2026.09.11

NECの「まだ見ぬ魅力」を掘り下げる。採用オウンドメディア「DIG UP! NEC」はどのように生まれたのか──talentbook STUDIO✖️NEC

【Profile】 

西井友紀 :日本電気株式会社(NEC)タレントマネジメント統括部 タレント・アクイジショングループ ブランディングプロフェッショナル

髙山翼 :日本電気株式会社(NEC)タレントマネジメント統括部 タレント・アクイジショングループ ブランディングプロフェッショナル

熊崎裕章:talentbook STUDIO Producer / PM



日本電気株式会社(NEC)は、エネルギー、交通、医療、宇宙まで、幅広い領域で社会課題の解決に挑む日本を代表するテクノロジー企業です。しかしその事業の広さや社員一人ひとりの仕事の面白さは、まだ十分に届いているとは言えませんでした。「NECの、まだ見ぬ魅力を掘り下げる(DIG UP)」——そんな思いを込めて立ち上げたのが、採用オウンドメディア「DIG UP! NEC」です。

立ち上げから約2年。記事コンテンツの企画・制作から、広告配信や動画制作など、talentbook STUDIOがさまざまな伴走をしてきました。今回、二人三脚で歩んできたNECの採用ブランディング担当である西井さん・髙山さんと、talentbookの熊崎が、その歩みを振り返ります。

「DIG UP! NEC」:https://web.nec-careers.com/digup/

点在するコンテンツを集約し、NECの魅力を掘り下げる

▲日本電気株式会社(NEC)西井友紀


──「DIG UP! NEC」を立ち上げるに至った背景から聞かせてください。

西井友紀(以下、西井) NECは事業の幅がとても広いがゆえに、採用候補者の方にその魅力が届けきれていないという課題がありました。talentbookさんを活用してすでにストーリーの発信は始めていたんですが、EVP(Employee Value Proposition)を伝えられる場がまだまだ足りていない。それならば自社でもオウンドメディアを作ろうということになりました。

熊崎裕章(以下、熊崎) 当時、採用サイトを含めてすでに良質な記事コンテンツが100本以上はあったんですが、さまざまな場所に点在している状態でした。再訪の動線がなく、いいコンテンツや社員インタビューが集約されていないことで機会損失が起きていた。オウンドメディアをつくることで、そうした課題を解決することもできると思ったんです。

──「DIG UP! NEC」というメディア名はどのように決まったのでしょうか?

西井 最初は、採用を想起させるワードを入れた無難な案などもあったのですが、それではつまらない、もっと思いを込めようということでより思考を深めていきました。NECにはまだ見えていない魅力がたくさんある、それを掘り下げよう、という思いから「DIG UP」というキーワードが生まれました。

熊崎 結果的に、採用やキャリアに限らない名称にしていただいたことで、事業の話やニュース性のあるコンテンツ、レポートなども取り上げやすくなりましたよね。メディアとして長期目線で考えたとき、すごく良い名称になっているなと感じています。

EVPを戦略の軸に据えたメッセージ設計

──オウンドメディアの立ち上げ前に、EVPを約1年かけて策定されたとのことでしたね。どのように進めていったのでしょうか。

▲日本電気株式会社(NEC)髙山翼


髙山翼(以下、髙山) そもそもEVPとは何かという感覚が人によってバラバラだったので、まず社内でEVPそのものの共通認識を作るところから始めました。EVPとは、候補者がその会社を選ぶ理由を明確にするものだと私たちは定義しています。同時に、すでに在籍している社員にとっての「NECを選び続ける理由」でもある。そこをしっかりメッセージにしようと、関係する役員も交えながら丸1年かけて策定しました。

──策定したEVPのメッセージの方向性はどのようなものでしたか?

髙山 単純に給与や安定性をアピールするのではなく、もっと総合的な要素の積み重ねとして伝えたいという方針でした。NECに対して「歴史が長くて安定してそう」というイメージを持たれることは一つの事実ではあるんですが、それを売りにしたいわけではない。歴史の中でちゃんとイノベーションを積み重ねてきた、今も技術の最先端にいる会社だということを正しく理解してもらいたい。そういうブランディングの方向性を定めて、メッセージに落とし込んでいくというステップを踏みました。

熊崎 EVPをここまで整理して体系的に示している企業さんは、実はそう多くないんです。報酬・条件といった要素から、ビジョン・カルチャーといった情緒的な部分まで綺麗に整理されていたのを拝見して、私たちとしてもその軸に沿ってご提案しやすくなりました。戦略をNECさんが決め、アウトプットしていく運用部分を私たちが担うという役割分担が、最初から明確だったのが大きかったと思います。

▲talentbook STUDIO Producer / PM  熊崎裕章

ナラティブなコンテンツをどう生み出すか

──実際にメディアを運営していく中で、コンテンツの企画や制作はどのように設計して進行されていったのでしょうか?

髙山 最初は、とにかくNECの事業の強み、プロジェクトの実績をアピールしなければ、という意識が強かったんです。でも、アクセスデータなどを見ていると、そういうコンテンツはそこまでエンゲージが伸びないということがわかってきた。読み物として読んでもらうには、人となりや、苦労・葛藤といった「波」のあるストーリーがないと読まれないんですよね。企画段階からそういう観点をちゃんと織り込んでもらえるように、talentbookさんと一緒に考えるようになりました。

西井 いいことばかり並べても、読みたい記事にはならないんだと実感として気づいたのは、何本か作ってからですね。talentbookさんの記事は構成の中にそういった要素がちゃんと盛り込まれているので、読める記事になっているなと感じています。

▲DIG UP!NECのTOPページには「人」を軸にしたさまざまな企画カテゴリーが並ぶ


──社員一人ひとりのストーリーを引き出すために、工夫されていることはありますか?

熊崎 NECさんの場合、たとえばAI創薬のような専門性の高い領域の取材もあるので、事前のインプットをかなり徹底しています。取材専任のtalentbook社のディレクターが、その領域の専門用語や事業背景を事前に深く学習してから現場に臨んでいます。NECさんのニュースリリースや資料を定期的に読み込んで、社内でも共有し合っています。専門用語の確認で取材の時間を使ってしまわないようにするためです。

西井 AI創薬の記事を作ってもらったとき、全く畑違いの領域なのにちゃんと専門用語を習得してきてくれていて、本当にありがたかったです。取材される側の社員の方も、自分の仕事についてしっかり聞いてもらえる機会ってそんなに多くないんですよね。だから社員も協力的になってくれるのだと思います。

髙山 元々NECには、言われたことにきちんと向き合う社風があって、取材に協力的な方が大半ですね。とはいえ、全社に対してまだ完璧にメディアの存在を周知できているわけではないので、部門への依頼のたびに「こういう企画でこういうメディアをやっています」と地道に丁寧に説明を重ねていますね。

「3人目のメンバー」として─talentbook STUDIOの伴走体制

▲talentbook STUDIOではPlannerの鶴田(写真右)も含め、チーム一丸となって伴走支援をしている


──talentbook STUDIOとはどのような体制で動いてきたのでしょうか。

西井 最初はオウンドメディアの立ち上げ支援と記事制作からだったんですが、そこからLP制作や動画の制作、最近ではメディアタイアップの提案もしてもらっています。できることがどんどん増えているので頼りっぱなしです(笑)。

熊崎 「できないことは自分たちでは決めない」というのをチームでも共有していて、まずやれる方法を考えてみようというスタンスでいます。記事制作に限らず、広告の施策や動画の制作、LP、メディアタイアップまで、採用ブランディング文脈で必要なことはなんでも相談いただける体制を作ることが、専任部署を持ちにくい採用ブランディング領域で特に意味を持つと思っています。

──NECさんとの関係性で、特に印象的だったことや、他のケースと違うと感じた点はありますか?

熊崎 NECさんの場合、ブランディングチームのお二人の裏側で、現場で採用活動をしているリクルーターの皆さんとお会いする機会が多くて、その方たちとも一緒にやっている気持ちになれているのがすごく特徴的だなと思っています。以前、リクルーターチームの集合写真の撮影をさせてもらったとき、チームとして一丸になっている雰囲気をすごく感じて。直接候補者の方の窓口をされる皆さんから感じられるこの雰囲気は、きっと候補者の方にも伝わるんだろうなと思いましたし、採用ブランディングって本来そこまで考えなければいけないんだと改めて感じさせられます。

▲NECリクルーターチームの集合写真


髙山 採用ブランディング担当は私たち2人しかいないので、talentbookさんには「3人目のメンバー」として機能してほしいとお願いしているんです。言われたことをやってくれるだけではなくて、今後こういうことを考えておいた方がいいんじゃないかとか、一緒に戦略を考えてほしいと。そういう関係でいてもらえていることが、ありがたいですね。

西井 以前は、採用ブランディングにおいてこういう依頼をできる代理店や制作会社がほとんどおらず、個別個別に領域に応じて探してお願いしていたんです。でも採用ブランディングに特化して、記事からLP、動画、広告まで全部まとめて相談できるというのは、やってみて初めて、本当に必要なんだなと実感しています。

インナーブランディングへの波及から感じる手応え

──メディアを2年近く運営してきた中で、手応えや変化を感じている瞬間を教えてください。

西井 今年(2026年)の4月ごろから、社内から「DIG UP! NECを見ました」という問い合わせが立て続けにあって印象的でした。また、記事に出てくれた方が別部署に異動されて、今度は自分の部門を発信したいという思いで連絡をくれたり、社内広報チームが持っていたインナー向けコンテンツを社外にも出したいということで、「DIG UP! NEC」を発信の場として使えないかという相談が来たりしています。

髙山 社外の反応で言うと、オウンド全体のアクセスは年々増えています。また、他社の採用担当の方から「NECのオウンドメディアいいですよね」と言ってもらえる場面も増えてきて、そういう声は素直に励みになります。入社した方のアンケートでも、「女性のキャリアがよくわかった」という声をいただいたり、まさに私たちがやりたかったことが少しずつ実現できている感覚です。

熊崎 リクルーターの方がLinkedInで記事を紹介してくれたり、この社員を出したいという熱量でコンテンツに関わってくれているのを見ると、採用ブランディングってここまでやらなきゃいけないんだという気持ちになります。1本の記事をリリースするときに、その気持ちを社内で分かち合えているような感覚があって、それがとても嬉しいんですよね。

「人事部の中に編集部を」─継続していくために必要なこと

──今後「DIG UP! NEC」をどのように発展させていきたいですか。また、メディア運営の課題として感じていることも聞かせてください。

髙山 現在は私たちブランディングチームの2人がほぼ全てのシリーズに関わっているので、属人化しているという課題があります。理想は、各シリーズのリクルーター担当が現場主導で動き、私たちは全体の編集長的な立ち位置に移行していくこと。それによって更新頻度を上げて、いつ見ても新しいコンテンツが上がっているというメディアの状態を目指したいですね。

西井 DIG UP!という名前を掲げていますが、まだNECを掘り切れていないと感じています。取り上げたい人も切り口も、まだまだたくさんある。発信量を増やして採用候補者の全員が読んでいるくらいの存在感を持てるメディアにしていきたいです。

熊崎 コンテンツは積み上げていく資産なので、継続することが何より大切です。そのために、現実的な運用コストや体制を踏まえてどう続けられるかを一緒に考えていくのが私たちの役割だと思っています。

また、NECさんが注力されているAI領域での人材獲得という文脈でも、ナラティブの力でどうアプローチするかというチャレンジをご一緒したいです。一見技術的な話でも感情面で伝えていくのは、まさにこのメディアが得意とするところだと思っていますので。

動画も記事も広告も、コンテンツの発信を一元的に設計・運用できる仕組みを人事部や採用チームの中に作っていく。そこにtalentbook STUDIOが伴走できる形を、NECさんと一緒に試行錯誤しながらこれからも作っていきたいですね。


 talentbook STUDIOについて

talentbook STUDIOは、大手企業の採用ブランディングに伴走するtalentbook株式会社の専任ユニットです。オウンドメディアの立ち上げ・運営をはじめ、記事・動画制作、LP制作、広告・メディアタイアップまで、採用ブランディングに関わる施策を一気通貫でプランニング・実行します。

※所属・役職は取材時(2026年8月)のものです。

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