内容、資本金、従業員数――こうした「企業スペック」が判断材料の中心でした。採用サイトも、会社概要や事業紹介がメインコンテンツです。
しかし、現代の求職者が本当に知りたいのは、そうした企業情報ではなく、「誰が働いているか」「どんな働き方をしているか」「どんな価値観を持っているか」という人格情報なのです。
この変化の背景には、いくつかの理由があります。
1. 情報の飽和
企業の基本情報は、すでに十分に公開されています。むしろ情報が多すぎて、違いがわからない。だからこそ、スペックでは見えない「人」の部分で判断したいというニーズが高まっています。
2. 働き方の多様化
同じ会社、同じ職種でも、働き方は人それぞれ。だから「この会社はこういう会社です」という一般論よりも、「この人はこう働いています」という具体例の方が、自分の未来をイメージしやすいのです。
3. 価値観マッチの重視
終身雇用が前提でなくなった今、「この会社で一生働く」ではなく「この会社で何を学び、どう成長するか」が重要です。そのためには、そこで働く人の価値観が自分と合うかどうかが、何よりも大切な判断材料になります。
この変化を端的に表現するなら、就活・転職は「企業から探す」時代から「人から探す」時代へと移行しているということです。
企業を選ぶ基準が、企業そのものから、そこで働く人々へとシフトしているのです。
調査では、ロールモデル情報を「いつ知りたいか」という質問も行いました。その結果、55%の求職者が「情報収集フェーズ(企業研究段階)」と回答しています。
この結果が示すのは、ロールモデルの情報は「選考の後半で知れればいい」ものではなく、「企業を選ぶ段階から必要」だということです。

興味深いのは、情報収集だけでなく、選考対策フェーズ、意思決定フェーズのすべてにおいて、ロールモデル情報へのニーズが高いという点です。
つまり、就活・転職の最初から最後まで、一貫して「人」の情報が判断材料として求められているのです。
しかし、従来の就活プロセスを振り返ってみると、先輩社員と直接話せる機会は選考の後半に集中していました。
従来の就活タイムライン
つまり、「早い段階で知りたい」というニーズと、「実際に知れるタイミング」の間に大きなミスマッチがあるのです。
選考の後半になってから「この会社、思っていたのと違うかも」と気づいても、時すでに遅し。多くの時間と労力を費やした後では、今さら引き返すのも難しい。結果として、「なんとなく」でそのまま進んでしまう――これが内定後の迷いや、入社後のミスマッチにつながっています。
調査では、「選考プロセスにおいてどんな人と話してみたいか」という質問も行いました。その結果、最も多かった回答は「近しい価値観を持っている人」でした。

この結果は、非常に興味深い示唆を含んでいます。就活生が本当に求めているのは、「偉い人」でも「人事のプロ」でもなく、「自分と価値観が近い、少し先を行く先輩」なのです。
価値観が近い人の話が響くのには、いくつかの理由があります。
1. 自分事として捉えられる
価値観が近い人のキャリアストーリーは、「自分もこうなれるかもしれない」と具体的にイメージできます。逆に、価値観が大きく異なる人の話は、どれだけ素晴らしくても「すごいけど、自分には関係ない」と感じてしまいます。
2. 悩みや葛藤に共感できる
価値観が近いということは、似たような悩みや葛藤を経験している可能性が高いということ。「自分も同じことで悩んでいた」という共感が、その先輩への信頼感を生み、「この人の選択なら信じられる」という確信につながります。
3. 質問しやすい
価値観が近い人には、素直に質問できます。「こういう時、どうしていますか?」「私と同じような悩みはありましたか?」――こうした率直な対話が、企業選びの確信を深めていきます。
しかし、従来の就活プロセスでは、誰と出会えるかは完全に運任せでした。
企業説明会で登壇するのは、たまたまその日アサインされた社員。OB/OG訪問で話せるのは、たまたまつながった先輩。その人が自分と価値観が近いかどうかは、まさに「運」です。
限られた機会の中で、本当に自分と価値観が合う「運命の先輩」に出会える確率は、決して高くありません。
ここまで見てきたように、ロールモデルの重要性は広く認識され、「人から企業を探す」志向も明確になっています。しかし、調査で最も衝撃的だったのは、実際に「ロールモデルに出会えている」と答えた求職者が28%にとどまり、71%が「出会えていない」もしくは「わからない」と回答したという事実です。
重要だとわかっている。人から探したいと思っている。でも出会えない――この深刻なギャップが、現代の就活・転職における構造的な問題を浮き彫りにしています。

ロールモデルに出会えない背景には、3つの構造的な障壁があります。
障壁1:出会いの機会の絶対的な不足
従来の就活では、先輩社員と話せる機会が圧倒的に少ないのが現実です。
大企業なら数百人、数千人の社員がいるはずなのに、実際に話を聞けるのはほんの一握り。この中に「自分と価値観が合う人」がいる保証はどこにもありません。
障壁2:情報の非対称性
企業が採用サイトや説明会で紹介する社員は、意図的に選ばれています。優秀で、話が上手で、会社のイメージに合う人――いわば「広告塔」です。
もちろん彼らも実在する社員ですが、必ずしも「多様な社員の実態」を反映しているわけではありません。自分と似たバックグラウンドの人、似た悩みを抱えていた人、似た価値観を持つ人――そうした「自分に近い人」の情報は、なかなか表に出てきません。
障壁3:マッチングの不在
最大の問題は、「自分に合う人を見つける仕組み」が存在しないことです。
恋愛であればマッチングアプリがありますが、就活には「ロールモデルマッチング」のような仕組みがありません。結果として、たまたま出会った人の印象で判断するしかなく、本当に自分と相性の良い先輩に出会えるかは、完全に運任せになっています。
調査では、ロールモデルの有無が長期的なキャリアにどう影響するかも調べました。その結果は衝撃的でした。
「ロールモデルがいる社会人」のキャリア納得度は、「いない人」と比べて3倍近く高かったのです。
この「3倍」という数字は、単なる統計上の差異ではありません。ロールモデルの存在が、人生の満足度を決定的に左右するという現実を示しています。

この圧倒的な差には、いくつかの理由があります。
1. 明確な目標設定ができる
ロールモデルがいる人は、「3年後、5年後にこうなりたい」という具体的なイメージを持っています。漠然と「成長したい」ではなく、「あの人のようになりたい」という明確な目標があるため、日々の仕事にも意味と方向性を感じられます。
2. 困難を乗り越える指針になる
仕事で壁にぶつかった時、「あの人もこういう時期があったはず」「あの人ならどう考えるだろう」と思えることが、大きな支えになります。ロールモデルの存在は、単なる憧れではなく、具体的な行動指針として機能するのです。
3. キャリア選択の確信が持てる
ロールモデルに出会って入社した人は、「この会社を選んで良かった」という確信を持ちやすいもの。逆に、なんとなく選んだ人は、常に「他の選択肢の方が良かったかも」という迷いを抱えがちです。
この3倍という差は、早期離職の問題とも密接に関係しています。
厚生労働省の調査によれば、大卒新入社員の約3割が3年以内に離職しています。その理由として多いのが「イメージと違った」「成長実感がない」「やりがいを感じない」――まさにロールモデル不在が生む問題です。
入社前にロールモデルと出会い、その人のキャリアを具体的に知っていれば、こうしたミスマッチの多くは防げたはずです。
調査では、ロールモデルがいる人に「何人いるか」も尋ねました。その結果、平均は1.7名でした。
この結果が示すのは、多くの人が複数のロールモデルを持っているという事実です。

昔は「背中を見て学べ」と言われ、一人の師匠のもとで長年修行するのが当たり前でした。しかし、現代のキャリアはもっと複雑です。
一人の人間がすべてを兼ね備えているわけではありません。だから、複数のロールモデルから、それぞれ違う学びを得る――これが現代的なキャリア形成の姿なのです。
複数のロールモデルを持つことは、視野を広げ、柔軟な思考を育てます。
「この先輩はこう考えている」「でもあの先輩は違う視点を持っている」――複数の視点を知ることで、自分なりの答えを見つける力が養われます。
また、ライフステージの変化にも対応しやすくなります。若手時代のロールモデル、中堅になってからのロールモデル、ライフイベントを経た後のロールモデル――状況に応じて参照するロールモデルを変えていけるのです。
今回の調査で明らかになったのは、就活・転職が「企業から探す」時代から「人から探す」時代へと大きく転換しているという事実でした。
そして、ロールモデルとの出会いが、キャリアの満足度を3倍にも高めるということ。
しかし同時に、その重要な出会いが、半数以上の人に届いていないという現実も浮き彫りになりました。
この「出会いの格差」を放置することはできません。
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