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INDEX

「近い将来、多くの仕事がAIにとって代わられる」という話をよく耳にするようになりました。その一方で日々進化するテクノロジーを業務に活かしきれていない企業がまだまだ残っているのも事実。

まさに今、人とテクノロジーの関わり方の過渡期にあります。

2018年2月15日(木)、虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された、at Will Work「働き方を考えるカンファレンス2018」は、「働くを定義∞する」をテーマに、“人”と“企業”と“働き方”、それぞれの今と未来を参加者で学び、考えるカンファレンス。

「働き方・企業と人」「人×テクノロジー」「マネジメント」「エンゲージメント」「地域・コミュニティ」「仕事の価値を考える」「働き方の多様化を支える文化」「教育・“働く”の未来」という8つのテーマで、さまざまなゲストスピーカーによるトークセッションが行われました。

仕事の価値を考える」に続き、今回は「人×テクノロジー」のトークセッションをご紹介します。

株式会社働きごこち研究所 代表取締役の藤野貴教氏と、エール株式会社 代表取締役の櫻井将氏がスピーカーとなり、人×テクノロジーの現在地と未来についてのトークが繰り広げられました。

株式会社働きごこち研究所 代表取締役の藤野貴教氏と、エール株式会社 代表取締役の櫻井将氏。

Profile

藤野 貴教さん Takanori Fujino
株式会社働きごこち研究所  代表取締役
2007年、株式会社働きごこち研究所を設立。「働くって楽しい!」と感じられる働きごこちのよい組織づくりの支援を実践中。「今までにないクリエイティブなやり方」を提案する採用コンサルタントとしても活躍。グロービス経営大学院MBA。2015年より「テクノロジーの進化と人間の働き方の進化」をメイン研究領域としている。日本のビジネスパーソンのテクノロジーリテラシーを高め、人工知能時代のビジネスリーダーを育てることを志として、全力で取り組んでいる。2020年人工知能時代 僕たちの幸せな働き方(かんき出版)を上梓。

櫻井 将さん Masaru Sakurai
エール株式会社 代表取締役
新卒でワークスアプリケーションズに入社後、gCストーリーへ転職。両社にてGPTW「働きがいのある会社」ランキングにてベストカンパニーを受賞。2017年、エール株式会社の代表取締役に就任。 「個人」のホンネを引き出すことで、「組織」との共有ゾーンを生み出すアプローチを得意とし、現在はエール株式会社にて、部下の “働きがい” を高める「クラウド上司サービスYeLL」をサービス展開。人材育成には欠かせないアナログとデジタルの両軸を統合したチームビルディングにて大企業の支援を行う。

引用元:「働き方を考えるカンファレンス2018」(一般社団法人 at Will Work)


人工知能時代に求められるビジネスリーダーとは?

テクノロジーの進化に伴い、私たちを取り巻く環境は日々目まぐるしく変化し続けています。

株式会社働きごこち研究所 代表の藤野 貴教氏は、2015年よりテクノロジーの進化と人間の働き方の進化について研究してきました。

「新しいビジネスアイデアやイノベーションは、テクノロジーの知識と人間の中にある妄想やアイデア、業務知識などの能力をかけ算して生まれます。しかし今、テクノロジーを扱う人間の知識が足りていないと感じています」(藤野さん)

このような課題感から働きごこち研究所では、テクノロジーリテラシーを底上げし、人工知能時代のリーダーを育てる事業に取り組んでいます。

藤野さんが考える、未来のビジネスリーダーとはどのような人でしょうか。

「人工知能時代に求められるビジネスリーダーは、テクノロジーに強くそして人間らしいリーダーです。僕も文系出身でテクノロジーの専門家ではありません。エンジニアではない普通のビジネスパーソンも、これからの時代をどう生きていけばよいかを当事者として考えています」(藤野さん)

藤野さんは「AIが苦手なことから人間の仕事を考えることが大切」と考え、人間の仕事を(1)イノベーター(2)モデレーター(3)オペレーター(4)コミュニケーターの4つのマトリックスに分けて紹介してくれました。

中でも重要と考えるのが、「考える力」「問いを立てる力」そして「感情を感じ取る力」です。

「僕たちの身体にはさまざまなセンサーが備わっています。例えば今日のカンファレンスも、この場にいることで動画では得られないものを感じ取ることができます。一見関係のないように思えるAIの活用と働き方改革は、つながっているんです」(藤野さん)

株式会社働きごこち研究所代表の藤野 貴教氏
▲株式会社働きごこち研究所 代表の藤野 貴教氏

 テクノロジーの力で感情や考えを見える化する

もう一人の登壇者はエール株式会社 代表の櫻井 将氏。エールではデジタルとアナログの両方を活かしたチームビルディングサービスで、大企業を中心にこれからの時代の新しい組織づくりをサポートしています。

「マネージャーには売上と人材育成の両方が求められますが、短期的な売上を優先して長期的な人材育成を後回しにしがちです。また昔とはマネジメント環境が激変し、コミュニケーションの質と量を担保するのが非常に難しくなっています」(櫻井さん)

そのためエールでは“社員のホンネ可視化サービス”を展開。現場社員一人ひとりに外部メンターをつけ、悩みの解決や生産性の向上を支援しています。

数々の大企業を支援する中で、櫻井さんはコミュニケーションを数値化することを推奨しています。

「マネージャー向けの研修ではコミュニケーションについて学びますが、部下の価値観も大切にしようとか、相手に寄り添おうとか一般論になりがちです。でもコミュニケーションを数字で把握できると、有意義な解決策が生まれるんですよ」(櫻井さん)

例えば自分と部下の性格タイプが数字で示されることで、「この人とはこのスコアがこれだけ違うから話がすれ違っていたのか」と気づき、具体的な解決策が見えてくることもあるそう。

「性格特性に合わせてコミュニケーションを変える方法は、一定の成果を出しています。またエールの外部メンターと現場社員の会話を分析することで、組織の人の考えや感情も数字として見える化することが可能になり、解決に繋がることもあります」(櫻井さん)

エール株式会社 代表の櫻井 将氏
▲エール株式会社 代表の櫻井 将氏

テクノロジーの進化に人間は遅れをとっている

テクノロジーを活用して働き方を変えるサービスはどんどん生まれています。しかし現場では十分に実用化されていないのが現状です。

「大企業には、AI以前にまだまだITの壁が残っています。セキュリティやコンプライアンスの関係で、クラウドサービスは利用できないと言われることもあるんです。会社が最新のテクノロジーを活用していても、働く人間のリテラシーが追いついておらず、その技術に気付いていないこともあります」(藤野さん)

それらを解決するためには「エンジニアがわかりやすい言葉で語ることが大切」と藤野さんは考えます。

「今はテクノロジーをつくる人と、それ以外の人が分断されています。そこをつなぐコミュニケーションが必要です」(藤野さん)

テクノロジーの進化が過渡期にある今、使う側の人間の感覚にも大きな世代間格差があります。またテクノロジーに対する嫌悪感や拒否感も現場では露になり、導入が進まない原因にもなっています。

そのような状況を受け藤野さんは、「発想の転換が必要」と提案します。

「今までのIT化は、自分たちの仕事に合わせて生産性を高めたり働き方を変えたりしていました。しかしこれからは人にテクノロジーを合わせるのではなく、テクノロジーに人が合わせることが必要かもしれません。

クラウドサービスには、多様な会社が集まっています。それを元にAIが解析、出たデータをもとに自分たちの仕事を合わせていくのが大事かなと」(藤野さん)

一方櫻井さんは1対1のクローズなコミュニケーションサービスの視点から、未来の人とテクノロジーの関係についてこのように考えます。

「僕は6~7割は共有し数値化して良いと思いますが、人の感情・感覚は最後まで残しておきたいですね。テクノロジーを活かしながら、ロジックと感性の両方を大切にしたいです」(櫻井さん)

人間も進化しつづけることが幸せに生きる道

人工知能時代はすぐそこまで来ています。しかしテクノロジーが進むに連れて、社会の変化から取り残されるのではないかと心配になる人もいるはず。その不安はどのように解決したらよいのでしょうか?

「最終的には認知の問題で、その人の捉え方次第かと思います」(櫻井さん)

「テクノロジーの進化と並行して、人が自分の内面を深堀する進化が起きています。僕も将来のことを考えると不安になることはありますが、感情や身体性など目に見えないものが見える化されていくのはある意味でヒントです。

でも身体や心がテクノロジーで見える化されることに心配もある。瞑想アプリなどもありますが、テクノロジーに侵されたくないと思う気持ちもあるんです」(藤野さん)

人間に備わる見えないものを感じる力をどこまで数値化するのか? テクノロジーをどう利用すれば人間が幸せに生きていけるのか? 私たちはこれから考えていかなくてはいけません。

「たとえテクノロジーが進化して感情を持ったとしても、人間が感情を持つのをやめてい良いという話ではありません。テクノロジーを敵視するのではなく、テクノロジーと人間が一緒になった時に私たち人間がどう変わるのかが大切ではないでしょうか」(藤野さん)

テクノロジーは人間を幸せにするのか? その問いにはまだ誰も答えられません。

しかし藤野さんと櫻井さんのお話から、日々進化するテクノロジーと向き合いながら人間も進化を続けることが、人工知能時代を幸せに生きる道だと感じました。

とくに私たちPRパーソンはコミュニケーションを生業としている職業。全てをITに頼ってはいけない職業でもあると私は考えます。“エモい”共感を呼び、人に賛同してもらえるからこそPRは成立するーー。

テクノロジーリテラシーを常に向上させ、うまく仕事に生かしていくのはもちろんのこと。しかし一方で、自分の心や感情はテクノロジーに絶対に負けてはいけない。その部分にもより磨きをかけていくのが、これからのPRパーソンがやるべきことなのだと強く思いました。


第2回「働き方を考えるカンファレンス2018」(主催:一般社団法人 at Will Work
~行政・企業・研究者、フリーランスから大学生まで 日本最大級の働き方討論会~
https://www.atwill.work/conference2018/

at Will Work「働き方を考えるカンファレンス2018」より
( 写真提供:一般社団法人 at Will Work)