PR用語集
PRパーソンのための用語集を、独自にまとめました。Public Relationsに関連する専門用語、広報業務の中で出てくる言葉。突然、広報の仕事をすることになって戸惑っている方、「こんなこと今さら聞けない……!」とお悩みの方、日々の業務のなかで困ったとき、参考にしていただけたら幸いです。
メディアトレーニング
メディアトレーニングとは、マスコミや公の前で発表や発言する機会のある人(社長、役員、開発責任者、広報責任者など)に対して行う、予行演習も含めた発表準備のこと。企業説明であれば企業の、新製品発表であれば新製品のキーメッセージを的確な言葉と表情、身振り手振りで伝えられるようにします。また不祥事の際は、答えに窮するようなシビアな質問が記者から来ることも想定し、それに誠意を持ってしっかり受け答えできるようにすることが大切です。企業ブランドや製品イメージに大きな影響があるため、発言機会のある人は周到に準備されたメディアトレーニングを受講しておくことが重要です。
メディアトレーニングの実施方法
1)メディアトレーニングを受ける目的と理由を再確認する
「3か月後に新製品の記者発表会があるが、登壇者である社長が就任したばかりで、これまでマスコミの前でプレゼンしたことがない」、はたまた「自社製品のリコールが発生したことを想定し、社長、役員、製品関連部署責任者、広報部員全員で足並みを揃える必要がある」など、目的と理由を明確化します。例えば後者の場合、危機管理広報の意味合いが強くなるため、より慎重かつ丁寧な準備が必要です。
2)想定シナリオを作成する
(1)の目的と理由に沿いながら、記者発表をしてパブリシティが出た際にどのような見出し・内容の記事となることが望ましいかを想定して、キーメッセージを軸にした発表内容(プレゼンスライド)及び想定問答集 (FAQ) を含めた想定シナリオを作成します。この作業は、広報部だけではなくマーケティング部や研究開発部などの他部署にも協力をお願いし、正しい内容を盛り込みましょう。法務部に最終チェックをお願いすることも念頭に置きましょう。
3)専門のメディアトレーナーにトレーニングを依頼する
マスコミ対応経験豊富な広報部長がいる、等の場合を除いて、専門のメディアトレーナーに依頼してメディアトレーニングを実施した方が良いでしょう。彼らは元新聞記者・TVディレクターであったり、PR会社で膨大な数の記者会見をこなしていたりするので、どのような発表内容・プレゼンが好ましいか、メディアがどのような質問をしてくるか、答えにくい質問にはどう切り返すか、またどのような表情・身振り手振りがネガティブに映るかを熟知しています。(2)で作成した想定シナリオも、メディアトレーナーと共有し、外部の目を入れて更にブラッシュアップしましょう。
トレーニングでは、発表者とメディアトレーナー以外にも、新聞記者役やビデオ撮影をするスタッフが必要です。発表者は実際の発表の場を想定してプレゼン及び質疑応答をし、その様子をビデオ撮影しておきます。これをレビューで振り返り、きちんとキーメッセージが伝えられているか、矛盾した回答はないか、不快感を与えたりネガティブに映る表情・言動はないかを確認します。発表者に事前に想定シナリオを渡してトレーニングに臨んでもらうか、事前準備なしでトレーニングに臨んでもらうかは、発表者のスケジュールや気質を考慮して決定しましょう。