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お役立ちコラム

2025.10.30

【イベントレポート】社員の"らしさ"をどう伝える? 就職人気ランキング1位の企業が実践するロールモデル採用戦略


事業内容 

ITサービス事業、社会インフラ事業

従業員数

単独22,036名(2023年3月末現在)連結118,527名(2023年3月末現在)

「採用ウルトラキャンプ」で語られた、共感を生む採用広報のあり方

2025年10月16日、ワンキャリアが主催する大型採用カンファレンス「採用ウルトラキャンプ」が開催されました。"「採用」を開こう、そして超えよう。"をコンセプトに、人口減少社会や売り手市場化、Z世代の労働観の変化といった課題に向き合い、採用の新たな可能性を探るこのイベント。その中で私たちtalentbookは、「社員の"らしさ"をどう伝える?ロールモデル時代の採用」と題したセッションに登壇しました。

ゲストとしてお招きしたのは、「マイナビ・日経 2026年卒大学生就職企業人気ランキング調査(九州・沖縄)」で3年連続第1位、冠婚葬祭部門では11年連続1位という驚異的な実績を誇る、アイ・ケイ・ケイホールディングス株式会社で人事部リーダーを務める牧絵里奈様です。

求職者の関心が企業のスペックから「働く人」へと移り変わる今、従来の「すごさ」アピール型の採用広報は限界を迎えつつあります。学生の心を掴み続けているアイ・ケイ・ケイホールディングス様は、一体何を実践しているのか。本レポートでは、当日のセッション内容を振り返りながら、「らしさ」が伝わる新しい採用広報のあり方をお伝えします。

▼セッションのアーカイブ動画はYouTubeでもご覧いただけます
https://youtu.be/TO2eoJtVbaM?si=ADFiZehiYdiZ8KYx

採用3.0時代──学生が求めるのは「すごさ」よりも「近さ」

  

 

セッションの冒頭では、talentbook共同代表取締役の大堀航が登壇し、採用を取り巻く環境の変化について説明しました。人事主導だった採用1.0、現場巻き込みの採用2.0を経て、今は採用3.0の時代。「採用は全社ゴト。対話と共感をデザインする時代」になったと語りました。

 

  

では、具体的に学生たちは何を求めているのでしょうか。続いて執行役員の白水が登壇し、当社が実施した調査データをご紹介しました。

「ロールモデルとなるコンテンツが入社意向度に影響を与える」と答えた学生は65.8%。選考プロセスで話したい社員として、「近い価値観を持っている人」(38.4%)、「近いキャリアを歩んできた人」(33.8%)が上位を占めたデータを見せながら、白水は「学生が共感するのは『すごさ』ではなく『近さ』なんです」と語りました。

 

 

一方で、多くの企業が「リアルを伝えると敬遠される」というジレンマを抱えている、と白水は指摘。

「『ハードだけど成長できる』といった情報は、学生には『ブラックっぽい』と映ってしまう。でも実は、学生は『良いこと以外にも苦労話も発信してほしい』(約50%)、『リアルな部分を知りたい』(約60%)と答えているんです。ポジティブな情報よりも『正直さ』を求めているんですね」

では、どうすればリアルを正しく伝えることができるのか。その答えが、「ロールモデル」の活用です。

 

人気ランキング1位企業の実践——アイ・ケイ・ケイホールディングス様の事例

 

ここからは、ゲストの牧様にご登壇いただき、アイ・ケイ・ケイホールディングス様の取り組みをお聞きしました。

牧様はまず、学生が持つイメージと実際の仕事のギャップについてお話しされました。

「プランナー職は華やかに見えますが、実際には緻密なスケジュール管理や休日出勤もあります。プロデューサー職も、売上プレッシャーが大きい。私たちは、これらを隠すのではなく、『それでもなぜこの仕事を選び続けているのか』という社員のリアルな声を届けることを大切にしています」

 

ロールモデルの選定——理念(人柄)を優先する360度評価

 

アイ・ケイ・ケイホールディングス様では、独自の評価制度でロールモデル社員を選定しています。

「私たちは、社員を『仕事軸』『理念軸』の2軸で評価しています。仕事軸では業務成績などを、理念軸ではミッションやバリューに対する実践度を見ます。重要なのは360度評価で、部下も上司を評価する点です。そして、評価では理念(人柄)が優先されます」

この仕組みで選ばれる社員は、業績が優秀なだけでなく、企業の価値観を体現し、周囲からも信頼される人物。学生にとって「自分もこうなりたい」と思えるロールモデルとなるのです。

 

 

 

社員インタビューAIで実現する、多様なロールモデルの可視化

 

アイ・ケイ・ケイホールディングス様の取り組みで特筆すべきは、talentbookの「社員インタビューAI」を活用した、ロールモデルコンテンツの発信です。

従来、社員インタビュー記事の制作には多大な時間とコストがかかり、限られた社員しか取り上げられませんでした。しかし、AIを活用することで、この課題を解決。様々な職種・キャリア・価値観を持つ社員のストーリーを効率的にコンテンツ化できるようになりました。

牧様は続けて語ります。「talentbookの社員インタビューAIを導入したことで、人事だけでは手が回らなかった多くの社員の声を発信できるようになりました。プランナー、プロデューサー、バックオフィス、若手からベテランまで、本当に多様な社員を紹介できています」

実際、アイ・ケイ・ケイホールディングス様のtalentbookページには、10月からスタートしてすでに8名の社員のキャリアストーリーが掲載されており、学生たちは自分の関心や価値観に応じて、「会いたい社員」を見つけることができます。

「学生からは『自分と同じように教員志望だった先輩の話が聞けて良かった』『地元で働きたいという価値観が同じ社員がいて安心した』といった声をいただきます。一人ひとりが自分に近いロールモデルを見つけられる。それが、私たちの採用における大きな強みになっています」

このコンテンツ量産の仕組みが、次に紹介する「IKK EXPO」という施策の土台となっているのです。

 

▼アイ・ケイ・ケイホールディングス様のtalentbookページ
https://www.talent-book.jp/ikk-grp
 

 

 

 

IKK EXPO——1to1の共感接点をデザインする

 

アイ・ケイ・ケイホールディングス様が実施している「IKK EXPO」は、最速年内内定を掲げた会社説明会で、エース社員30名以上が登壇する大規模イベントです。

白水から、この施策の設計ポイントについて解説させていただきました。

  • イベント前:学生が会いたいロールモデル社員の記事(talentbookで制作)を送付し、興味の熱量を高める「期待醸成」を行います。
  • イベント開催:事前に予約したロールモデル社員との対話型イベントを実施。「出会い」をフックに、興味から共感へと感情を移行させます。
  • イベント後:イベントに参加した全ロールモデル社員の記事を配信し、共感を「再燃」させ、記憶に残します。
  • ES提出後:学生のガクチカ・志望理由を参考に、最適な面接官・リクルーターをアサインし、1to1の対話で背中を押します。

「この一連の流れで重要なのは、社員インタビューAIで量産したコンテンツが各接点で活用されるという点です」と白水は説明します。

「イベント前に送る記事、イベント後に再度見返してもらう記事、そしてES提出後に『あなたに合った社員』として紹介する記事。すべてがtalentbook上に蓄積されているからこそ、学生との接点を『点』ではなく『線』でつなぐことができるんです

この設計により、学生の熱量は「維持」ではなく「加速」していきます。単なる情報提供ではなく、学生一人ひとりに寄り添い、その関心や価値観に応じた「出会い」を演出することで、企業への共感は深まり、志望度は高まっていくのです。

 

 

牧様は振り返ります。「以前は、限られた社員しか学生に紹介できず、『もっと多様な先輩に会いたい』という声に応えられませんでした。でも今は、事前にコンテンツで多様な社員を知ってもらい、イベントで実際に会い、その後も継続的に接点を持てる。この仕組みができたことで、学生の志望度の高まり方が明らかに変わりました」

 

AI×ロールモデルで、"辞退されない採用"を

 

セッションの最後に、私たちtalentbookが提供しているサービスについてもご紹介させていただきました。

私たちは、AIを活用した社員インタビュー生成ツールを提供し、企業の採用ブランディングを支援しています。年間延べ300万人のZ世代・ミレニアル世代が訪問するロールモデル就活・転職サイト「talentbook」を運営し、中小企業から大手企業まで累計1,200社以上の企業様にご導入いただいています。

2024年には、「日本の人事部 HRアワード」プロフェッショナル部門で人材採用・雇用 優秀賞を受賞させていただきました。

採用プロセスにおいて、with AIで「つくる、届ける、対話する」というプロセスを通じ、共感接点を増やしたい企業さまは、ぜひお問い合わせくださいませ。

  

採用は全社ゴト。一人ひとりの「らしさ」で共感をデザインする

 

今回のセッションで印象的だったのは、アイ・ケイ・ケイホールディングス様が実践されている、「ロールモデルコンテンツの量産」「それを起点とした接点設計」という一連の取り組みでした。

学生が求めているのは、企業の「すごさ」ではなく、自分に「近い」社員との出会いです。そして、その出会いを生むには、多様なロールモデルを可視化し、学生一人ひとりに合わせて届けていく仕組みが必要です。

AIを活用することで、これまで不可能だった規模でのコンテンツ制作が可能になりました。そして、そのコンテンツを採用プロセス全体で戦略的に活用することで、学生との共感を育み、「辞退されない採用」を実現できます。

採用3.0時代において、採用は人事部門だけの仕事ではありません。全社員が関わり、一人ひとりの「らしさ」が企業の魅力となる。そんな新しい採用のあり方を、私たちはこれからも企業の皆様と一緒に追求していきます。

 

▼セッションの様子はアーカイブ動画でもぜひご覧ください!

◼️登壇者プロフィール

アイ・ケイ・ケイホールディングス株式会社 人事部 リーダー 牧 絵里奈 氏
学生時代は教員を志望して教員免許を取得。会長との出逢いにより、2009年にアイ・ケイ・ケイ株式会社に入社。入社後は新規接客の営業、企画、マーケティングなど、幅広い業務に従事。営業の責任者も歴任し、2015年から現在に至るまで人事部の採用チームに異動し、新卒採用領域全般を担当。

talentbook株式会社 執行役員 事業開発本部 白水 彰一
大学卒業後、大手人材広告会社へ入社。業界・規模問わず数多くの企業様の採用戦略に携わりながら、営業責任者を歴任し営業戦略の立案と施策実行、組織マネジメントなどを経験。2023年1月にtalentbookに参画し、同年12月よりセールスカスタマーサクセス部の部長へ。2024年12月より執行役員CROに就任。

talentbook株式会社 共同代表取締役 大堀 航
2008年、大手総合PR会社のオズマピーアールに入社し、IT企業を中心に広報戦略立案・実行業務に従事。2012年、レアジョブに入社し、広報責任者として2014年6月に東証マザーズ上場に貢献。2014年12月、弟の大堀 海とtalentbookを創業する。


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