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“企業と社員の関係性”を進化させるヒントは、「おいしいごはん」と「いつもの食卓」にあり

INDEX

社員総会、社内報の発行、イントラネットの整備、社内の部活動や懇親会、あらゆる福利厚生・制度。多くの企業が取り組んでいるインターナルコミュニケーションの施策は、さまざまなものがあります。

しかし働き方改革が本格的にはじまり、企業や組織のあり方、カタチは日々進化しているもの。だからこそ企業の中の人たちも、頭を悩ませていることが増えているようです。

リモートワークが当たり前になったり、複業する社員が増えたり……働き方が進化すればするほど、従来通りの考え方や方法では、社員とのリレーションシップを構築しきれなくなるでしょう。

Public Relations(PR)の中に、従業員と良好な関係を構築する「エンプロイー・リレーションズ」という考え方があります。

ポテンシャルを秘めている、新たなエンプロイー・リレーションズの手法にはどんなものがあるのか。

そのひとつとしてPR Tableが注目したのが、「食」です。

今回私たちは、企業向けのごはん交流サービス「オフィスKitchHike」を提供している、株式会社キッチハイクをたずねました。

食卓を囲み、みんなでごはんを食べる「みん食」文化をつくる

株式会社キッチハイクは、2012年に創業。「食でつながる暮らしをつくる」をミッションに掲げ、食べることが好きな人をつなぐコミュニティサイト「KitchHike(キッチハイク)」を展開しています。

食べる人(HIKER)と料理を作る人(COOK)が開催するごはん交流会(Pop-Up)をマッチングし、現在では毎月1,300人が利用するサービスに成長(2018年3月現在)。みんなでごはんを食べる「みん食」文化を広めています。

「食でつながる暮らしをつくる」をミッションに掲げ、食べることが好きな人をつなぐコミュニティサイト「KitchHike(キッチハイク)」

▲Kitch Hike公式サイト

2017年5月には、企業向けのごはん交流サービス「オフィスKitchHike」をリリース。オフィスのランチタイムに社食として利用できるほか、懇親会や歓迎会などの社内イベントにも活用することが可能なサービスです。

「オフィスKitchHike」によって提供される「食」は、企業のオフィスの中でどんな役割を果たしているのでしょうか。株式会社キッチハイク共同代表 山本雅也さんにお話を聞きました。

株式会社キッチハイク共同代表の山本雅也さん


Profile

山本雅也さん Masaya Yamamoto
株式会社キッチハイク共同代表
1985年東京都出身。早稲田大学商学部卒業後、博報堂DYメディアパートナーズ入社。出版社 × IT の新規事業立ち上げを担当。退社後、世界各国の人を訪ねてごはんを食べるフィールドワークを行う。 著書:「キッチハイク! 突撃! 世界の晩ごはん」(集英社)


「共同作業」の多さが、人と人との豊かな関係につながる

「オフィスKitchHike」は、以前よりキッチハイクで導入していた「まかないランチ制度」をきっかけに生まれたと、山本さんは振り返ります。

山本さん(以下、敬称略):「キッチハイクの企業理念である『食でつながる暮らしをつくる』をまずは自分たちが実践するため、当番制で食事をつくり、みんなで食卓を囲むことを大切にしていました。『みんなでごはんを食べるのって楽しい!』という当社の社風が、そのまま『オフィスKitchHike』の提案につながりました」

キッチハイクの「まかないランチ」のようす。

▲いつもの「まかないランチ」のようす。全員でひとつの食卓を囲む。(写真提供:株式会社キッチハイク)

「オフィスKitchHike」は2017年5月リリースから10ヶ月で40社、累計4,000食を突破。社内コミュニケーションを活発にする役割を果たしています。

山本:「オフィスでのランチや交流会は、準備や片付けも含めて共同作業が多いため、チームを越えてコミュニケーションをとれます。これによりチーム全体のリズムがつくれたり、メンバー間の関係性も豊かになったりするんですよね。それがひいては、普段の仕事の業務効率アップにもつながっていると思います」

またオフィスでのごはん会の場合、就業時間外に飲みにいくなどの催しが必要なくなるため、個人の自由時間も保てることもメリットのひとつ。子どもがいる社員も、保育園のお迎えや帰宅時間を気にすることなく食卓を囲めると好評です。

今回は取材も兼ねて、オフィスで開催されたPop-up(ごはん交流会)に参加させていただきました。

▲今回は取材も兼ねて、オフィスで開催されたPop-up(ごはん交流会)に参加させていただきました。給食のように、COOK(料理する人)とコミュニケーションを取りながら、自分の分の食事をとっていくのがKitchHikeスタイル。

「ともに食べる」体験は、国籍や人種の壁をも越える

山本さんは「オフィスKitchHike」を導入した、とあるIT企業の事例を教えてくれました。

その企業はグローバル採用を実施しており、外国人社員も在籍。人事・総務担当者が配慮して、交流会時には宗教毎に異なるメニューを準備していました。しかし「オフィスKitchHike」では、あえて全員同じメニューを提案したそうです。

山本:「僕たちは異なるメニューを提供するのではなく、宗教の違いに配慮しつつも全員で楽しめる特別メニューをご提案しました。それが『みんなで同じものを食べている』という感覚につながり、国籍や人種、価値観の異なるメンバーの関係をフラットにしました。サービス利用後は、チーム一丸となってプロジェクトに取り組めたと言っていただけましたね」

キッチハイクのオフィスで開催されたPop-up(ごはん交流会)のようす。

▲目の前につくりたての美味しそうなごはんが並び、食欲をそそる匂いがただよいはじめると、思わず仕事で疲れた顔もほころぶ。

他にも大手企業からベンチャー企業などまで、導入した多くの企業が「食」によるリレーションシップ改善・向上の手応えを感じているのだとか。

またその中で、想定していた以上に喜ばれたことが、交流会を開催する担当者の労力削減です。

山本:「そのIT企業では歓迎会やチームビルディングなど交流目的の会を開催するたび、人事・総務担当者が、コンテンツ企画からケータリングの手配、当日対応までしていました。

しかしオフィスKitchHikeを利用していただければ、日程と会の目的、料理のイメージを伝え、あとはメッセージで料理内容について受け答えするだけ。手間ヒマがかからず、労力の削減につながっているところを気に入っていただいています」

みんなで食卓を囲んでごはんを食べる「オフィスKitchHike」は、日常の延長線上にあるもの。従業員も気兼ねなく参加でき、会社側にも負担がかからない。

当然ですが、リレーションシップは一朝一夕では構築できません。ムリなく継続できる仕組みやオペレーションづくりも不可欠なところなのです。

キッチハイクのオフィスで開催されたPop-up(ごはん交流会)のようす。

▲全員でひとつの食卓を囲み、「いただきまーす!」。懇親会、交流会より「ごはん会」という言葉がいちばんしっくりくる。まさに日常の延長。

社員との間に新たな関係をもたらす「食」コミュニケーション

多様な働き方が広がる今、企業や組織の中で「食」の果たす役割はますます大きくなっていくと山本さんは考えています。

山本:「リモートワークが可能になったからこそ、顔を合わせてコミュニケーションする機会を意図的につくることはとても重要です。何気ない会話や雑談から生まれるアイデアも多いですからね。

これからのコミュニケーションの秘訣は、増やすことではなく減らすこと。企画されすぎた交流会よりも、”おいしいごはん”と”人”がいれば成り立つ『食』コミュニケーションは、ますます求められていくと思います」

キッチハイクのオフィスで開催されたPop-up(ごはん交流会)のようす。

▲参加者は一方的な「お客さん」ではないので、片付けも全員で一緒に。初対面で食卓を囲んだ人たちとも、不思議な一体感が生まれる。

「働き方改革はシンプルで具体的なものでないと実行できない」と、山本さんは言います。だからこそ、暮らしの延長線上にある「食」コミュニケーションは、気軽に実行できかつ継続しやすい手法といえるでしょう。止まらない個人の働き方改革に、企業側も遅れをとるわけにはいきません。

“飲みニケーション”もいいけれど

「最近のワカモノは、飲みに誘っても断ってくるんだよ」など、仕事上の付き合いでコミュニケーションが十分取れないと嘆く声を、ときどき聞くことがあります。

でも人と関係性を築いていく手段は、「飲みに行く」ことだけではないはずですよね。

山本さんによると、海外ではランチタイムをたっぷりとって、そこでコミュニケーションをとるのが日常の国もあるそうです。

ランチタイムは1時間きっかり、オフィスのデスクでコンビニのおにぎりをかじる……などという習慣を当たり前にせずに、昼食は手作りの「おいしいごはん」をみんなで食べる。そこで日常的な交流を重ね、自然とリレーションシップが生まれていく——そんな働き方だって、あってもいいのではないでしょうか。

それなら子育て中の方も、終業後は自分の時間を大切にしたい人たちも、ムリなく「日常のひとコマ」として参加することができます。

もちろん業務の内容や環境によっては、すぐに実践するのは難しいケースもあるでしょう。でも案外、企業内でのリレーションシップを改善していくためのヒントは、ごく日常、私たちの一番身近なところにあるのかもしれません。